お笑いコンビ・オードリーの若林正恭さんによる初の小説『青天』が、第175回直木三十五賞(2026年上半期)の候補作に選出された。
公益財団法人日本文学振興会が6月11日(木)に発表した候補作には、朝倉かすみさんの『けんぐゎい』、蝉谷めぐ実さんの『見えるか保己一』、凪良ゆうさんの『多類婚姻譚』、原田ひ香さんの『#台所のあるところ』などが名を連ねている。
選考会は7月15日(水)に東京都内で開催される。
若林正恭、初の小説『青天』で直木賞候補入り
『青天』は、若林正恭さんが2026年2月に文藝春秋から刊行した初の長編小説。
主人公は高校アメリカンフットボール部に所属する「アリ」こと中村昴。万年2回戦止まりのチームでプレーしていた彼は、強豪校との敗戦を最後に引退するものの、受験にも将来にも踏み出せず、宙ぶらりんな日々を過ごしていた。
そんな中、再びアメリカンフットボールと向き合うことになる若者たちを描いた青春小説だ。
若林正恭『青天』書影/画像はAmazonより
タイトルの「青天」はアオテンと読み、アメリカンフットボール用語で、選手が仰向けに倒れ空を見上げる状態を意味する。
若林さん自身も高校時代にアメリカンフットボール部へ所属。
現在の相方である春日俊彰さんとは、日本大学第二高等学校のアメリカンフットボール部で出会ったことが知られており、本作には自身の原風景が反映されているようだ。
芸人、ラジオパーソナリティ、そして文筆家として
若林正恭さんは1978年生まれ。春日俊彰さんとのコンビ・オードリーのツッコミ担当として活動している。
2008年の『M-1グランプリ』で敗者復活から決勝へ進出し、一躍ブレイク。その後はテレビ番組やラジオ番組で活躍し、ニッポン放送『オードリーのオールナイトニッポン』は長寿番組として高い人気を誇る。
一方で、文筆家としても活動を続けてきた。
2013年にはエッセイ集『社会人大学人見知り学部 卒業見込』を刊行。2017年にはキューバ旅行を綴った紀行文『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』で第3回斎藤茂太賞を受賞した。
2018年刊行の『ナナメの夕暮れ』では、自意識や孤独、社会との距離感を率直に綴る語り口が支持を集めている。
今回の『青天』は、そうしたエッセイや紀行文の執筆を重ねてきた若林さんにとって、本格的なフィクションへの挑戦としても注目を集めていた。
第175回直木賞候補作
今回発表された候補作は以下の5作品。
朝倉かすみ『けんぐゎい』(光文社)
蝉谷めぐ実『見えるか保己一』(KADOKAWA)
凪良ゆう『多類婚姻譚』(講談社)
原田ひ香『#台所のあるところ』(文藝春秋)
若林正恭『青天』(文藝春秋)
凪良ゆうさんは『流浪の月』『汝、星のごとく』で2度の本屋大賞を受賞した人気作家。原田ひ香さんも『三千円の使いかた』などで広く知られている。
直木賞は、新進/中堅作家によるエンターテインメント作品を対象とする文学賞。今回の候補作には、歴史小説、青春小説、現代小説など幅広いジャンルが並んだ。
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