2016.5.21
私は約6年振りに、下北沢の小さなライブハウスでアコースティックライブを行った。
アイドルになる前、シンガーソングライターとして活動していた私にとっては、故郷に帰ってきたような感覚でのライブだった。 ライブを終えて帰宅すると、母親が凄い見幕で「ちょっと!アイドルがライブハウスでファンに刺されたんだって!」と言ってきた。驚いてテレビのニュース速報を見た瞬間に「あっ、これはアイドルの話じゃないな」と直感的に気づき、すぐ被害者のTwitterを調べたら、案の定「シンガーソングライター」の女性の話であった。
遂に身近な現場で大変大きな事件が起きてしまった。
2年前にAKB48の握手会会場で衝撃的な事件が起こったが、その時とは明らかに違う、距離感が近い地下ならではの事件だ。
アイドルからシンガーソングライターになった被害者の彼女と、シンガーソングライターからアイドルの世界に入った私とで、境遇が重なる部分は大きかった。また、私自身、現在もAKB48グループの大ファンであったり、自分がアイドルになる前はいわゆる地下アイドルのファンだったこともあった。
だから、同時に一人のアイドルファンとして、彼女のファンでもあった加害者の気持ちも、少し騒動が落ち着いた今、冷静に考えてみた。
そのことでAbemaTVにも呼んでいただいたが、改めて、私なりに振り返ってみたいと思う。
文:erica(エレクトリックリボン) 写真提供:erica、エレクトリックリボン
実際、被害者の冨田真由さん自身、TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)に出演歴があるシークレットガールズというアイドルとして活動していたこともあり、報道側からすれば「アイドル」として紹介した方が分かりやすかったんだろう。
しかし、「一人の女性」として見られたくてアイドルを卒業してシンガーソングライターに活動形態を移行させたのにも関わらず、メディアで大きく報道される時に相変わらず「アイドル」と呼ばれてしまうのは、あまりにも皮肉なことだと思う。
そこまで世の中の人は、大手事務所に所属しない、大きなメディアにほとんど露出することのない「地下で活動する女性」のカテゴリーに対して関心がないということなのかもしれない。
そんな中、アイドルとして世間に認識されることに疲れ、自分の表現したいもの、自分の音楽を一人の「アーティスト」として表現したいがためにシンガーソングライターに転向する人もいる。
アイドル活動を始める前、私がライブ活動を行っていたのは、50人も観客が入れば満員御礼というアットホームな雰囲気のライブハウスで、完全着席スタイル。ライブ中の私語は厳禁で、手拍子はあっても曲中に歓声を入れるなんてもってのほか。盛り上がり重視のライブアイドル文化とは真逆の世界だ。
ステージと客席の段差もほぼなく、ピアノ弾き語りだった私は、椅子に座ると丁度最前列の観客の目線の先には私のスカートの裾があることも少なくないほどの距離感の近さだった。
地下シンガーソングライターは、基本マネージャーをつけずに一人きりで活動をしている。そもそも自分の世界観を広める為に活動しているため、自分をマネジメントするのは自分自身であり、相当ブレない芯がない限り、他者が入ると世界観が簡単に崩れる。そういった面倒くささもあって、一人で活動している人が大半だ。
そのため、もちろんファンへの対応も一人で行わなければならない。ライブが終わった後の物販は一人で切り盛りし、来てくださったファンの人と時間の許す限り会話をする。ファンの人が持参したカメラや携帯電話を使ってタダで写真を撮ることも日常茶飯事だ。
また、シンガーソングライターが行うライブは基本ノルマ制のライブが多い。一定数以上のお客様を呼べなければ自分がライブハウスに不足人数分のお金を支払うこともよくある。
ただ、郊外のライブハウスの中には、ノルマもない代わりに、チケットバック(チケット代の演者への還元)もない、つまり演者は見返りもリスクもなくとにかくライブができる箱も存在する。地下で活動する人にとっても、かなり特殊な位置付けに当たるため、そこで結びつく演者とファンの関係性は、おそらく他の地下現場以上に強固(と錯覚してしまう)なのだろう。
これが、私が知っている範囲での、地下シンガーソングライターを取り巻く現状だ。
