読めば歌がうまくなる! livetune+インタビュー「歌を伝えるのは声じゃない」

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読めば歌がうまくなる! livetune+インタビュー「歌を伝えるのは声じゃない」
読めば歌がうまくなる! livetune+インタビュー「歌を伝えるのは声じゃない」
カラオケ世界No.1を決定する「KARAOKE WORLD CHAMPIONSHIPS」(KWC)の2016年日本大会の応募がスタートしている。最終決戦はカナダ・バンクーバーでの世界大会だ。 とはいえ、大会に出場するのは歌自慢の猛者ばかり。世界大会となれば、国籍もさまざまな参加者たちを前にしてのパフォーマンスが問われる。

必勝法はないだろう。ただ、勝率を上げる方法ならあるはずだ。そこで今回は、数々のライブステージで観客を沸かせ、5月11日に新曲『Sweet Clapper』をリリースしたばかりのlivetune+にインタビュー。カラオケ上達の近道をはじめ、人の心を動かす歌について聞いてみることにした。
livetune+は、GoogleのCM曲に選ばれた初音ミクの楽曲として記念碑的な作品『Tell Your World』を産み、数々のアーティストとのコラボレーションを手掛けてきたkzさんと、青文字系ファッション雑誌のモデルを務める愛らしいルックスと、­伸びやかにきらめく声を武器にヨーロッパやアジアにも活躍の場を広げるやのあんなさんによるライ­ブユニット。

稀代のトラックメイカーと世界のステージを知る歌姫は、インタビュー当日もリリースイベントの2ステージを終えたばかり。観客を熱狂させる才能に長けた2人に、カラオケにまつわる話をうかがってみると、デビュー以前からよく利用しているというやのあんなさんが実践している練習法や、自分の歌声をもっと魅力的に響かせるためのポイントなどが見えてきた。

このインタビューを読むだけで歌がうまくなる。話を聞き終えた、筆者の率直な感想だ。

文:松本塩梅 写真:市村岬

歌を伝えるのは声だけじゃない

──越谷レイクタウンでのイベント終わりにありがとうございます。イベントはいかがでしたか?

kz 3階まで吹き抜けの会場だったんですけど、2階くらいで子どもたちがすげーテンションでめっちゃ飛んでたよね。

やのあんな めっちゃ飛んでた(笑)! ライブハウスじゃないリリースイベントはファミリーの方もいらっしゃって、子どもたちがこぞって踊りだしてくれますね。

kz レイクタウンでもそうでしたけど、おじいちゃんやおばあちゃんもニコニコして見ている、みたいな。やのって、ライブの時にすごく楽しそうに歌うんですよ。真剣に何かを伝えようして歌う人はいると思うんですけど、ストレートに楽しそうに歌う人ってあんまりいないから、そこは面白いところですね。

──たしかに楽しそうなのが伝わってきて、こっちもテンション上がります!

やのあんな そういうふうに見てくれているのは嬉しいですね。でも、私は歌うのが楽しいから好きで、だから「歌うときに楽しそうでいいね」って言われると、「逆に、歌うとき楽しくないの?」って思ったりもする(笑)。

まぁ、livetune+は、真剣なメッセージもあるんですけど、前向きな、ポジティブな曲が多くて、やっぱり笑顔になっちゃうっていうか。シリアスな曲ではないから。

──やのさんは高校時代から軽音楽部でバンド活動をされていたそうですが、当時から「歌うのは楽しい」のは変わらず?

やのあんな 高校は今より楽しくなかったかもしれないです……。男の子たちとコピーバンドを組んでいたのもあって、自分が歌いたい曲が歌えるわけでもなかったし、お客さんも自分たちのファンというわけじゃなくて。今はlivetune+を聞きたくて来てくれる方が多くいるから、それも歌っていて楽しい理由の一つです。

歌って、声と、仕草と、表情と、全部で伝わるものだから、自分の思っていること一つひとつでも、ちょっと波があっただけできっと観客にも伝わるんだろうなっていうのはありますよね。楽しい気持ちがちょっと大きくなれば、伝わるものもちょっと大きくなるはず。
──KWC2016はカラオケ店で動画や音声を収録して応募するのですが、歌っている時のパフォーマンスも審査対象になります。動きも含めて歌だと思えば、考え方が変わりそうです。

やのあんな 撮る時は「カメラと自分」になっちゃいますけど、そのカメラを通してたくさんの人が見ているオーディションじゃないですか。だから、やっぱり「人がいる」っていう気持ちで向かって歌ったら、自然と楽しくなってくるんじゃないかなって思います。そのカメラの先にいる人を想像して。

カラオケは斬り合い!

