J-POPに影響を受けつつ、その外側で表現をする
──音楽シーンのメインストリームである「J-POP」やメジャーシーン、そして音楽シーンを取り巻く情報環境などをどう捉えていますか?
鬼卍ヶ丘ぁゃ どの楽曲の中にも独自の多様性があり、ひとつの大きな枠の中に幅広い表現が共存しているからJ-POPはやっぱり面白いと思っています。
“ガラパゴス”という言葉は批判的にも使われがちですが、自分はそれも日本の強みのひとつだと思っています。国内にある程度の人口と市場があるからこそ、独自の進化ができる。その土壌があるから、J-POPは今も独特の面白さを持っているのかなと感じます。
一方で、今のシーン──特にアイドルシーンでは、SNSの影響の強さもすごく感じます。どうしてもバズりやすい曲調や、短い尺で伝わりやすいフックに寄っていく傾向がある。それは競争の激しい時代では当然のことでもあると思いますし、資金力や基盤のあるところ以外は、そうした流れを無視しづらい現実もあると思っています。
だからこそ、自分はそこに単純な批判の思いよりも難しさを感じます。ただ本来アーティストが持っている魅力や、積み上げてきた文脈を削って“今の正解”に寄せていくような動きを見ると、やっぱり少し寂しさがありますね。
自分としては、J-POPやメジャーシーンの面白さに敬意、憧れを持ちながら、その中でこぼれ落ちてしまいそうな雑味や癖、文脈のある音楽も大事にしたいです。
KAGUYA 今のJ-POPやメジャーシーンを見ていて思うのは、もっとクィアなアーティストが活躍していいんじゃないかってことです。
クィアというのは、性別やセクシュアリティにとらわれない多様な在り方を指す言葉──いわゆるLGBTQ+の枠も含めた、より広いアイデンティティのことを指します。
もちろん面白いアーティストや表現はたくさんあるし、シーン自体もどんどん変わってきているとは思うんですけど、まだまだ表に出ている表現は限られているなという印象もあります。
もっと自由で、もっとカオスで、もっとリアルな存在が増えたら絶対に面白いのに。
私たち自身はその外側から好き勝手やってる感覚もあるんですけど、だからこそ自分たちのやり方でクィアのコミュニティを盛り上げていきたい。少しでもシーンに新しい風を入れられたらいいなと思っています。
──今回「メディアネットワーク」に応募された楽曲について、聴きどころやこだわりのポイント、楽曲を通して届けたいメッセージなどを教えてください。
鬼卍ヶ丘ぁゃ 「西武新宿駅を新宿って言わないで」は、自分の恋愛体験を元にしながら、西武線沿線への偏見や都市生活の細かい違和感を混ぜ込んだ楽曲です。
ローカルな題材ではあるのですが、根っこに恋愛の中で感じた失望やズレを振り切って「次はもっと上手くやろう」と前に進むための気持ちがあります。
鬼卍ヶ丘ぁゃ 制作のきっかけは、友人たちと恋愛やワンナイトラブの話をしていたときに、なぜか西武線沿線の男性とのエピソードが次々と出てきたこと。
自分たちの中で、西武線が“普段は使わないけれど男に会いに行くためだけに乗る路線”のような扱いになっていて、その偏見まじりの愚痴や失恋話で盛り上がっているうちに、これは曲になるかもしれないと思い、帰り道で歌詞を書きはじめました。
サウンドは、平成後期のアイドルソングを思わせる疾走感のあるダンスポップに仕上げました。明るく爽快なテンポ感とキャッチーさを前面に出しながら、その上に少し毒のある言葉を乗せることで、失恋や苛立ちを重く沈ませるのではなく、一気に吹き飛ばしていくような感覚を意識しています。
言いづらいことや、あまり上品には整理できない感情を、ポップスの勢いで前向きなエネルギーに変換しているところが、この曲の聴きどころです。
KAGUYA 「衣食住」は、OKINIのガチ失恋からできてます(笑)。だから感情はリアルで、好きなのにうまくいかないとか、忘れたいのに無理みたいな、拗らせた気持ちを全部そのまま入れています。
KAGUYA ビートはちゃんとクラブでアガれるようにしてるんですけど、<悲しいギャルの涙 taste like cherry>みたいな、強がってるけど普通に傷ついてる感じを表現したリリックがポイントです。
<衣食住、あなた>っていうリリックも、生活全部その人になっちゃってるくらいの重さ。ちょっと重いけどそれもリアルだよねって感じです。
KAGUYA この曲は、「綺麗じゃない感情もそのままでいいじゃんっていうか、むしろそれがリアルじゃん?」っていうテンションでつくってます。クラブで踊りながら、ちょっと切なくなるくらいがちょうどいいです。
──お互いの楽曲を聴いてみて、どのように感じましたか?