ファンへの対応もマネージャーの管理下で行うので、必然的に距離が生じる。アイドルを疑似恋愛の対象として、近しい存在と錯覚させながら実際に会話をするためにはCDやチェキを購入しなければならない。
「アイドルとして見られたくない」と意気込んでシンガーソングライターに転向したとしても、実は物理的なファンとの距離感はシンガーソングライターの方が近いのだ。
また、冒頭でもあげた、2年前の5月に起こったAKB48握手会会場での傷害事件と今回の事件は根本的に違う。そもそもAKB事件での梅田容疑者はAKBメンバーを知らず「騒ぎになれば誰でもよかった」という理由での犯行だ。
けれど、冨田さんのファンだったという岩埼容疑者の場合、今回の事件は場所がライブ会場だっただけ(ライブ中に起こった出来事ではない)で、好きになってしまった異性への叶わぬ想いが憎しみに変わってしまった、どこにでも起こりうる恋愛トラブルの一種である。
つまり、「女性性」を打ち出して活動をする女性、それも、アイドル以上にファンとの距離感が近いがゆえに最も起こりうる可能性が高かったのが、シンガーソングライターとファンという関係性だったのかもしれない。それも結果論にすぎないけれど。
冨田さんが、一度は受け取ってしまった腕時計といったプレゼントを、どんどん豹変しストーカー化していく岩埼容疑者にすべて突き返してしまったことが、事件の最終的な引き金だとされている。警察に相談するなどの自衛手段もとったものの、防ぐことができなかった。
冒頭から「地下ならでは」と言っているのはまさにこの点だ。アイドルであればそもそもセキュリティがあり、ある程度の規模であれば送迎もある。ましてや、警察に相談するほどの身の危険を感じていたならなおさら、その人への対応は強化されるだろう。
しかし、マネージャーも他のメンバーもいない中、たった一人で活動を続ける地下のシンガーソングライターの冨田さんには、この時点で防衛策がなかったのかもしれない。あるとしたら、危険を察した時点ですべての活動を停止するしかなかったのかもしれない。
もし、彼がライブハウスのスタッフだったら、共演アーティストのマネージャーだったら、はたまたプロのミュージシャンだったり、作曲家だったら。仮定の話をするのはあまりにも生産性がないが、たまたまアーティストとファンという形で出会って、彼女に魅了され、恋心を抱いてしまった感情については、誰も責めることは出来ないのではないか。
「アーティストやアイドルに恋をしてはいけない」という決まりはないし、アーティスト、アイドル本人が自分自身を商品の一部として売り出しているのに、「私たちを女として見ないで! 演者として見て!」と声を大にして発言するのも何となく腑に落ちない。
もちろん、大前提として、岩埼容疑者が、人と人との適切な距離感━━人が嫌がることはしてはいけない。など、幼稚園で教わるレベルの人との接し方もできず、まして逆上して凶行に及んでしまったことが、今回の事件のすべてである。
ただ、好きな人を応援して、好きな人が頑張っている姿をお金と時間を払って見に行き、喜ぶ顔がみたいからプレゼントを渡し、会話をし、楽しい時間を過ごそうとしたことに罪はない。
しかし、シンガーソングライターとファンとの特殊な距離感が、応援する気持ちが反転してしまった憎しみを増長させる結果となってしまったのは、やるせないことだと思う。
残酷な言い方に聞こえてしまうかもしれないけれど、それは裏を返せば、特殊な立ち位置で活動を続けてきた彼女を守れたのは、やっぱり彼女自身だったということなのではないか、と思ってしまう。
例えば、頂いたものを一度受け取ったのであれば、相手の気持ちになって感謝の気持ちを直接言葉や、SNSなどを使って表現するべきなのではないか。それが演者とファンの友好な信頼関係の築き方ではないのかと思う。
「女として見られたくない、音楽を聴いてほしい」と心から思うなら容易にSNSに自撮り写真を載せるべきではないと思うし、ファンの方からプレゼントを頂く機会があるなら高額な物、飲食物などは頂かないというルールを先に提示しておくべきである。それが人前に立つ人間の、ファンへの誠実さだろうし、同時に自衛手段でもある。
私自身もアイドルファンとして、好きな地下アイドルにプレゼントをあげたこともあったが、プレゼントしたものを実際に使っているところを見れると凄く嬉しかった。そういったアピールが出来るのも地下アイドル、地下シンガーソングライターならではかと思う。