──お2人はカラオケには行かれますか?

やのあんな めっちゃ行きます!

kz 僕も行きたいんですけど、機会は減りましたね。忙しいのもあるけど、僕がやりたいカラオケって、いわゆる「ひとり1曲歌って、終わって拍手」みたいなのじゃなくて、生き死を賭けたバトルみたいな感じ。

高校時代の友達にロック好きが多かったんですが、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT(ミッシェル・ガン・エレファント)の『CISCO』って曲があって、歌詞が「CISCO」しかないんですけど、その一点に集中する居合い斬り勝負、斬り合いみたいなカラオケなんですよ。

やのあんな 私は小学生になる前から、家族ぐるみの友達や幼なじみとカラオケに行ってました。その頃は松田聖子さんとか、あとは『どんぐりころころ』の童謡とか、そういうのを歌ったり。お父さんが一言一句教えてくれて覚えたんですけど、小学生くらいになると好きな曲が出てきたりするじゃないですか。そこからは自分で覚えて、カラオケに挑んでいました。

──「この曲が好きだな」って思ったら「歌いたい」までつながるものですか?

やのあんな 私の場合は「好き=歌いたい」ですね。e-karaって覚えてます? マイクをテレビにつなぐゲーム機で、家でカラオケができるやつ。延々とe-karaで歌ってましたね。

──歌手・やのあんなの礎は着々とカラオケで培われていったんですね

kz しかも家族とはいえ人に向かって歌ってたんだもんね。

やのあんな 特に、子どもながら同性と行くと燃えるんですよ。幼なじみも私の妹も結構歌がうまかったので、めっちゃ練習して負けないように。

──ある意味、やのさんも斬り合っているカラオケだったんですね。

やのあんな 斬り合ってました!

kz 俺らとはちょっと違う斬り合いだけどね。やのは割とテクニックな話で、こっちは割と気合いの話(笑)。

機械に好かれる歌い方、人間がグッとくる歌い方

──カラオケは日本発祥だそうですが、採点システムや、歌っている時に流れる映像も日本独特のものだそうです。

kz フランスのマルセイユで入ったメシ屋にカラオケがあったんですよ。店のおっちゃんがずっと歌ってるんですけど、たしかに映像はなかったですね。

やのあんな 私もブラジルでカラオケに行った時に……

一同 ブラジル?!

kz すごいワールドワイドな話に……(笑)。

やのあんな 母方の家族がブラジルに住んでいて、中学生の時に何ヶ月か行ったんですけど、たしかにブラジルでも映像出てなかった! それがすごい不思議だったんですよ。

kz いやー、あれ、髪型とかで時代感を感じて好きなんですけどね。

やのあんな あんまり親しくない人と行った時は、それこそカラオケの映像をネタに使ったりしません?「なにこの映像! この人ウケるー」「ここ横浜だ!」みたいに。映像が話のきっかけになったりしますよね。

──採点システムを利用することもありますか?

やのあんな 私は一人でカラオケもめっちゃするんですけど、採点はその時に。一人で歌って完結するよりも採点を通じて遠い誰かと競ったり、「世界で何位」みたいなネット対戦も面白いし、一人で行っても誰かを感じる楽しみがあるかなって。

──それこそ採点って、自分の曲を歌ったとしても100点取れないそうですね。

やのあんな 取れないんですよ。私も98点くらいが最高で、それも他人の曲だったかな。ほんとうに自分がうまいと感じる歌い方じゃなくて、大きな声と正確なピッチで、マイクを口の前でしっかり固定して「機械が点数を出しやすい歌い方」でようやく98点ですから。

kz そうそう、機械に好かれる歌ってまた別の話だと思っていて。僕は基本的に自分の曲では「ビブラートいらない派」なんですけど、ビブラートって採点基準になるじゃないですか。Galileo GalileiのYuuki Ozakiさんと出したlivetuneの『FLAT』って曲は僕も半分歌ってるんですけど、点数が低いと「そもそも採点基準が僕と機械では違うんだ」って言い聞かせ……負け惜しみをする(笑)。

でも、ピッチが100%合っているから良い歌とは限らないんですよね。それは単純に「テクニックとしてちゃんとしている歌」というだけで。ピッチがずれていたり、最後がケツ上がりになっていたり、いろんな表現があって、正しい音程じゃないからこそよく聞こえるものもいっぱいある。歌う人はあまりそこには縛られないでほしいなと思いますね。

カラオケ上達のツールは、録音と初音ミク(!)

──KWC2013年で優勝した田中照久さんによれば「ものまねにならないこと」「歌詞の意味をよく理解して歌うこと」が上達法とおっしゃっています(外部リンク)。ただ、他人の歌を自分らしく歌うのはかなり難しいとも感じます。どうすればものまねを脱せるでしょうか?

