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三宅香帆

みやけ かほ

三宅香帆(みやけ かほ)は、1994年生まれ、高知県出身の文芸評論家、書評家。京都市立芸術大学非常勤講師。代表作に『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』『「好き」を言語化する技術』『考察する若者たち』『ニュー日本文学史』『推したちとどう生きるか』などがある。

文学作品の批評にとどまらず、労働、SNS、推し文化、若者文化、家族などの身近なテーマを、文学やポップカルチャーの分析を通じて論じることで知られる。

概要

幼少期から読書を好み、京都大学では国文学を専攻。大学院では『萬葉集』を研究し、博士後期課程まで進んだ。

大学院在学中、勤務していた天狼院書店のWebサイトに書いた選書記事がインターネット上で大きな反響を呼び、その内容をもとに2017年に初の著書『人生を狂わす名著50』を刊行した。

その後、リクルートに就職し、会社員と書評・執筆活動を兼業。仕事を続けるなかで、それまで好きだった本が読めなくなった自身の経験も、後の代表作『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』につながった。

2022年に会社員を辞め、文筆業として独立。文学作品の書評や批評だけではなく、労働、ジェンダー、家族、若者文化、SNS、推し活などへ対象を広げている。

2024年刊行の『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』は、労働と読書の歴史から「仕事をすると趣味を楽しむ余裕がなくなる」という現代人の問題を分析し、大きな反響を獲得。「第2回 書店員が選ぶノンフィクション大賞2024」、新書大賞2025の大賞を受賞した。

同じく2024年には『「好き」を言語化する技術』を刊行。推している作品や人物について、自分自身の感想を言葉にするための方法を解説し、こちらも30万部を突破した。

2025年には『考察する若者たち』を刊行。映画や漫画、ドラマについて「作者が用意した正解」を探そうとする現代の「考察」文化を題材に、若者の消費行動や「報われたい」という感覚を分析した。

2026年には『ニュー日本文学史』『「夫婦」不在社会』『推したちとどう生きるか』などを相次いで刊行。古典文学から現代の推し活までを横断しながら、文芸評論と社会批評の双方で活動している。

プロフィール

  • 名前:三宅香帆
  • 読み:みやけ かほ
  • 英語表記:Kaho Miyake
  • 生年:1994年
  • 出身地:高知県
  • 居住地:京都府
  • 職業:文芸評論家、書評家
  • 学歴:京都大学文学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程中退
  • 大学院での専門:『萬葉集』
  • 現職:京都市立芸術大学非常勤講師
  • 主な著書:『人生を狂わす名著50』『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』『「好き」を言語化する技術』『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』『考察する若者たち』『ニュー日本文学史』『「夫婦」不在社会』『推したちとどう生きるか』
  • 主な受賞:第2回 書店員が選ぶノンフィクション大賞2024、新書大賞2025

批評を「現代の生活」に接続

三宅香帆の特徴の一つが、文学作品を文学の内部だけで論じるのではなく、現代人の日常生活や社会の問題と接続して読み解くことである。

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』では、日本における労働と読書の歴史を振り返りながら、仕事によって文化や趣味を楽しむ余裕が失われる構造を分析した。

『「夫婦」不在社会』では、小説、映画、ドラマなどに描かれてきた夫婦像から、仕事と家庭、ジェンダー、コミュニケーションの問題を読み解く。

『推したちとどう生きるか』では、「推し」を単なるオタク文化の流行ではなく、現代社会に定着した文化として捉え、その歴史やファンダムの問題、持続可能な推しとの関係を考察している。

個別の作品を読むことから出発しながら、その背後にある社会構造や時代の感覚を言語化することが、三宅の批評の大きな特徴となっている。

考察と批評の違い

『考察する若者たち』で三宅は、令和のポップカルチャーを特徴づける現象として「考察」の流行に注目した。

三宅は、現在広く使われている「考察」を、作品の作者があらかじめ用意した謎や伏線の「正解」を探す行為として整理。一方で「批評」は、作者自身も必ずしも意識していない意味や問題を読者が見つける行為として区別している。

映画、漫画、ドラマの公開直後からYouTubeやSNSに「伏線解説」「考察動画」が大量に投稿される現在、作品を自由に解釈するよりも「正しい答えを知りたい」という欲求が強まっていると分析した。

その背景を、推し文化における「応援」、仕事における「成長」、インターネット検索や生成AIによる回答などとも結びつけ、「正解」や結果によって努力が報われることを求める現代の価値観として論じている。

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の大ヒット

三宅の知名度を大きく高めたのが、2024年4月に集英社新書から刊行された『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』である。

自身が会社員時代に抱いた「本を買うために働いているのに、働くと本が読めない」という疑問を出発点に、明治から現代までの日本の労働と読書の歴史を分析した。

本書では、本には自分が求めていなかった情報=「ノイズ」が含まれている一方、インターネットでは自分の欲しい情報だけを効率的に取得しやすいという違いにも注目。

仕事によって余裕を失った人間は、まとまった注意力を必要とする読書よりも、必要な情報へ効率的にアクセスできるコンテンツを選びやすくなると論じた。

同書は2024年の新書ノンフィクション年間ベストセラー1位となり、「第2回 書店員が選ぶノンフィクション大賞2024」に続いて「新書大賞2025」の大賞を受賞した。

新書大賞では、当時30歳で史上最年少、初の平成生まれの大賞受賞者となった。

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