だからこそ、スタッフがいない、守ってくれる人がいない中、人前に立つ活動を行う世の中の女性は、その利点とリスクを引き受けて、ファンとの距離感は演者としてつくり出すように心がけなければいけないのだと思う。
好意を持って会いに来てくれるファンを大切にするために、ずっと応援してもらうために、信頼関係を築くためには、演者側が線引きをして誘導する優しさが、演者とファンを守ることにつながるのだと思う。
私は今回の事件でまたアイドル業界が異端なものと思われたり、「アイドルヲタクは危険な人が多い」という印象が人々についてしまうことがとても残念だ。
私たちにとって応援してくださるファンは、かけがえのない存在だ。自分のファンが一人しかいない日のライブで、どれだけその人に救われたか、一人路上ライブをしている時に足を止めてくれた人にどれだけ感謝をしているか。結局人と人との繋がり、信頼関係によって今日も私はステージで歌い続けられている。
今回の事件は、「一人の女性として自分の身は自分で守る」こと、そして「アイドルとファンという関係」について改めて考えるきっかけとなった。これはステージに立つ女性だけでなく、飲食店で働く女性、深夜のコンビニで働く女性等、様々なケースが当てはまる。
「お客様は神様」という言葉があるが、お客様を神様に出来るのも、犯罪者に出来るのも実は私たち次第なのかもしれない。
私は約6年振りに、下北沢の小さなライブハウスでアコースティックライブを行った。
アイドルになる前、シンガーソングライターとして活動していた私にとっては、故郷に帰ってきたような感覚でのライブだった。 ライブを終えて帰宅すると、母親が凄い見幕で「ちょっと!アイドルがライブハウスでファンに刺されたんだって!」と言ってきた。驚いてテレビのニュース速報を見た瞬間に「あっ、これはアイドルの話じゃないな」と直感的に気づき、すぐ被害者のTwitterを調べたら、案の定「シンガーソングライター」の女性の話であった。
遂に身近な現場で大変大きな事件が起きてしまった。
2年前にAKB48の握手会会場で衝撃的な事件が起こったが、その時とは明らかに違う、距離感が近い地下ならではの事件だ。
アイドルからシンガーソングライターになった被害者の彼女と、シンガーソングライターからアイドルの世界に入った私とで、境遇が重なる部分は大きかった。また、私自身、現在もAKB48グループの大ファンであったり、自分がアイドルになる前はいわゆる地下アイドルのファンだったこともあった。
だから、同時に一人のアイドルファンとして、彼女のファンでもあった加害者の気持ちも、少し騒動が落ち着いた今、冷静に考えてみた。
そのことでAbemaTVにも呼んでいただいたが、改めて、私なりに振り返ってみたいと思う。
文:erica(エレクトリックリボン) 写真提供:erica、エレクトリックリボン
多くの人が抱いている誤解(地下アイドルがファンに刺された)について
まず、今回の報道から、そもそも、「元アイドル」や「シンガーソングライター」など、細かな表現は、結局のところ視聴者や報道側にとってはどうでもよく、「”若い女性”が”ライブ活動”をしていれば大体アイドルだろう」という乱暴な解釈が浸透していることがうかがえた。実際、被害者の冨田真由さん自身、TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)に出演歴があるシークレットガールズというアイドルとして活動していたこともあり、報道側からすれば「アイドル」として紹介した方が分かりやすかったんだろう。
しかし、「一人の女性」として見られたくてアイドルを卒業してシンガーソングライターに活動形態を移行させたのにも関わらず、メディアで大きく報道される時に相変わらず「アイドル」と呼ばれてしまうのは、あまりにも皮肉なことだと思う。
そこまで世の中の人は、大手事務所に所属しない、大きなメディアにほとんど露出することのない「地下で活動する女性」のカテゴリーに対して関心がないということなのかもしれない。
個人で活動するシンガーソングライターを巡る現状
そもそもシンガーソングライターとアイドルの立ち位置は似ているようで大きく違う。10年前にAKB48が結成されお茶の間にも広く浸透したことでアイドルブームが再来したが、今に至るまで、CDの複数購入による握手会参加など、いわゆる「アイドル商法」の中で活動しているアイドルが多い。そんな中、アイドルとして世間に認識されることに疲れ、自分の表現したいもの、自分の音楽を一人の「アーティスト」として表現したいがためにシンガーソングライターに転向する人もいる。
