楽曲を通して伝えるそれぞれのメッセージ
──今回「メディアネットワーク」に応募された楽曲について、聴きどころやこだわりのポイント、楽曲を通して届けたいメッセージなどを教えてください。
YSS 今回応募した「used to be」で考えていたのは、人が環境に慣れてしまうことについてです。
YSS「used to be」
YSS どれだけ新しい場所へ行ったり、違う生き方を選んだつもりでも、人は少しずつその環境を当たり前のものとして受け入れていきます。
そして気づけば、世間の常識や周囲の価値観、自分自身の慣れによって行動や選択肢が縛られていく。まるで最初から決められていたかのように、選べる道がひとつしか残っていないような感覚です。
そんな状況の中で、「自分自身の意思や感情をどう取り戻すのか」「本当に自分が望んでいるものは何なのか」──そういったことを考えながら書いた楽曲です。
サウンド面では、歪んだ808を軸にしたビート制作を意識しました。また、「used to be」というタイトルが持つ過去への視線やノスタルジーを表現するために、カセットテープや古いレコーダーで録音したような質感を取り入れてMIXしています。
こだわりのポイントは、ギターに複雑なリバーブ感を持たせて空間をつくり、そこに現代的なビート感とアナログ感の強いボーカルをブレンドすることで揺れ動く感情を表現したこと。
ローファイ気味な歪みのかかった、沈んだ空気感のある音像でありながら、単なる今風の曲ではなく、オルタナティブとして成立する現代的なサウンドを目指しました。過去と未来、その両方が同居するような感覚を表現できた楽曲だと思っています。
稀羽すう 今回応募した「思い出とペトリコール」は夜のドライブで流したくなるような、メロウでチルな空気感を感じられる曲になっています。
稀羽すう『Dive iN』収録の「思い出とペトリコール」
稀羽すう どストレートな失恋曲ではあるのですが、ただ切なさを描くだけではなく、その時間を通して少しずつ視界が開けていく感覚を表現しています。
失ったことを無理に前向きに変えるのではなく、夜の中で感情を受け止めながら自然と次へ進んでいく、その温度感を大切にしました。静かな夜や帰り道に聴いて、聴き終わる頃には少しだけ景色が違って見える。そんな一曲になっていたら嬉しいです。
──お互いの楽曲を聴いてみて、どのように感じましたか?
YSS 透明感のある歌声がとても印象的でした。ただ綺麗なだけではなく、その奥にある感情の揺らぎや繊細なニュアンスまでしっかりと伝わってきます。
一つひとつの言葉を丁寧に紡ぐような歌い方で、聴いているうちに自然と楽曲の世界へ引き込まれました。優しさと儚さをあわせ持った、とても魅力的なボーカルだと思います。
はじめて聴いたとき、とても洗練された楽曲だという印象を持ちました。コード進行も心地よく、全体を通して自然に耳へ入ってくる感覚があります。夜のドライブや、街の灯りを眺めながら聴きたくなるような雰囲気を持った楽曲だと感じました。
言葉が生み出す空気感や感情の揺らぎを大切にしている印象を受け、都会的で少しノスタルジックな空気感には、私たちYSSが楽曲で描こうとしている世界観とも共通する部分を感じました。
稀羽すう 印象的だったのは、重心の低いサウンドの心地よさです。ヘッドホンやイヤホンで聴くだけでも十分魅力的ですが、クラブイベントのような大きな音響環境で聴いたら、低音が身体や心臓に直接響いて気持ちいいだろうな! と思いました。
重心が低く落ち着いた雰囲気でありながら、しっかりと迫力があり、力強さを感じます。自分にはなかなか出せない魅力なので、とても羨ましいですね……!
また、映像表現も非常に印象的でした。どのような環境や手法で制作されているのか純粋に気になります。VRChat内のワールドで撮影されているんですよね……? すごい……!
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1件のコメント
TomoshiB
お二組の素敵な思いに耳を傾ける良い機会になりました まだ機会があれば拝見させていただきたいです