KWC優勝の第一歩は“マイステージ”のイメージから?
──カラオケで盛り上がる曲には、振り付けが役立つ面もありますね。今回のlivetune+の新曲『Sweet Clapper』でも、みんなができそうな振り付けがあったり、クラップがあったりして、「ついやりたくなっちゃう感じ」があるなと思います。kz 今回の振り付けやクラップは、ライブに来てくれているお客さん向け&後ろですることがない僕向けというか(笑)。僕はずっと煽っているんですけど、お客さんと楽しむためっていうのが大きいですね。一緒にやってくれたら嬉しいですけれど。
──煽りも含めたステージングという点で、今回のKWC2016はパフォーマンス力も選考理由になっていますが、カラオケでパフォーマンス力をアップする方法はあるでしょうか。普段、お客さんを盛り上げるためにしている工夫はありますか?
やのあんな いろんな人を見ることですね。手前の人も見て、奥の人も見て、やっぱり一人ひとりの目を見るくらいの勢いで。
kz たしかに結構よく見てるね。子どもがいたらとりあえず手を振るとか。
やのあんな そうですね。盛り上げたいときは(目線や仕草で)コミュニケーションをとるのが重要なのかも。逆に、バラードっぽいとか、メッセージ性の強い曲の時は、特定の人を見ないほうがパフォーマンスとしてはいいかなって。ここぞという伝えたい時だけにしたりとか。
──たとえ動画でも、実際にお客さんが目の前にいなくても、「届けよう」とか「あなたに向けて歌っているんだよ」って気持ちが入っていれば、少しはその雰囲気が出てくる?
やのあんな 出てくるし、それに尽きると思います。私はひとりでカラオケをする時も目の前にお客さんがいるつもりでやっています。だから、行儀良くはないですが、イスの上には絶対立って、ステージをつくって歌います。
私の場合はたくさんの人に届けたいから、たくさんの人を想像しますけど、たとえば恋の歌を歌いたい時は本当に好きな人を思い浮かべたらいいと思います。イメージって絶対に大事な気がします。
kz 以前、声優さんに「ここがアリーナだと思って、一番遠くの、一番後ろのお客さんに飛ばすような感じでボイスをください」ってディレクションをしたことがあるんですけど、声の飛ばし方が変わって、遠くに言っている感じになるし、パワーが出る。そうするとマインドも変わってきて、気迫みたいなものがぜんぜん違ってくるんじゃないかな。
やのあんな これをやったらきっとKWCでも優勝できますね!
──実際にKWC2016の会場は、渋谷のクラブクアトロや六本木のニコファーレ、アジア大会は中国へ飛んでマカオ、世界大会はカナダのバンクーバーですからね。どんどんお客さんも増えて、国籍も豊かになっていくと。
やのあんな じゃあカナダを見て、歌ったらいいんじゃないですか?! カナダへ届くように歌ったら優勝ですよ、ぜったい!
kz カナダを見てって、どこだよ(笑)。
言語を超えるのは気迫
──カナダまで響かせるイメージで(笑)。実際に海外のステージも経験されたお2人は、日本との違いをどんなところに感じますか?やのあんな 海外ではやっぱり言葉が伝わらないので、ジェスチャーじゃないけど、声で思いを伝えるんです!
kz マインドって伝わるんですよね。「こいつはなんかすげー必死に伝えようとしているぞ」っていう精神に、国籍は関係ない。KWCにも、純粋に良いものは良いと思ってくれる人が来ているだろうから、臆せずにやるしかない。日本だろうと海外だろうと何も違いはない。言葉は通じないけど。
やのあんな なんなら通じない方がいいと思います。逆に伝わる気がします。言葉がわかるといろいろ聞きたくない言葉、たとえば悲しい歌詞とかも入ってきたりするじゃないですか。でも言葉がわからなければ、その人の思いだけがスッと入ってくる。
kz 僕らも洋楽を聞くじゃないですか。歌詞のすべてをわかるに越したことはないけれど、わからなくたってすごい曲だな、すごい音楽だな、っていうのは伝わる。だから、別に気にする必要はないなって思います。
──観客のノリも海外ではちがいますか?
kz 逆に海外のが乗ってくれるでしょ?