アイドル活動を始める前、私がライブ活動を行っていたのは、50人も観客が入れば満員御礼というアットホームな雰囲気のライブハウスで、完全着席スタイル。ライブ中の私語は厳禁で、手拍子はあっても曲中に歓声を入れるなんてもってのほか。盛り上がり重視のライブアイドル文化とは真逆の世界だ。
ステージと客席の段差もほぼなく、ピアノ弾き語りだった私は、椅子に座ると丁度最前列の観客の目線の先には私のスカートの裾があることも少なくないほどの距離感の近さだった。
地下シンガーソングライターは、基本マネージャーをつけずに一人きりで活動をしている。そもそも自分の世界観を広める為に活動しているため、自分をマネジメントするのは自分自身であり、相当ブレない芯がない限り、他者が入ると世界観が簡単に崩れる。そういった面倒くささもあって、一人で活動している人が大半だ。
そのため、もちろんファンへの対応も一人で行わなければならない。ライブが終わった後の物販は一人で切り盛りし、来てくださったファンの人と時間の許す限り会話をする。ファンの人が持参したカメラや携帯電話を使ってタダで写真を撮ることも日常茶飯事だ。
また、シンガーソングライターが行うライブは基本ノルマ制のライブが多い。一定数以上のお客様を呼べなければ自分がライブハウスに不足人数分のお金を支払うこともよくある。
ただ、郊外のライブハウスの中には、ノルマもない代わりに、チケットバック(チケット代の演者への還元)もない、つまり演者は見返りもリスクもなくとにかくライブができる箱も存在する。地下で活動する人にとっても、かなり特殊な位置付けに当たるため、そこで結びつく演者とファンの関係性は、おそらく他の地下現場以上に強固(と錯覚してしまう)なのだろう。
これが、私が知っている範囲での、地下シンガーソングライターを取り巻く現状だ。
アイドルとは異なるファンとの距離感が生んだ事件
一方、アイドルは基本的にマネージャーやプロデューサーといった「運営」と呼ばれる人たちが管理している。親子のような関係性で、二人三脚でアイドルを売り出していく。ファンへの対応もマネージャーの管理下で行うので、必然的に距離が生じる。アイドルを疑似恋愛の対象として、近しい存在と錯覚させながら実際に会話をするためにはCDやチェキを購入しなければならない。
「アイドルとして見られたくない」と意気込んでシンガーソングライターに転向したとしても、実は物理的なファンとの距離感はシンガーソングライターの方が近いのだ。
また、冒頭でもあげた、2年前の5月に起こったAKB48握手会会場での傷害事件と今回の事件は根本的に違う。そもそもAKB事件での梅田容疑者はAKBメンバーを知らず「騒ぎになれば誰でもよかった」という理由での犯行だ。
けれど、冨田さんのファンだったという岩埼容疑者の場合、今回の事件は場所がライブ会場だっただけ(ライブ中に起こった出来事ではない)で、好きになってしまった異性への叶わぬ想いが憎しみに変わってしまった、どこにでも起こりうる恋愛トラブルの一種である。
つまり、「女性性」を打ち出して活動をする女性、それも、アイドル以上にファンとの距離感が近いがゆえに最も起こりうる可能性が高かったのが、シンガーソングライターとファンという関係性だったのかもしれない。それも結果論にすぎないけれど。
冨田さんが、一度は受け取ってしまった腕時計といったプレゼントを、どんどん豹変しストーカー化していく岩埼容疑者にすべて突き返してしまったことが、事件の最終的な引き金だとされている。警察に相談するなどの自衛手段もとったものの、防ぐことができなかった。
冒頭から「地下ならでは」と言っているのはまさにこの点だ。アイドルであればそもそもセキュリティがあり、ある程度の規模であれば送迎もある。ましてや、警察に相談するほどの身の危険を感じていたならなおさら、その人への対応は強化されるだろう。
しかし、マネージャーも他のメンバーもいない中、たった一人で活動を続ける地下のシンガーソングライターの冨田さんには、この時点で防衛策がなかったのかもしれない。あるとしたら、危険を察した時点ですべての活動を停止するしかなかったのかもしれない。
彼女を守れたのは誰だったのか?
