ゲーム大会の枠を超えた「物語」を見届ける
監督をつとめるライバーが選手役のライバーを集めて高校野球部を結成する──その構図に、「栄冠ナイン」を通した物語が添えられる。
「栄冠ナイン」は、高校野球部の監督として赴任し、3年間で甲子園を目指すゲームモード。監督は自身が選出した選手たちを育成し、強豪校をつくり上げていく。
入学時から活躍する球児もいれば、育成を通して覚醒していく球児もいる。甲子園優勝の栄冠に届くかどうかは、選手の育ち具合や試合運び(「パワフルプロ野球」では試合中、監督は采配を振える)など、様々な運が絡む。
また、育成期間スタート時の“リセマラ(=目当てのキャラクターを引き当てるまで、ゲームをリセットする行為)”も、なんだかんだ見どころになる。
「栄冠ナイン」スタート時には6名の選手がランダムで割り当てられるが、この中に現役選手やOB選手がモデルとなったいわゆる「転生OB」が含まれることがある。基礎能力がとても高いことから、彼らを引き当てられるかが育成期間の最初の撮れ高になることは言うまでもない。
ちなみに、「にじさんじ甲子園2024」では選手のリセマラは計3回まで許可されるため、どこまで粘るかも駆け引きとなる。
こうした展開に、にじさんじの数多くのライバーたちが“役としてあてがわれる”ことで、育成期間は視聴者に“にじさんじライバーたちによる青春スポ根ストーリー”として映る。
準備期間に培ってきたそれぞれの高校の物語が、本戦リーグでは大きな盛り上がりとして結実するのである。
ファンや参加ライバー以外も物語化に貢献
「にじさんじ甲子園」では、公式ファンアート投稿用のハッシュタグとして「#にじさんじアルプススタンド」が設けられている。
その中には、各監督の育成配信で起きたできごとを、(ゲーム内キャラクターをにじさんじライバーの姿に置き換えるなどして)ファンアートとして投稿しているものもある。
配信の一幕に、時にストーリーを与えて描かれるファンアートは、より強固な物語を形づくるピースとなる。
ハッシュタグつきで投稿されたファンアートは、他の視聴者の目に留まるだけでなく、本戦中でも一部が紹介されることがあり、運営サイドもファンアートをさながら応援団として重視していることがうかがえる。
第三者による配信の物語化は、視聴者だけでなく、企画に参加していないにじさんじライバーたちも貢献している。
「「にじさんじ甲子園2024」の場合、北小路ヒスイさんが自らが属する銀河立超チャイカ高校(花畑チャイカ監督)の育成期間の様子を、“新聞部の報道”という体裁で伝えている。一種のロールプレイを通して、直接の参加者ではないライバーたちも本企画を盛り上げている。
なお、名前に引用されるにじさんじライバーも、国内のタレントだけでなくNIJISANJI ENや元NIJISANJI KR出身のメンバーも見られ、ファンにとっては他言語圏のにじさんじライバーを知る契機でもある。
なにより、世界的に見ても屈指の所属人数を誇るにじさんじでは、いまやその巨大さゆえに、グループ総出で盛り上がるイベントをなかなか企画しにくいという実情がある(関わる人数が多ければ多いほど、色々と調整が多くなることは想像に難しくない)。「にじさんじ甲子園」は、こうした課題を擬似的に解決できている。
こうした、単なる野球ゲームの配信にはとどまらない、グループ全体を巻き込んだストーリーコンテンツ性が、「にじさんじ甲子園」の魅力といえるだろう。
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:10531)
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