やのあんな わざと異性の曲やモノマネしにくい曲を歌ったりしますね。たとえば、声質が似ている人の曲は避ける。私は声が高めなので、宇多田ヒカルさんを歌ったりします。

kz やのの宇多田ヒカルってぜんぜん想像つかない。

やのあんな 音程は元のまま、自分は宇多田ヒカルさんみたいな声じゃないので、どう頑張っても似ないから安心して歌えるんです。逆に、SPEEDさんあたりを歌うと、どう頑張ってもなんかSPEEDさんみたいになっちゃう。今のカラオケって本当に便利で、録音機能もついてるじゃないですか。18歳くらいの頃かな、歌が上手くなりたくて練習していたときに、録音しては家で聞いてチェックするのを繰り返していましたね。

kz それで「自分ってこういう歌い方だったんだな」みたいに確認するんだね。自分の歌い方を知ってからだったら、自分と近いキーの曲でも、また違う表現ができるのかもしれない。やっぱり録音する、プレイバックするっていうのは重要かなって思うんです。

──プレイバックするときはどこに注意して聞きますか?

やのあんな ぶれている部分とか、高音の出し方は気になっちゃいますね。自分の「歌ったつもり」との差は、やっぱり録音で聞くとすごいわかるんですよ。特に声のトーンというか……

kz 声の明暗?

やのあんな うん、明暗。

──自分は明るく歌っているつもりなんだけど、声はそんなに明るそうじゃない、みたいなことがわかるわけですね。

kz 実際、レコーディングでも「もうちょっと楽しそうに歌ってみてください」とかありますね。僕のディレクションって、だいたいニュアンスの話なんですよ。ニュアンスって隠せないし、ニュアンスこそが人間の歌にとって一番のポイント。ニュアンスがよければ、ピッチがずれていてもすごい良く聞こえたりとかもする。

たとえば、単語の一つ目の言葉をはっきり強めに歌うのか、ソフトに歌うのか。そういうニュアンスの一つひとつの付け方が歌の中心部分だと思っていて。注意して聞くと、棒読みっぽく聞こえる原因はだいたいそこだったりするから。

──細かいニュアンスを、しっかり固めきれていない状態ということですね。 kz あと、僕は「ピッチの流れ」を意識して見るんですよ。正確さよりも、「次の音に対してどういうアプローチをかけるか」をすごく見ている。だから基本はどのアーティストも「ここはしゃくり(音程を下から上に急激に引き上げる)で」とか「ここはポルタメント(前の音と次の音を滑らかにつなげるように)で下りてください」とか。僕のディレクションの9割がたは、ピッチの流れと言葉のニュアンスですね。

──意図としては、歌声に緩急をつけるイメージですか?

kz 緩急というよりは単純に表情ですね。そうだ、これは意外に効果的なんですけど、歌がうまくなりたい人は初音ミクで楽譜どおりに一度打ち込んでみるといいです。「なんでこの歌はこんなに魅力がないんだろう」っていうのがわかるから。打ち込みを覚えるのは手間なんですけど。

僕が初音ミクで打ち込みをやっていてよかったと思うのは、歌を魅力的にするたくさんの工夫がわかったこと。いわゆる(初音ミクの)調教って、ボーカルディレクションと似ているんですよ。

たとえば、「知っている」っていう歌詞の「し」は、後ろに「っ」が入っていると、母音まで入れた「Shi」とは言わない。子音の「Sh」だけのホワイトノイズみたいな、音程のない音しかなくなっていく。真面目に歌う子はちゃんと音程もつけたりするんですけど「そこは音程なくてだいじょうぶ」って声をかけると、歌声が自然になったりする。

──それはなかなか気づけないですね。やのさんにも言われたことがありますか?

kz やのは歌のニュアンスの付け方として変なところがあんまりないから、細かい部分の表現を味付け程度、ですね。だからlivetune+の時はあまり時間もかからず、一日に3〜4曲録音できたりしてます。

──やのあんなさんの地道なカラオケの練習が、今に結びついているのかもしれません。

やのあんな つながってるかもしれないです! やっぱりカラオケがあったからこそ、ここまで歌うことが好きになったので。

kz 人前で歌うの楽しい! みたいなね。

やのあんな それもそうだし、私の世代って、採点やゲームみたいな新しい機能がどんどん出てきて、モーニング娘。とかのアイドルが流行ったこともあって、振り付け付きのカラオケがあったりとか……カラオケが盛り上がって以降だったことが大きいんじゃないかなって思っています。

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