報道やインターネット上では「ストーカー怖い」など、自由に語られているが、私は岩埼容疑者が仮に冨田さんと別の形で出会っていたら、このような事件は起きなかったのではないのかと考えた。もし、彼がライブハウスのスタッフだったら、共演アーティストのマネージャーだったら、はたまたプロのミュージシャンだったり、作曲家だったら。仮定の話をするのはあまりにも生産性がないが、たまたまアーティストとファンという形で出会って、彼女に魅了され、恋心を抱いてしまった感情については、誰も責めることは出来ないのではないか。
「アーティストやアイドルに恋をしてはいけない」という決まりはないし、アーティスト、アイドル本人が自分自身を商品の一部として売り出しているのに、「私たちを女として見ないで! 演者として見て!」と声を大にして発言するのも何となく腑に落ちない。
もちろん、大前提として、岩埼容疑者が、人と人との適切な距離感━━人が嫌がることはしてはいけない。など、幼稚園で教わるレベルの人との接し方もできず、まして逆上して凶行に及んでしまったことが、今回の事件のすべてである。
ただ、好きな人を応援して、好きな人が頑張っている姿をお金と時間を払って見に行き、喜ぶ顔がみたいからプレゼントを渡し、会話をし、楽しい時間を過ごそうとしたことに罪はない。
しかし、シンガーソングライターとファンとの特殊な距離感が、応援する気持ちが反転してしまった憎しみを増長させる結果となってしまったのは、やるせないことだと思う。
残酷な言い方に聞こえてしまうかもしれないけれど、それは裏を返せば、特殊な立ち位置で活動を続けてきた彼女を守れたのは、やっぱり彼女自身だったということなのではないか、と思ってしまう。
例えば、頂いたものを一度受け取ったのであれば、相手の気持ちになって感謝の気持ちを直接言葉や、SNSなどを使って表現するべきなのではないか。それが演者とファンの友好な信頼関係の築き方ではないのかと思う。
「女として見られたくない、音楽を聴いてほしい」と心から思うなら容易にSNSに自撮り写真を載せるべきではないと思うし、ファンの方からプレゼントを頂く機会があるなら高額な物、飲食物などは頂かないというルールを先に提示しておくべきである。それが人前に立つ人間の、ファンへの誠実さだろうし、同時に自衛手段でもある。
私自身もアイドルファンとして、好きな地下アイドルにプレゼントをあげたこともあったが、プレゼントしたものを実際に使っているところを見れると凄く嬉しかった。そういったアピールが出来るのも地下アイドル、地下シンガーソングライターならではかと思う。
だからこそ、スタッフがいない、守ってくれる人がいない中、人前に立つ活動を行う世の中の女性は、その利点とリスクを引き受けて、ファンとの距離感は演者としてつくり出すように心がけなければいけないのだと思う。
好意を持って会いに来てくれるファンを大切にするために、ずっと応援してもらうために、信頼関係を築くためには、演者側が線引きをして誘導する優しさが、演者とファンを守ることにつながるのだと思う。
アイドルにとってのファンへの思いやり
事件が起こった次の日から地下アイドル業界は慌ただしい。2年前のAKB事件の際にもあったようにライブ会場での手荷物検査や、普段食いついてこないようなメディア関係がこぞって地下アイドル業界を取材させてくれとアポを取り、メディアが使いやすい部分だけを切り取って報道をしている。私は今回の事件でまたアイドル業界が異端なものと思われたり、「アイドルヲタクは危険な人が多い」という印象が人々についてしまうことがとても残念だ。
私たちにとって応援してくださるファンは、かけがえのない存在だ。自分のファンが一人しかいない日のライブで、どれだけその人に救われたか、一人路上ライブをしている時に足を止めてくれた人にどれだけ感謝をしているか。結局人と人との繋がり、信頼関係によって今日も私はステージで歌い続けられている。
今回の事件は、「一人の女性として自分の身は自分で守る」こと、そして「アイドルとファンという関係」について改めて考えるきっかけとなった。これはステージに立つ女性だけでなく、飲食店で働く女性、深夜のコンビニで働く女性等、様々なケースが当てはまる。
「お客様は神様」という言葉があるが、お客様を神様に出来るのも、犯罪者に出来るのも実は私たち次第なのかもしれない。
この記事どう思う?
