どうしてアートなの? そもそも、アートって何?
アートは自由な創造活動と思われがちだが、その世界で評価されるためには、偏ったアートヒストリーのシステムの中に自分を位置づけなければいけない。たとえば、美術史家であるリンダ・ノックリンが1971年に発表した「Why Have There Been No Great Woman Artists?」という論文では、女性アーティストが、優れた作品をつくっていたのにも関わらず、アートヒストリーの中で長らく評価されずに埋もれてきたことが、数々の例とともに論証されている。
こういった傾向は、クィアスタディーズやフェミニズムの発展によって、解消されてきてはいるが、まだまだ日本のアートスクールで取り上げられることが少ない事実でもある。
マイノリティ・アート・ポリティクス・アカデミーとは?
アーティスト兼エッセイストの柴田英里が主催する、現代アートの魅力や、様々なヴィジュアルカルチャーを、 クィアスタディーズに基づいて読み解く、全5回の鼎談式トークイベント。このイベントには、『視覚文化「超」講義』の筆者として知られる石岡良治さんや、ロボティクスクリエイターのきゅんくんこと松永夏紀さんをはじめとして、アーティストのろくでなし子さんや、哲学者の千葉雅也さんなど、総勢 10 名の豪華ゲストが登壇予定だ。これらのゲストとともに、様々なトピックと視点から、アートカルチャーやヴィジュアルカルチャーのの魅力を発掘・共有していく。
会場となる新宿眼科画廊は、既存のアートの枠組みを超えていくようなアグレッシブな表現の場として、カルチャーシーンに影響を与えてきた。 このイベントも、表現者と観客がともに学び、関心や意見を交わし合うことが予想される。
なお、このイベントの記録を、映像や冊子で残すためのアーカイヴ・プロジェクトが、11/22からCAMPFIRE(http://camp-fire.jp/projects/view/3955)で始動している。
このアーカイヴは、まだまだ日本で少ないLGBT系アートイベントとして、今後の活躍のリソースとなる予定だ。
Artist Statement
アーティストでエッセイストの柴田英里と申します。
わたしは、LGBT をはじめとしたマイノリティ差別や 女性差別の問題に関心があり、そういったテーマをモチーフに、彫刻制作や文筆活動をしています。 しかしながら、現代の日本のアート界では、こうした問題はあまりとりあげられず、また、学ぶ場所も少ないため、同じような興味を持っている人たちが、問題を共有する場がありません。 そういった現状を改善したく思い、今回、「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー」という連続トーク・アートイベントを企画し、来年 2月19・20・21・27・28 日の5日間で、実行するはこびとなりました。 日本のアート界における女性を含むマイノリティ差別の問題に関して、広く世の中に問いかけ、そうした問題の改善に向けて思考する場所をつくり、そうした記録をアーカイヴすることによって、より多くの人に伝えたいと考えています。
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イベント情報
MINORITY ART POLITICS ACADEMY(マイノリティ・アート・ポリティクス・アカデミー)
- 会場
- 新宿眼科画廊 地下1階 (〒 160-0022 東京都新宿区新宿 5-18)
日時:2016年
第1回 2月19日:ジェンダーから見る美術史
第2回 2月20日:セクシュアリティと暴力
第3回 2月21日:セクハラ・アカハラ・パワハラ・テクハラ
第4回 2月27日:超!視覚文化塾
第5回 2月28日 :"女の子カルチャー "、或は、" 主流ではないとされるもの " の正しい保存と伝承
各回 17:00 ~を予定(※第1回のみ 19:30 ~を予定)
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