平成の歌姫という虚像を、電子の歌姫とリセットする
楽曲に初音ミクなどの音声合成ソフトを使う利点のひとつに、人とは異なり、癖のない歌声をつくり出せるという点がある。たとえば、カラオケで歌う場合、人が歌う曲では歌手に寄せてしまいがちなところ、音声合成ソフトがボーカルになっている曲では、自分の歌声・歌い方で歌うことができるように。
いまや、音声合成ソフトは人の歌声に近い表現が可能なものも存在する。そういう意味で、初音ミクは癖のないフラットな音声合成ソフトと言えるだろう。
加えて、2000年代以降の音楽シーンを語る上で欠くことのできない、“電子の歌姫”とも呼ばれる初音ミクをボーカルに採用していること自体が興味深い。
もともとあった“平成の歌姫の生まれ変わり”という自身とは異なるイメージを塗り替え、安斉かれんさんは新たな時代を生きるアーティストとして始動。その一端を、初音ミクが担っている。
“安斉かれんの音楽”を知る、これ以上ない作品
ほかにも、『僕らはきっと偽りだらけの世界で強くなる。』には、VTuberをはじめ、ネットシーンのアーティストに楽曲提供するTAKU INOUEさんや、音楽レーベル・TREKKIE TRAX創設者の一人であり、国内外で活躍するCarpainterさんなども参加。現代を牽引する、ネットシーンのクリエイターが集結している。2000年代のJ-POPリバイバルサウンドの印象が強かった安斉かれんさんだが、2枚の1stアルバムは、これまでの安斉かれん像が解体され、再構築されていく過程を堪能できる。
きっと、これからの彼女の音楽は、より自由な感性でつくられていくはずだ。そこから何を感じ、どの曲を好むのかも、聴き手次第。きっとキミ次第で この音の結末は変えられるはず 『ANTI HEROINE』収録「ら・ら・らud・ラヴ」より
“安斉かれんの音楽”を知るという点において、『ANTI HEROINE』と『僕らはきっと偽りだらけの世界で強くなる。』以上の作品はないかもしれない。 『ANTI HEROINE』を聴いてみる 『僕らはきっと偽りだらけの世界で強くなる。』を聴いてみる
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安斉かれん
アーティスト
世界的にも大きな潮流を生みつつあるリバイバル・サウンドをいち 早く取り入れ、J-POPのニュージェネレーションを謳う歌手として令和元日の5月1日にavexよりデビュー。これまでに90年代リバイバルを意識した8cm シングルを4作FREEリリースするなど、新たな音楽の届け方を定義している。
5th「僕らは強くなれる。」は音楽関連ランキングにチャートイン。Googleトレンド急上昇ワードで1位を1ヶ月の間に2度獲得。
2022年9月7日より、コスメブランド『M·A·C』から日本初のコラボリップ『リップスティック@カレン』を発売。
2023年3月29日、ファースト・アルバムを2枚同時リリース。こうあるべきカタチを壊す「ANTI HEROINE」と、軌跡を更新するヒストリカル・アルバム「僕らはきっと偽りだらけの世界で強くなる。」、計26トラックを収録。
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