連載 | #1 冨樫義博『HUNTER×HUNTER』超特集

ハンター再開なるか? 冨樫義博が25年連続掲載していた事実が判明

ハンター再開なるか?  冨樫義博が25年連続掲載していた事実が判明
ハンター再開なるか?  冨樫義博が25年連続掲載していた事実が判明

2012年に発売された『HUNTER HUNTER』最新刊(32巻)

漫画家・冨樫義博さんといえば、『HUNTER×HUNTER』『幽☆遊☆白書』『レベルE』といった綿密に考えつくされた構成を武器とした名作漫画を世に送り出す一方、非常に寡作──悪い言い方をすれば尋常ではないほどに休載が多い作家として知られている。

インターネット上では「冨樫仕事しろ」と一年中誰かしらが投稿しているし、「休載=冨樫病」とまで揶揄されているほどに、作品の面白さ以上に、冨樫義博という作家と休載とはセットで語られることが多い。

そんな冨樫さんだが、漫画連載に関する驚異的な記録を保持していることが発覚した。それはなんと、あれだけ休みがちにも関わらず、実は「『週刊少年ジャンプ』に25年間、毎年作品を掲載している」という、意外すぎる事実だ。

25年以上連続でジャンプに掲載しているのは冨樫義博と秋本治のみ

2015年11月11日現在、冨樫義博さんの連載中作品『HUNTER×HUNTER(ハンターハンター)』の休載回数はなんと501回。気づけば500回を越える歴史的記録をつくってしまっていたが、彼はもう一つ、作品をまたいではいるが、25年連続で『週刊少年ジャンプ』に連続掲載という、しっかりとした輝かしい記録を持っていたのだ。

冨樫義博さんの25年の『週刊少年ジャンプ』掲載歴

1989年 『狼なんて怖くない』『てんで性悪キューピット』
1990年 『てんで性悪キューピット』『幽☆遊☆白書』
1991年〜1994年 『幽☆遊☆白書』
1995年〜1997年 『レベルE』
1998年〜2014年 『HUNTER×HUNTER』

25年もの長い間、必ず毎年ジャンプに作品を掲載するという記録を持っている漫画家は、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で37年という連載でギネス記録保持者となった秋本治さん(現時点では39年連載)と、休載王・冨樫義博さんのみとなっている(編集部調べ)。

鳥山明、荒木飛呂彦も冨樫義博先生には及ばず

ジャンプを代表する看板漫画作家として知られる鳥山明さんは、『Dr.スランプ』連載開始から『ドラゴンボール』連載終了までの、15年(1980年〜1995年)。その後読み切りや小連載も不定期で掲載しているが、ジャンプに毎年継続的には描けてはいない。

秋本治さんに次いで長期連載作家として思いつく『ジョジョの奇妙な冒険』の作者・荒木飛呂彦さんも、作品掲載誌を『週刊少年ジャンプ』から『ウルトラジャンプ』に変更したため、惜しくも記録は17年(1987年〜2004年)。『ジョジョ』の前作である『バオー来訪者』や『魔少年ビーティー』を入れればあるいは、と思ったが『ジョジョ』の連載準備のためか、1986年はジャンプ本誌には作品掲載がなかった(たとえ1986年を描いたことにしても22年と冨樫さんには及ばない)。

その他、『キン肉マン』のゆでたまごさんや『DEATH NOTE(デスノート)』『バクマン。』の小畑健さんも長らくジャンプで掲載しているものの、どうしても掲載がない年が発生してしまっている。

あれだけ「冨樫仕事しろ」と愚痴っている僕らだが、たとえ年に2回しか作品が掲載されずとも(2009年、2013年の『HUNTER×HUNTER』掲載は2回だけだった)、実は毎年しっかりと冨樫義博先生の作品に触れていたのだ。

冨樫義博 インタビュー

『HUNTER×HUNTER』連載初期のインタビュー動画。アニメ化も決定し、やる気に満ち溢れた綺麗な目をしている

連続掲載記録は25年でストップか? それとも

しかし、この連続掲載年の記録がついに終わろうとしている。なんと、2015年の冨樫義博さんの作品掲載は0回。この記事を執筆している時点で、2015年も11月の半ばにさしかかっている。

だがしかし、ファンサイト「HUNTER×HUNTER 休載リスト」(http://hunter.noihjp.com/rest/)のデータを分析すると、冨樫さんは年末から年始にかけて連載を再開する傾向が強いのが分かる。

もし冨樫さんが「戦略的に」作品掲載のない年をつくるまい、として『HUNTER×HUNTER』の執筆ペースを調整しているとしたら(彼の性格上、それはあり得ることだと冨樫ファンの僕は推測する)、2015年12月31日までに1回は作品が掲載される可能性は十分にある(というかそう信じたい)。

25年間、必ず2回以上は『週刊少年ジャンプ』に漫画を掲載する。その記録が更新されるのか、はたまたここで終わってしまうのかは、現在、腰を痛めているという理由で休載を続けている冨樫さん次第だ。

それは、孤独な戦い

少年漫画誌の最高峰、『週刊少年ジャンプ』。数多の漫画家がこの雑誌への作品掲載を夢見て、日夜努力し、たとえ連載を勝ち取れたとしても毎週しのぎを削り合っている。

しかし、あの冨樫義博さんもまた誰にも理解されずとも、別の次元で戦っていたのだ。毎年ジャンプに漫画を掲載するということ。何が彼をそうさせるのかはわからない。だがその知られざる功績は褒め称えられるべきではないだろうか。

なお、『週刊少年ジャンプ』休載回数500回を越える記録を持つ漫画家は、冨樫義博さんただ一人だ。この記録を打ち破る作品と作家は今後の漫画史において現れるのだろうか。そして、できれば現れないことを強く願いたいと思う。冨樫早く仕事しろ。

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冨樫義博『HUNTER×HUNTER』超特集

1998年より『週刊少年ジャンプ』にて連載を開始した漫画家・冨樫義博さんが描く『HUNTER×HUNTER』。 主人公のゴン=フリークスが父親であるジンを探すためハンターとなり、キルア、クラピカ、レオリオといった仲間達との絆を深めながら、未知なる敵との戦いを描きます。 緻密に計算された高度な攻防と読者の予想を上回り続ける展開で人気を博す一方、非常に寡作なことでも知られ、現在までに500回以上の休載を繰り返していることも話題となりました。 冨樫義博『HUNTER×HUNTER』超特集では、そんな本作に魅せられたKAI-YOUの面々が、作品にまつわる疑問や伏線などを考察するコラム記事を執筆。ときには座談会も実施しながら、一読しただけでは伝わりづらい冨樫義博作品に通底する思想を紐解きます。

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1件のコメント

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editoreal

AOMORI SHOGO

サンデーだけど、あだち充とか高橋留美子、青山剛昌とかもかなり連載している気がする。気になるな〜

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