やのあんな うーん、場所によりますかね。乗ってくれるところもあれば、乗らないところも……イギリスだったかな、たぶんもっとおしゃれなものを求めていたのかな……。
kz 国民性はありますよね。アメリカは本当にやりやすくて、「やったぜ!YEAH!」みたいに楽しければダイレクトに伝えてくれる。オーストラリアも、そういう意味ではやりやすかった。たぶんどこの国と比べても日本がいちばんシャイだと思うんですよね。だから逆に東京大会や日本大会が大丈夫だったら、他の国の大会も大丈夫!
結局のところ、さっきも言ったけど、最後は気迫なんですよね。正直もう、気迫さえ伝われば「こいつはすごいものを歌で伝えようとしている」っていうのは感じるもので。もちろんピッチは合っていたほうがいいけれど、やっぱりどうしても伝えようという気迫があれば、ニュアンスは自然と生まれるし。
映像のパフォーマンスにしても、「鬼気迫る顔ですげーことを歌っている」みたいなのは、特に審査員をされている方はたくさんの歌手を観てきている人たちだろうから、絶対わかるはず。いかにシャイな部分をなくして、自分を出すかですよね。 ──シリアスだけでなくて、「楽しい」の気迫もありますね。
kz 「俺、楽しいぜ!」っていう気迫ですよ。やのはそれが出てると思うんですよ。「私、いまが楽しい!」みたいな感じが伝わるから、子どもも乗っかってくれるし、おじいちゃんも「うちの孫が頑張ってる」みたいなキラキラした表情になるし(笑)。
「ミスってもしゃあないっしょ!」が緊張を飛ばす
──いかに気迫を出すかが勝負の分かれ目になると。あとは緊張との戦いでしょうか。やのさんはステージで緊張されるタイプですか?やのあんな もともと緊張しないほうですね。でも、livetune+になって最初の頃はちょっとしてました。kzさんが、「失敗しても、良くはないけど、しょうがない。歌詞を間違えても、それはそれで味だから」みたいなことを言ってくれて、失敗とか、エライ人が見ているとか、何もかも気にしなくなったら緊張もしなくなってきました。
kz たぶん「間違えないように」って、みんな考えると思うんですよね。完璧な歌を歌おうみたいな。でも間違えないようにと思うと、人は余計に間違えるんですよね。気迫の話とはまた別に、「ここは市民会館で、おじいちゃんやおばあちゃんを前にしたカラオケ大会にいる」くらいの気持ちでいい。そういうふうに自分の気持ちを持っていけるかが難しいところですよね。
やのあんな 自分が楽しもうと思えれば、そういうのも気にならなくなる近道になるのかなって。
kz ライブで「風邪を引いて声がガラガラなんです……本当に今日はパフォーマンスがすみません」と言ったある歌手が、実際はめちゃくちゃいい声で、いいパフォーマンスだったのを観たことがあるんです。本人は納得していないかもしれないけど、それでも聞く人を惹きつけることもあるので。
トラブルがあったとしても、それは別にしょうがない、と吹き飛ばす気持ちは絶対に必要。「まぁ、ミスってもしゃあないっしょ!」って大雑把な部分がないとしんどいなと思いますね。特にこういう大舞台だと。
「俺のツアーファイナル」を応募すればイケる!?
──ちなみにカラオケの十八番ってありますか?やのあんな 石川さゆりさんの『天城越え』ですかね!
kz なんでだよ(笑)
──意外!
やのあんな 超気持ちいいんですよ。サビのところが決まると。みんな鉄板の十八番かもですけど。
kz 僕は得意ってわけじゃないですけど、BUMP OF CHICKENさんが好きなので、すごい歌うんですよ。中でも『sailing day』はリズムの運びが死ぬほど気持ちいい。Aメロは特に良くて、「愚かなドリーマー」の部分とか、節の運びが歌っていてすごい気持ちいいって気づく。
──歌って初めて気づくこともあるんですね。
kz ありますね。「こんなに歌詞が詰まっていて大丈夫?」ってところが意外と早口でも歌いやすい! みたいな。
──歌い込んで好きになっていくこともあるんでしょうね。好きになればなるほどピッチも身について、気にすることも減って、気迫やイメージを込めやすくなる。 kz いま思いついたんですけど、歌いたい曲を何か事あるごとにを歌うことで、いろんな思い出を全部その歌に凝縮して、気持ちを乗せまくるみたいなことはできるかもしれない。
友達と離れ離れになったときに歌ったら、その曲を歌った瞬間に全部の思い出が走馬灯のように出てきて、歌うたびに泣く! みたいな。歌いながら気持ちをすげー込めてるみたいに見えるかもしれない。完全に裏ワザだけど。
──歌と思い出は結びつきやすいですしね。
kz あんまりやりすぎると泣きすぎて歌えなくなるかもしれませんけど。前奏で「もう勘弁してくれ!」って倒れこむ、カナダで(笑)。
──万感の思いすぎる! アーティストのツアーファイナルがいちばん盛り上がるのは、そういう思い出が重なっていく面もあるのでしょうか?
