最後の最後で世界に干渉した「第三の博衣こより」
MVの終盤、敵の襲撃を受けた博衣こよりさんは潜水艦で海の中へと逃げ込みました。しかし海中にも敵の手は迫っており、いくつもの魚雷が潜水艦を襲います。
爆撃で艦内がブラックアウトする中、潜水艦の中で、小さな地球へと手を伸ばす博衣こよりさん。
そうすると、なぜか巨大な博衣こよりさんの手が空から登場。窮地に陥った潜水艦を、山の上へと退避させます。
窮地に陥った博衣こよりさんを助けるべく現れた巨大な手/画像はYouTubeのスクリーンショットより
潜水艦のハッチを開け、小さな地球を抱えながら、不思議そうに空を見上げる博衣こよりさん。
それに続き、小さな地球を愛おしそうに見つめながら、配信部屋にいる博衣こよりさんのシーンでMVは終了します。
配信部屋で小さな地球を抱える博衣こよりさん/画像はYouTubeのスクリーンショットより
つまり、潜水艦を動かしたのは、博衣こよりさんを観測していた第三の博衣こよりさん(=配信部屋にいた博衣こよりさん)であることが推測できます。
もふこよを観測していたスチームパンクな世界線の博衣こよりさんもまた、より外側の博衣こよりさんに観測されている存在だった──そんな感じ方も出来るラストとなっています。
第三の博衣こよりは何のメタファーなのか
これまで、もふこよのいる世界線を「VTuber・博衣こよりさんのファンコミュニティ内部との関係」、スチームパンクな世界線を「VTuber・博衣こよりさんのファンコミュニティ外部との関係」のメタファーだと解釈してきました。
では、一体最後に出てきたの第三の博衣こよりさんは何者なのでしょうか?
筆者は、第三の博衣こよりさんの正体は、VTuberでも何者でもない、“ラジオのリスナーだった1人の少女”としての博衣こよりさん自身──エンタメの世界に憧れていた、ただの一人の人間だと考えています。
MVの概要欄には“ラジオのリスナーだった1人の少女の物語”と記載されており、最後のシーンにも鉱石ラジオではない普通のラジオが設置されています。
MVのはじまりでもあり、今回の曲のモチーフにもなっているラジオ。最後のシーンでその原点へと立ち返っているわけです。
MVの最後のシーンの設定資料/画像はYoutubeのスクリーンショット
となると気になるのは、“一人の少女”たる第三の博衣こよりさんは、なぜ最後になるまで行動を起こさなかったのか。そして、なぜ山の上へと潜水艦を設置したのかについてです。
この点について、考察のヒントとなりそうなのがラストサビ前の歌詞です。
「待たせちゃったかな」
「別に待ってないよ」
夢と呼んだ それもぼくだっただけ
自分が何かに遅れてしまったという自覚のあるような台詞。そして続く歌詞を逆説的に捉えれば、今まで憧れていた夢が自分だと認識できていなかった──すでに実現していたと読み取れます。
助手くんと手を取り合うもふこよも、そんな地球を必死に守っていた博衣こよりさんも紛れもなく自分自身。けれど、そんな“VTuberの博衣こより”は、同時に一人の人間にとってはどこか現実離れしたものだったのかもしれません。
2025年に「一瞬辞めることを考えたタイミングもあった」という博衣こよりさん。そこから吹っ切れてむしろ強くなったと、過去の配信でも語っていました。
そのエピソードと今回のMVが結びついているかは分かりません。ですが、博衣こよりさん自身の心が“VTuber・博衣こより"と向き合おうとしたかららこそのあのラストシーンなのでは無いかと、筆者は感じました。
敵を傷つけずに守る──第三の博衣こよりの選択
小さな地球を守り続けていたスチームパンクの世界線の博衣こよりさんは、空にいる時も海にいる時も狙われ続けていました。
襲撃を受ける博衣こよりさんの飛行船/画像はYouTubeのスクリーンショットより
そんな中で、第三の博衣こよりさんは、潜水艦を山の上という誰もいない安全な場所に逃がします。
周りの敵を暴力によって排除するとする選択肢も取れる中、第三の博衣こよりさんは、あえて敵を傷つけずに守ることを選んだのではないでしょうか。
潜水艦から顔を出した博衣こよりさんの元には、オリーブを加えたハトが降り立ちます。オリーブを加えたハトは言わずと知れた平和の象徴です。
博衣こよりさんとオリーブを加えたハト/画像はYouTubeのスクリーンショットより
つまり、第三の博衣こよりさんの選択によって、スチームパンクの世界線の博衣こよりさんに、平和が訪れたことを意味していると考えられます。
博衣こよりさんが、VTuberである自分自身と向き合うことができた──一蓮托生の覚悟を持てたからこそ、“一人の少女”は“VTuber・博衣こより”を救えたのではないでしょうか。
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:13562)
ハトがオリーブの枝をくわえた姿が「平和の象徴」とされるのは、主に旧約聖書の『ノアの方舟』のエピソードが由来。ノアは箱舟がアララト山の上に到着した際に大洪水がおさまったか確認するためにハトを放ちオリーブの若葉をもちかえったので、ノアは「水が引き、再び地上に植物が芽吹き、神の怒りが解けて平和が戻ったこと」を知ったとされています。・・・なんかそのままだなw