未知なる「書」の世界へ!
いよいよ最後の「書」のエリアです。書って、難しいイメージがありますよね。普段自分が書いている「文字」を使っている作品だからこそ、「なんて書いてあるかわかんないなぁ」とか思ってしまうんです……。でも、読める・読めないは関係なく、その作品に込められた気持ちを読み取って、自分が「持って帰りたい作品」を選んでみたいところ。 そのためにも、まずは書について少しは知ってから作品を観ていきたいですね。
書には、「漢字作品」、かなのみで書かれる「かな作品」、漢字とかなを交えて書く「調和体作品」、主に篆文を印材に刻む「篆刻作品」があります。
さらに、漢字作品は大別して、篆書(てんしょ)、隷書(れいしょ)、楷書(かいしょ)、行書(ぎょうしょ)、草書(そうしょ)の5種類。自分がどの書体が好きかも知れたら楽しそうです。 書は、日展の5部門の中でも応募数も作品数も一番多いそうで、こんなに広いスペースに上下2段で展示されています。
井茂圭洞 「八雲立つ」
深紅の絹地に書かれていて、ひときわ目を惹く作品でした。解説を見なければ、そこに何が書かれているのか読むことは出来ませんが、文頭の位置がデコボコしているリズムや、作品全体の余白が絶妙に配置されているのが分かります。新井光風 「爽神」
こちらもやはり解説を見るまでは「爽神」と書かれているかわかりませんでした。ですが、やはり勢いがあってかっこよすぎませんか……! 「爽神」という漢字に、魂をプラスしてデザインされた文字になっていますよね。黒田賢一 「あしひきの」
すみません、こちらも最初の「あし……」くらいしか読むことは出来ませんでしたが、読むことの出来る文字だけでも、細い文字に力強さを感じました。紙の白さに、濃い黒の文字が引き立っています。「日展」は怖くない!
今回初めて日展を観て、本当に様々な画風の作品が一緒に並んでいることにまず驚きました。主義主張が同じ方が集まってつくられた団体ではないので、多彩な画風の作家さんが集まっていらっしゃいます。穏やかな作品のすぐ隣に、アバンギャルドな作品が飾られていたりして、作品数は多いですが見ていて飽きません。いわゆる「今をときめく美術家」ばかりではないけれど、伝統的なアートの潮流を受け継いで活動をしている、なかなか他ではお目にかかる機会のない在野の作家さんたちが一堂に会する、他にない展覧会でした。
また、それが毎年行われているというのが驚きです。日本の文化を「定点観測」する意味でも他にない価値のある美術展だと思います。 ちなみに、各部門の展示の終わりに絵はがきが販売されていました。「持って帰りたい作品」を決めながら見ても、現実には持って帰れないので、ひとまず絵はがきで我慢したいところです。
巡回展も開催されます
東京での会期は12月6日(日)までとなっておりますが、東京に続いて、京都・名古屋・大阪・福岡・金沢・青森の地方会場をまわる巡回展が来年夏まで開催されます。もし会期に間に合わなかった!という方や、地方にお住まいの方は、ぜひ以下のスケジュールで足を運んでみてはいかがでしょうか。一度観に行ってみると、たくさんの発見があると思います。 ※スケジュールは変更になる場合があります
今回のレポートでは、私の好きな作品をご紹介しながらでしたが、みなさんにも何か好きな作品は見つかりましたでしょうか?
ぜひ皆さんにも実際見ていただいて、どんな作品が好きかという話ができたら嬉しいです。
この記事どう思う?
イベント情報
改組 新 第2回(平成27年度)公益社団法人 日展(日本美術展覧会)
- 会場
- 国立新美術館 東京都港区六本木 7-22-2
- 会期
- 2015年10月30日(金)~平成27年12月6日(日)
- 休館日
- 毎週火曜日 ※ただし11月3日(火・祝)は開館・11月4日(水)休館
- 観覧時間
- 午前10時~午後6時(入場は午後5時30分まで)
- 主催
- 公益社団法人 日展
- </br>
- 巡回展スケジュール
- 京都
- 2015年12月12日(土)~2016年1月17日(日)京都市美術館
- 名古屋
- 2016年1月27日(水)~2月14日(日)愛知県美術館ギャラリー
- 大阪
- 2016年2月20日(土)~3月21日(月)大阪市立美術館
- 福岡
- 2016年3月26日(土)~4月17日(日)福岡市美術館
- 金沢
- 2016年5月21日(土)~6月12日(日)石川県立美術館
- 青森
- 2016年6月18日(土)~7月10日(日)青森県立美術館
関連リンク
1件のコメント
CKS
行きたいな〜!