朗読と歌唱で魅せる「Blue Journey」の世界
ボルテージの上がりきったところから再び朗読へ。「必要かどうかは関係ない」
「大切かどうかなんてどうでもいい」
「他の人にとってはどうだかわからないけれど、少なくとも僕にとってはそうじゃない」
「僕が欲しいのはそんな歌だ」
大空スバルさん、癒月ちょこさん、常闇トワさん、沙花叉クロヱさん、角巻わためさん、さくらみこさんが、切ない面持ちで繋いだ言葉たちがオーディエンスの心を搔き乱す。
急転、うねりを上げるギターの激しいイントロから突入したのは「ラブソングはいらない」だ。
「今エンドロールのその先に君を描け、抗え、それが始まりさ」
青い衝動をあるがままに放つロックナンバーを歌うのは、白上フブキさん、兎田ぺこらさん、雪花ラミィさんのトリオ。それぞれのカラーとプロジェクトのテーマカラーが合致した三人による全開のパフォーマンスで、フロアに熱く爽やかな風が吹いた。
続いてはステージ上空から猫又おかゆさん、白銀ノエルさん、天音かなたさんがなんとブランコに乗って登場。そのまま星座が浮かぶ夜空をバックに「astro」を歌い始める。
演出でさらに鮮やかに彩られる、楽曲の世界観
3人の放つ独特の包容力でゆったりさせられていたところに、跳ねるような鍵盤の音色が響き渡る。続いては戌神ころねさん、兎田ぺこらさん、姫森ルーナさん、博衣こよりさんの四人による「不純矛盾」。バックスクリーンに映し出されたネオン輝くビル街を思うがままに駆け抜けるかの如く、軽快に歌い上げるのは明るさの中に一筋の影が差すポップソングだ。 サビではダンスもバッチリ合わせて日常にはびこる不安や悩みを軽やかに踏みつけると、次なるパートへの弾みをつける。
ステージの上に舞う白い光の正体は、白上フブキさん。「遠ざかる景色の中、また夢を見ていた」という一言から「泡沫」へとフェードイン。
アキ・ローゼンタールさんと鷹嶺ルイさんも合流した三人で透き通るような歌声を、フロアの隅から隅まで響き渡らせていく。スクリーンには印象的なフレーズたちが泡のように現れては消え、どこまでも伸びゆく彼女たちの歌声にリンクしてレーザーが美しく軌跡を描く。
巧みな演出によって楽曲の世界観がさらに補強され、今ここにしかない空間芸術が見る者すべての心に刻み付けられていく。
続いては大神ミオさん、猫又おかゆさん、鷹嶺ルイさんの三人がスタンドマイクの前に立ち「夏を許せない」を披露。背景に広がる星空の下、卓越した歌唱力を披露する様は圧巻で、「ずっと子供でいようよ すべて知らんぷりしようよ」と背徳へ誘うフレーズは夏の終わりと絶妙にマッチして更に印象深く聴こえ逃れられないほどの引力を放っていた。
次の湊あくあさん、天音かなたさん、雪花ラミィさんによる「あの日の僕らへ」では、段階的に激しさを増す。最終的に猛る激情を叩きつけるかのように鳴らされるピアノの旋律に負けじと歌声を轟かせる3人。バックスクリーンに映し出された夕景の切なさと相まって、凄まじい迫力を伴い胸に迫る。
「誰かの心に少しでも寄り添えるように」
日常に根差す絶望を淡々と並べていくように物語を読み進めるのは鷹嶺ルイさん、姫森ルーナさん、尾丸ポルカさん、不知火フレアさん、宝鐘マリンさんの5人。「もう何も見たくない」
「もう何も聞きたくない」
「もう何も言いたくない」
「それでも明日はやってくる」
失意の果てに沈む者に手を差し伸べるかのように穏やかな鍵盤の音。共に始まったのは「光の軌跡」だ。
アキ・ローゼンタールさん、大空スバルさん、大神ミオさんの3人による絶唱は、かき鳴らされるアコースティックギターの旋律も加わり、勢いを増すアンサンブルにこれ以上なく調和する。繰り返される「見えない敵に負けないで」という言葉が特に印象的で、確かな熱の籠った激励を送る彼女たちの姿が焼き付いて、離れない。
新たな旅路へ向かう僕らの背を押す力強いイントロから角巻わためさん、獅白ぼたんさん、沙花叉クロヱさんの3人による「ツキノナミダ」へ。
アルバムの1曲目がライブのクライマックスを華々しく彩る。そのドラマチックな展開に胸が熱くなるが、ステージ上空に輝く満月と降り注ぐ流星群が、オーディエンスのボルテージを青天井に高めていく。
限界を越えて燃え上がるフロア、それに全力のパフォーマンスで応える歌姫たち、両者の共鳴によってクライマックスに相応しい大スペクタクルが巻き起こると、癒月ちょこさん、大空スバルさん、さくらみこさん、常闇トワさん、沙花叉クロヱさん5人がステージに躍り出て「サザンクロス」を披露。
大空スバルさんから「この曲は声出していいよー!」という許可をいただいてしまっては、もう昂る感情を抑える必要はない!
さっきまでの熱狂を過去にする大熱狂でこの日一番のエキサイトを見せるファンたちを目の当たりにして、5人も全開の笑顔を咲かせた。
「生きるのは楽しい事ばかりじゃないって知っているから」
「誰にも話せない悩みにだって共感したいから」
「輝きだけじゃない、影と共に歩んでいく」
「Blue Journeyはこれからも旅を続けていきます」
「誰かの心に少しでも寄り添えるように」
間奏の間に語られたこの言葉に、「Blue Journey」の信念は集約されている。
覚悟と共に伝えられたその言葉たちがただの綺麗事ではないと証明するように、ファンの涙、叫び、そして笑顔が溢れていく。何度訪れたっていい最高の瞬間が旅路の思い出に刻み込まれると、最後は紙吹雪も舞って、新たな旅の始まりを盛大に祝福した。
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イベント情報
Blue Journey 1stライブ「夜明けの歌」
- 日時
- 2023年9月13日(水)
- 場所
- 東京ガーデンシアター
●セットリスト
朗読①
1. 僕は独りだ
2. 君になりたかった
3. また傷に触れる
朗読②
4. ラブソングはいらない
5. astro
6. 不純矛盾
7. 泡沫
8. 夏を許せない
9. あの日の僕らへ
朗読③
10. 光の軌跡
11. ツキノナミダ
12. サザンクロス
朗読④
13. 水たまり
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