皮膚に刻まれた模様、身体そのものの形の変化、そこに込められたファッションや価値観。
自分自身の身体を通して「好き」を表現する人々が集うコミュニティがある。2026年に発足10周年を迎えた「刺青愛好会」だ。
長い年月をかけてタトゥーを刻み続ける人、シリコンインプラントによる身体改造に向き合う人、タトゥーとギャルカルチャーを融合させる表現者。
一見すると、それぞれ異なる方向を向いているように見える彼らだが、そこには共通した価値観があった。
「自分が好きな姿で生きる」
KAI-YOUでは、刺青愛好会10周年記念パーティーに潜入。参加者たちに、なぜ身体を変え続けるのか、そして10年間この場所が続いてきた理由を聞いた。
「10年かけて完成した」身体に刻まれた時間
会場で出会ったのは、約10年にわたってタトゥーを入れ続けてきたという参加者たち。
「10年ぐらい。最近全部一応終わりました」
「まだまだ完成していない。これから背中やお尻をやっていく」
様々なかたちで身体表現を楽しむ人がいた。
様々なかたちで身体表現を楽しむ人たち
では、長い時間と痛みをかけて得たものは何なのか。返ってきた答えは、意外なほどシンプルだった。
「人と違うところですかね」
それは誰かより優れているという意味ではない。自分だけの選択を、自分自身の身体に残しているという実感がこもっていた。
身体改造は「知識」ではなく「体験」から理解するもの
会場で注目を集めていたのが、額や手などに立体的な造形を持つMejiさんとHachiさんだ。
タトゥーと身体改造のビジュアルが目を引くMejiさん
2人が行っているのは、医療用シリコンなどを皮膚の下に埋め込むインプラントによる身体改造。Mejiさんはタトゥーと身体改造の調和をテーマに、一方のHachiさんは身体改造そのものを追求しているという。
近年では海外アーティストとの交流も増え、2人はメキシコなど海外へ赴きながら、5〜6年ほどかけて現在の身体表現へたどり着いた。
医療用シリコンなどを皮膚の下に埋め込むHachiさん
なぜ、そこまでして身体を変えるのか。その理由として語られたのは、単なる見た目へのこだわりではなかった。
「知識だけじゃなくて、自分が身体改造を受けることで、知識以上の体験が得られる」
「人生は短いから、好きなことを全部やる」
タトゥーとギャルファッションを組み合わせ、自分だけのスタイルを貫く女性にも話を聞いた。
ブラック&グレイのタトゥーで妖怪など好きなモチーフを身体に刻み、ネイルやメイクも含めて全身で自身の美学を表現する彼女。
「人生短いやな」
タトゥーも、黒ギャルというスタイルも、根底にあるのは同じだった。
「人生短いから、自分が好きなこと全部やる」
その言葉には、周囲からどう見られるかではなく、自分がどうありたいかを大切にする強さがあった。
「痛いのも美学」身体表現を共有する場所へ
もちろん、タトゥーや身体改造には痛みも費用も伴う。それでも続ける理由を尋ねると、答えは明快だった。
「好きだから」
「痛くても、好きなものがただ痛いだけ」
さらに「痛いのも美学に含まれていると思う」という言葉も聞かれた。会場では、膝の丸みを利用して立体的に見せた“お腹の出たたぬき”のタトゥーなど、身体の形そのものを生かした表現も披露されていた。
10年かけて育った「好き」を共有できる場所
刺青愛好会を立ち上げた主催者・ねんぴさんは、10年前を振り返る。
「人には見せないものなのかなって、こだわっていた時期もあった」
しかし、活動を続ける中で変化があった。
「もっとオープンでいいんじゃないか。難しく考えなくてもいいんじゃないか」
10年間はあっという間だと語る代表のねんぴさん
タトゥーや身体改造を特別視するのではなく、好きなものを好きと言える場所へ。その感覚がどのように身体に刻まれ、どんな表情で語られるのか。
詳しいインタビューや会場の様子は、KAI-YOU VideosのYouTubeチャンネルで公開中だ。
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