「教育番組」展覧会レポート 不穏かわいいタマの世界観を凝縮

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小林優介

タマの名前の由来が明らかに!? 初出し情報も公開

会場を進んでいくと、タマたちキャラクターの名前の由来や初期設定などの資料が展示されるエリアに到着。

タマの名前の由来が明らかに

このエリアでは、作中でタマを陥れようとしている「ほめほめカンパニー」のしゃちょうもお出迎えしてくれました。

筆者が抱いている先入観のせいかもしれないですが、設定資料を見るこちらをうかがうしゃちょうの視線には、「余計なことを探るなよ?」という圧を感じたように思います。

「余計なことを探るなよ?」という圧を感じるしゃちょう

続いて現れたのは、作中のタマの部屋やキッチンを再現したセット。

実際にタマがくつろいで(?)いる姿も見せてくれたのですが、虚空を見つめてベッドに腰かける姿が生々しすぎて少し怖かったです。

力なくベッドに腰かける姿が似合いすぎるタマ

展示エリアの最後には、グッズショップも設置。今回のポップアップ用に制作された完全新作のグッズも並んでいました。

グッズを眺めていると、セットのエリアからのそのそと現れたタマが、ぬいぐるみに包丁を突き付けるという一幕も。何かが気に食わなかったのか、買えよというメッセージなのか、真意はわかりませんでした……。

何かが気に食わなかったのか、ぬいぐるみに包丁をつきつけるタマ

担当者が語る「もっと!げんじつポップアップ」にかけた意気込み

──今回「教育番組 もっと!げんじつポップアップ」を開催することになった経緯を教えてください。

R11R代表・片口陸さん(以下、片口陸) 2025年1月に1回目のポップアップを開催させていただいたんですけど、おかげさまで非常に大きな反響をいただきました。

その反響を受けて、パルコさんのほうから「もう一度、一緒にやりませんか」とお声がけをいただいたのが、きっかけです。

──11月3日まで渋谷パルコで開催中の「教育番組ほめほめカフェ」はコラボカフェのような形式でしたが、今回は展示中心になっていますよね。

片口陸 「1回目からもう一歩進化させたい」という思いがありまして、今回はタマがいる世界をリアルに表現することをテーマにしました。

来場者の方々がキャラクターの世界に没入できるように、空間全体の演出にも力を入れ、細部まで丁寧に作り込んでいます。

──今後「教育番組」としてどのような展開を考えているか、構想を教えてください。

片口陸 「教育番組」はもともと、4コマ漫画のようなフォーマットで発信していたのがはじまりでした。その後、Xのポストがバズったことをきっかけに音楽という軸が加わり、現在はリアルでの展開もはじまっています。

こうした複数の方向からアプローチできたことが、より広いファン層や認知の拡大につながったと感じています。

なので、今後もこの3つを全てうまく活かしながら、作品の世界を多面的に発展させていきたいと思っています。

きょういくばんぐみのテーマ

──「教育番組」のクリエイター・ももにくすさんが所属されるようになった経緯についても教えてください。

片口陸 たまたま、ももにくすさんがXに投稿していた「教育番組」のコンテンツを拝見したのが、最初の出会いでした。

その時から非常に伸びしろを感じていて、コンテンツとしても面白いと感じたので、何かご一緒できないかなと思い、弊社からお声がけさせていただきました。

──R11Rにはイラストレーターやアニメーターが多く所属されていますが、今回のようにIPやリアルイベントの展開は過去にもあったでしょうか?

片口陸 全くの未経験でした。弊社はこれまで、主にイラストやアニメーション制作をメインに行ってきた会社です。なので、今回のように自社でIPを持ち、展開していくというのは初の試みになります

未経験のことがたくさんありましたが、幸いイラストやアニメーション業界の中で、音楽関係やコンテンツ制作関係など、さまざまなお客様とのネットワークがありました。そうした方々と相談しながら、自社でも制作が進められる体制を整えてきたところです。

──今後はIP開発などの分野にも力を入れていかれる予定でしょうか。

片口陸 そうですね。そこは今後の方向性として大切にしていきたい部分です。もしかすると、ももにくすさんや他のクリエイターと新しいIPを立ち上げることもあるかもしれません。

──最後に今回の展覧会で特に注目してほしいポイントを教えてください。

片口陸 今回の展覧会は、物販だけでなく展示セット全体にもかなり力を入れています。繰り返しになりますが、「『教育番組』の世界にしっかり踏み込めた」というのが大きなポイントです。

また、未公開情報も多数展示しています。たとえば、キャラクターの名前の由来など、これまで明言してこなかった情報を公開しています。そうした“初出し情報”にも注目していただきたいです。

物販についても、前回は会期が10日間くらいあったうち最初の3日間ですべて完売してしまったんですが、今回はその経験を踏まえて、種類も数も大幅に増やしています。グッズの方もぜひ楽しみにしていただけたらと思います。

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