kz そうですね。「ここで失敗して大変だったな」とか、「いろいろあった!」っていう思いが一番詰まってるから。そういう気持ちの出し方がわからないなら、思い出を重ねていくやり方もあるんじゃないかなっていう。かなり無理やりですけど。
──俺なりのツアーファイナルをつくっちゃうってことですよね。
kz そういうことですね! いろんなことがあった自分ツアーをつくってしまう。
──歌は技術だけじゃなく、仕草やニュアンス、イメージを通じて表現するというのを感じられるお話でした。KWC2016に応募する人にとっても参考になると思います。ありがとうございました!
2016年の日本大会、応募〆切は5月31日!
KWCの主催はフィンランドのKWC Organization Ltd.だが、日本では通信カラオケの「DAM」やカラオケルーム「ビッグエコー」を手掛ける第一興商が公式パートナーシップを結び、2012年から日本大会を実施している。現在、応募受付中の2016年大会も、DAMが設置されている日本全国のカラオケ店を利用し、会員サービスの「DAM★とも」から歌唱動画や音源を応募することでエントリーできる。いくつか条件はあるが、無料で参加できる。
2013年には日本代表の男性がチャンピオンに輝いている。彼は決勝で敬愛するさだまさし『たいせつな人(シネマ・ヴァージョン)』を熱唱(外部リンク)し、日本のアマチュアシンガーと音楽が世界の心を震わせられることを証明した。その後彼は、さだまさし本人のテレビ番組に出演、そしてさだまさしさんの楽曲カバーで歌手デビューを飾ったことも、ここに書き記しておきたい。
彼の次に続くのは、カラオケでいつもの大好きな曲を熱唱する、あなたかもしれないし、友達かもしれない。2016年日本大会の応募〆切は5月31日(火)。世界一の景色を見るための扉は、まだ閉じていない!
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イベント情報
「KARAOKE WORLD CHAMPIONSHIPS 2016」日本予選
- 募集内容
- KWC 2016 アジア大会・世界大会に出場する日本代表男女各1名
- 応募期間
- 【第1次応募】2016年4月1日(金)~4月30日(土) 合否発表5月中旬
- 【第2次応募】2016年5月1日(日)~5月31日(火) 合否発表6月中旬
- ※第1次、第2次ともにエントリー可能
- 応募資格
- 以下の条件をすべて満たす方
- (1)KWC2016の日本大会、アジア大会、世界大会に出場可能な18歳以上の方
- (2)特定のプロダクションやレコード会社・音楽出版社と契約したことがないアマチュアの方
- (3)日本国籍で国内在住の方
- 応募方法
- (1)DAM★とも会員になる(無料)
- (2)DAM★とも動画またはDAM★とも録音で自分の歌を録画・録音する
- (3)PC・スマートフォンのKWC 2016 JAPAN オーディションサイトより希望の予選会場を選んで応募する
- 応募曲
- DAM★とも動画・DAM★とも録音対応楽曲の中から自由にお選びください
- スケジュール
- 東京大会
- 2016年7月2日(土) 渋谷クラブクアトロ
- 大阪大会
- 2016年7月16日(土)梅田 amHALL(アムホール)
- 日本決勝大会
- 2016年8月27日(土) 六本木 ニコファーレ
- アジア大会
- 2016年10月6日(木)〜10月9日(日) 中国・マカオ(前後各1日は移動日)
- 世界大会
- 2016年11月1日(火)〜11月6日(日) カナダ・バンクーバー(前後各1日は移動日)
- 運営主体
- KSF Entertainment
- 特典
- <各地区予選大会優勝者>日本大会(東京)までの交通費を当社が負担
- <日本代表>アジア大会、世界大会準備金+渡航・宿泊費を当社が負担
【対象店舗】
・DAM★とも動画
LIVE DAM シリーズがあり、DAM★とも専用カメラとDAM★とも対応デンモク(SmartDAM/L、デンモクiDS/2)があるお店
・DAM★とも録音
LIVE DAM シリーズ/Premier DAM があり、DAM★とも対応デンモク(SmartDAM/L、デンモクiDS/2、デンモクiD)があるお店
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