現在、日本国内の男性アイドルシーンにおいて、“トンチキソング”──歌詞の意味や世界観が奇妙で意味不明だが、なぜかクセになる楽曲──がブームになっているといっても過言ではない。
6月にBillboard JAPANが発表した総合ソング・チャート「JAPAN Hot 100」上半期TOP10を見ると、男性アイドルの楽曲は、2位にM!LK「好きすぎて滅!」、6位にM!LK「爆裂愛してる」、10位にSnow Man「カリスマックス」の3曲がランクインしている(外部リンク)。
これらはすべて“トンチキソング”に位置付けられるものだ(なお、30位にチャートインしたM!LK「イイじゃん」も同ジャンルに括られるだろう)。
しかし、同じ人気男性アイドルグループによる大ヒットトンチキソングでも、Snow ManとM!LKとでは、その狙いのベクトルは大きく異なるように思える。
文:彩楓(@Ayaka_ede) 編集:都築陵佑
目次
※記事初出時、一部表記に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。
Snow ManとM!LKのトンチキソングの共通点は“懐かしさ”
まずは、Snow ManとM!LKのトンチキソングの共通点を整理したい。
Snow Manの「カリスマックス」の大きな特徴のひとつは、1980年代後半から2000年代初頭の日本でたびたび流行してきた「パラパラ」を彷彿とさせるダンスだろう。
その昭和〜平成中期の空気感は、音楽面にも宿っている。アニメ『頭文字D』で使われるような煌びやかで派手なシンセサイザー、BPM156の疾走感、そしてキャッチーなメロディは、「パラパラ」の音楽として親しまれたユーロビートそのものだ。
対してM!lKは、「好きすぎて滅!」でマイクスタンドを使用したパフォーマンスを披露している。
日本では、故・西城秀樹さんがマイクスタンド・パフォーマンスの元祖として知られており、そのスタイルは昭和から平成、そして令和にかけて数多くのアイドルに受け継がれてきた(外部リンク)。
また、楽曲冒頭およびラストの<Crazy Crazy>で、マントがなびくほど全力で踊る、片手を挙げて内側から外側へリズムに乗りながら動かす動作にも、SnowManと同じく「パラパラ」が取り入れられている。
また、本楽曲でメインになっているビッグバンド風のサウンドは、少年隊「仮面舞踏会」や光GENJI「パラダイス銀河」など、昭和から平成初期の男性アイドル歌謡曲に用いられた楽器編成だ。その緩急ある音の重なりに、どこか懐かしさを覚えた人もいるのではないだろうか。
このように、両楽曲には昭和/平成の音楽性や振り付けが取り入れられている。それによって、リアルタイムで体験した世代には親しみやすさとして届き、知らない世代には新鮮な“レトロさ”として映る。
しかし、同じ昭和/平成の要素を取り入れたトンチキソングでも、両アイドルグループの背景を踏まえると、見えてくるものは大きく変わる。
海外展開を視野に入れるSnow Man
Snow Manは、オリコン年間ランキングのアーティスト別セールス部門で2024年、2025年で1位を獲得。また、Billboard JAPANの年間トップ・アーティスト・チャートで、2025年に男性アイドルグループ最高順位となる6位に輝いた。
Snow Man/画像はSTARTO ENTERTAINMENTより
その他にも、「それSnow Manにやらせてください」(2020年〜放送中)などのバラエティ番組に加え、『silent』(2022年)や『海のはじまり』(2024年)といったTVドラマ、『おそ松さん』(2022年)などの映画作品にテレビCMと、様々な形でメディアに露出している。
それにより、日本国内での認知度は高まり、「佐久間大介さんはピンクの髪が特徴的で、アニメ好き」「宮舘涼太さんはエレガントさに重きを置いたメンバー」など、グループだけでなく各メンバーの名前や特徴を覚える人も増えてきた。
その上で、次なる挑戦としてSnow Manが視野に入れているのは「海外でのファン獲得」だろう。
実際、新型コロナウイルスの影響で中止となったものの、2020年のライブツアー「Snow Man ASIA TOUR 2D.2D.」では、バンコク、シンガポール、ジャカルタ、台北などでの公演が計画されていた。その5年後、2025年8月からスタートした初のポップアップイベント「Snow Man 1st POP-UP」では、東京や大阪のほかにソウル、台北、バンコクで開催された。
また、同月には韓国の音楽番組「M COUNTDOWN」に出演。その中で、披露されたのが「カリスマックス」の英語ver.「CHARISMAX」だった。
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:13687)
“トンチキソング”について解剖している記事は初めて読みました。内容からも、ライターさんの音楽愛を感じました!