Kamui「XRの感動は日常じゃ絶対手に入らない」
──「NEWVIEW AWARDS」「NEWVIEW FEST」を主催するNEWVIEWは、「XRによって既存のカルチャーの新たな可能性を切り開く」ことを掲げています。みなさんはXR領域にどのような可能性を感じていますか? JACKSON kaki いわゆるメタバースが普及していくと、コミュニケーションのリアルタイム性や身体性が、オンライン上で拡張されていくんだろうと僕は感じているんですよ。これまでのインターネット・サービス、例えばニコニコ動画なら、過去バラバラの時間に投稿されたコメントが、あたかも一つの流れとして連続しているように表示されます。過去と現在のものが擬似的に一つの時間軸に同期されるのが、従来のオンライン上でのコミュニケーションのあり方でした。
それに対して、同じ時間・同じ場所にいなければいけないメタバースでは、コミュニケーションが真性同期になる。
その上で、技術の発展によって視覚や聴覚だけじゃない、もはや身体そのものが空間を超えて他人と共有できるようになる時代が来るんじゃないかと考えていて。そうなったら、人間の身体性はいよいよ変わるんだろうなと。
0b4k3 僕は、普段はコミュニケーションをベースにしたVRChatで遊んでいるからでしょうか。XRという領域は、人と人とのコミュニケーションという観点では現実世界とそんなに大差ないと思うと同時に、そこがとても面白い点だとも思っています。
過ごす現実の選択肢に、XRというものが1つ増える。そういうところに、温かみや優しさみたいなものを感じるんです。人の人生や生活にもっと寄り添うことができれば、XRと呼ばれているものは人々にとってより親しみやすいものになっていくのだろうなと思っています。
Kamui 正直に言って、XRってまだ一般的ではないじゃないですか。まだ人間の日常にまで届いてない。メディアやテクノロジーって、便利だから人間が求めて普及していくと自分は思っていて、そう考えると、XR以外で体感できる楽しみで人間が満たされている現代で、XRが本当に当たり前のものになるまでには、まだ時間かかりそうだなと。
でも俺が「攻殻機動隊 SAC_2045 EXHIBITION」のVR展示や、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの『進撃の巨人』のXRライドでVRゴーグルをつけたときは「これ以上のエンタメはないな、こんな感動を生きていて味わえるんだ」と思った。
その感動は日常じゃ絶対手に入らない。もうちょっと手軽にあの感動が味わえるんだったら、その欲求には勝てない気もする。
JACKSON kaki 僕たちの下の世代って、オンラインゲーム『Fortnite(フォートナイト)』を当たり前のようにやっているんですよね。
そこでコミュニケーションをとるには、『Fortnite』のメッセージ機能を使ってLINEのように連絡をし、シームレスにバトルロワイヤルをはじめる、というのが当たり前になっているようです。コミュニケーションも遊びもバーチャルで完結させる新しい世代の感覚ですね。
『Fortnite』をメタバースとして捉えた場合、僕たちより下の世代からXR領域の利便性が広まっていく可能性もあるんじゃないかなと思います。
──最後に「NEWVIEW FEST 2022」の来場者に向けてそれぞれメッセージをお願いします。 0b4k3 渋谷のスクランブル交差点のど真ん中で何かしらの作品を公開できるというのはあんまりない機会かなと思っています。今回のXRライブは、そういったロケーションを活かした演出を組んでいます。
それから、アニメーションを担当しているphi16さんが手掛けている音に合わせた丁寧な“動き”も必見です。#kznちゃんも演出もとてもかわいくて、なにより楽しいライブになっていると思いますので、是非、現地で体験していただけければ幸いです。
Kamui そうっすね、自分のつくった曲のアプローチとしても新しいチャレンジをしたので、それも含めて見に来てくれたら幸いです。
JACKSON kaki 気軽にMVを見る感覚で来ていただいても、多分全く新しい違うものが生まれてくる、今までの音楽コンテンツとは違う表現になったんじゃないかなと思っています。
ラフに来てもらっても、何か新しい体験を得られるように仕上げていると思うんで、ぜひ遊びに来てください。
#kznのXRライブ開催「NEWVIEW FEST 2022」公式サイト
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ディレクター
「GHOSTCLUB」主催、ディレクター。近年はVRSNS「VRChat」内で開催された「SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」一部会場のディレクション、「FORGOTTEN[Vocal:ermhoi(Black Boboi / millennium parade)]/ MONDO GROSSO」の2DMV、VRMVのディレクション、「攻殻機動隊 SAC_2045 EXHIBITION "In The Shell"」展で公開されたVR展示「RE:INSTALLING THE GHOST」のディレクションを担当した。
Kamui
ラッパー
名古屋市生まれ 。「3-i」名義でプロデューサーとしても活動。2017年にラッパーなかむらみなみらとTENG GANG STARRを結成し、2018年に1stアルバム『ICON』をリリース。2019年 のグループ解散後もソロとして精力的な活動を続け、自身の主催するパーティ「MUDOLLY」を開催。同イベントに出演してい た新鋭ラッパー達と新たなプロジェクト「MUDOLLY RANGERS」を始動するなどシーンの新たな台風の目となる存在となった。 2022年クラウドファンディングで300%オーバーを達成し、『YC2』のデラックスver.である『YC2.5』をリリース。
JACKSON
アーティスト
1996年静岡県生まれ、情報科学芸術大学院大学在籍。アーティスト、映像作家、グラフィックデザイナーとして活動する。VR/AR、3DCG、映像、インスタレーション、DJ、サウンドパフォーマンスなど、マルチメディアを取り扱い、人間社会におけるバーチャルリアリティーの概念と表現について探求する。
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