鬼卍ヶ丘ぁゃ MAGATAMAのお二人は、いろんな意味で“本物”として戦っている人たちだと思っています。
だからこそ、どこか“アイドルごっこ”感のある自分がこうして一緒に紹介されることには、申し訳なさもありつつ、すごく光栄な気持ちがあります。
共鳴する部分で言えば、やっぱりギャルという大きな枠組みと、そこに対する美意識や信念、そして音楽への熱量は共通していると思います。
実際にMAGATAMAのお二人とは、ナイトクラブのシーンで何度かご一緒しているので、その強みは前から感じていました。まず何より、美しさが圧倒的です。メイク、衣装、ヘアスタイルのすべてにギャルとしてのこだわりがあって、それをステージに乗せたときの完成度がすごく高い。
さらに、レベルの高いダンススキルや、マイクに乗ったときのフローやグルーヴ感も含めて、そこに至るまでにたくさんの鍛錬を積んできたんだろうなと感じます。純粋に、最強だなと思います。
今回の応募曲である「衣食住」は、曲調だけを見れば自分の「西武新宿駅を新宿って言わないで」とはかなり違います。でも、テーマとしてはどちらも失恋が根っこにある曲だと思いました。そこがすごく面白いなと感じています。
「衣食住」
鬼卍ヶ丘ぁゃ その上で思ったのは、ギャルって一見すると“強いから何でも言えそう”“全部わかってそう”に見られがちだけど、実はそうじゃないということです。
むしろ本当は弱かったり、不安だったりする自分にバフをかけるための装備が、ギャルというスタイルなのかもしれない。だからこそ、好きな男の前では鎧が少し外れて、急にひよってしまったり、言いたいことが言えなくなったりする。
「衣食住」には、そういう女心がちゃんと詰まっているように感じて、「ああ、ギャルだなあ」と思いました(笑)。
KAGUYA 「西武新宿駅を新宿って言わないで (Future Edition)」は、普通にアガるし平成のギャル全開で最高です。
キャッチーで一回聴いたら耳に残るし、ノリも良くて現場で絶対盛り上がるやつだなって思いました。ちょっとクセある感じも含めて、ちゃんと個性が出てて強いです!
ぴぴちぁん(鬼卍ヶ丘ぁゃ)は元々知り合いで、実は現場もよく一緒になるんです。普段は鬼ギャルでアゲなのに、実は真面目なのも知ってるから、そのギャップがそのまま曲に出てるなって思いました。かわいいだけじゃなくて、ちゃんとつくり込んでるのが凄いです。
「西武新宿駅を新宿って言わないで」
KAGUYA 共鳴する部分は、やっぱり好きなこと全力でやってるところ、ジャンルに縛られてない自由さ。こういうのはめっちゃ分かる!ってなるし、キャッチーさで一気に引き込む力に食らいました。
お互いスタイルは違うけど、それぞれのやり方でちゃんと存在感出していけたらいいなって思うし、一緒にあがっていけたら最高です。
インディペンデントアーティストがプロモーションのチャンスをつくる「MEDIA NETWORK」
Apple Music、Spotify、YouTube Musicをはじめとする世界中の音楽ストリーミングプラットフォームへ、誰もが自分の楽曲を配信できるディストリビューションサービス・TuneCore Japan。
自由でインディペンデントな音楽活動を強力にサポートする同サービスから、これからのシーンを担う才能をフィーチャーする新たなプロジェクト「MEDIA NETWORK」が発足した。
「楽曲をリリースしたあと、どうやってプロモーションすればいいのか?」
そんな多くのインディペンデントアーティストが直面する課題を解決すべく、TuneCore Japanが主要音楽メディアやラジオと連携。誰でも手軽に、自身の楽曲をメディアに“売り込み”できる場を用意。
応募資格に、レーベル所属の有無や年齢、性別、演奏スタイル、個人・グループといった制限は一切ない。あらゆるジャンルのアーティストに門戸が開かれている。
対象となるのは、2025年7月23日以降に配信手続きが開始されたリリース楽曲。応募受付は4月30日(金)23時59分までとなっている。
自らの音楽を、より広い世界へ届けるチャンス。ぜひ、あなたの自信の一曲を応募してほしい。
TuneCore Japan「MEDIA NETWORK」に応募するSpotifyで「西武新宿駅を新宿って言わないで」「衣食住」を聴く
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