erica
エレクトリックリボンのメンバー
東京都出身/O型/乙女座
好きな食べ物:納豆、酒の肴、オムライス
趣味:飲み会、マッサージ、ダイエット
口癖:「ビールください!」
ステージ上ではビールを飲んだりと基本自由奔放だが、その反面、音楽大学声楽科を卒業しており、歌声には定評がある実力派。
また「どこか懐かしい」をテーマにiPadのみでプレイするDJ、【DJ四捨五入】としても活躍している他、TRASH-UP!!!やKAI-YOUなどでライター活動も行っている。
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1件のコメント
勇雄嶋田
ぇっかさん、こんにちは。ボンクラって名乗るぐらい応援してなくてリプライで迷惑かけてるィカポッポです(^^;
冨田真由さんの事件が起こった日、自分は遅番(14時45分から11時15分まで)で、丁度夕方5時の休憩のときに「東京でアイドルが殺されたって!!」という社員さんの心無い言葉に背筋が凍ったのを今でも覚えています。
すぐさまニュースのサイトを開いて見て、被害者の容態、犯人のこととかを何度も見返していたけど震えが止まりませんでした!
自分(達)の場合は歌から入ります。つまり「アイドル」ではなくて「アーティスト」と見てるのですけど・・・
おっと!話しが逸れてく(笑)
ぇっかさんの場合は冨田さんでしたが自分は犯人の岩崎容疑者の立場でこれから綴らせてもらいます。
※ストーカーとは「仮想と現実の区別がつかない」ことを前提に進めていきます
真のファンとは何でしょう?
踊って、歌っている演者に対してエールを送り続ける人達なのではって思います。
自分の世代はキャンディーズ、ピンクレディーで距離があったけど「ランちゃんが俺の方をみて悪ってくれた!!」「ミーちゃんが俺に手を降ってくれたぜ!」って・・・
それが実際だったかどうかは別として「それだけで幸せ♪」的な存在でした。
当時も熱狂的なファンが抱きつこうとしてたらしいけど、「親衛隊」って人達がそれを阻止していました(ちゃんとそのあと話して説得していたらしいです、ハイ)。
でも時代で今は違いますよね。「あれじゃあアツくなったファンが何をするか分からんぞ(笑)」と、先月他界してしまった今でもキャンディーズのファンだった仲間が言っていたのも思い出して・・・
また話しが!!!
結論から言わせてもらえば「岩崎はファンでない!」です。
例えばぇっかさんが街を歩いていて男に声をかけられる。まぁ、ナンパされて「お茶ぐらいなら付き合ってもいいよ♪」的なノリで付き合ったらしつこく連絡先聞かれて「ラインぐらいなら」的な感じで教えちゃった・・・的な?
教えてもらった側としては「こいつは脈あり♪」でしつこくしてくる。
ぇっかさんはスルー→「何だコイツ!」と好きから憎しみ→タイムラインにぇっかさんが「今日は〇〇でランチ♪」の情報から待ち伏せて・・・
なんです。
岩崎容疑者は女子との接点(付き合ったとか)はなくて柔道部。たまたま何かで知った冨田さんのライブを見に行って「カワイイ♪」
で、最後に物販で冨田さんに(冨田さんにはいつものこと)握手したときに「今日はありがとう!すごく嬉しいよ!!」とか言ったんでしょうね、きっと・・・。
「この子、きっと俺のこともすきなんだ」。
別に岩崎容疑者を弁護も弁明もしたけはないけど、こんなきっかけからエスカレートしていったと思います。
冨田さんにも否はあると思いますがファンとして有るまじき行為を取った岩崎は許し難い!
バーチャルとリアルの区別がつけられない人が増えていますが「現実」に目を向けて人とどう繋がっていくかをもっと考えて欲しいと言いたいです!!
自分もエレクトリックリボンみんなのことは大好きです♪貧乏人で群馬だからあまりライブとかイベント参加も出来ないけど仲間内で集まったときにCDかけたり身近な放送局のパーソナリティさんに「良かったら聴いてみて!」と言ったり・・・それだけしか出来なくてすみません!!
でもそれがファンなのでは?って思います。だって(例えば)恋人が「ここのレストラン行きたい」とか言えば「連れて行ってあげたい」とか思うのは普通じゃないですか?!大切にしたい、一緒に笑いたいって・・・。
最後にもう一言。
「岩崎にとって冨田さんは『思うように動かないオモチャ』だったんだろうね」と友達の、1人が言ってました。
「思うように動かないなら壊してしまえ!」と
でわでわ!長々すみませんm(_ _)m