『好きにやる』のは難しい。でもなんとか……
──CHILLと言えば、変態紳士クラブの「好きにやる」は若い子たちの間でCHILLアンセムみたいになっていますよね。リリックを書いたのは……たしか僕が19〜20歳の時やったんですけど、親元を離れて一人暮らしを始めて、仕事も始めてしばらく経って。まあ、子供と大人の境目みたいな時期ですよね。ちょうど周りの奴らも真面目になれる奴、なれない奴に分かれてくるタイミングで。
僕も「え? 大人ってそんな感じ?」「俺、ちゃんとせなあかんとちゃう?」なんて焦っていました。「好きな音楽でやっていきたいねん」って気持ちだけは強いんだけど、実は戸惑ってました。
だって「好きにやる」と言っても、実際は好き放題できないわけじゃないですか? 思うようにいかないことも多いし、何か失敗しても自分だけでちゃんと責任が取れない。だから、あの曲で歌ってるのは「好きにやるのは難しいけど、どうにか好きにやっていきたい」っていう、本当に等身大の切実な気持ちなんです。
──今はどうですか?
WILYWNKA 今は好きにやれてますよ。嫌なことも好きなことの一部だと思えるようになってきてるんで。 ──今回のようなタイアップ曲も、クライアントの意向が多少なりとも入ってきますよね。好き放題できない部分があったのでは?
WILYWNKA それが今回に関しては、まったく問題なかったんですよ。僕らって、元々本当にCHILLしたいし、皆にCHILLしてほしいとも思ってる人間なんで。
CHILL OUTさんも、「CHILL OUT」っていうドリンクを通してホンマにみんなにCHILLってほしい。だから、僕とCHILL OUTさんの気持ちは一緒なんです。
「こういう曲を」みたいなオーダーも特になくて、「CHILL OUTとの曲だから、そりゃ”CHILL”がテーマにはなるよな」くらいの感覚でつくり始めたんです。本当に身近で慣れ親しんだテーマだったので、リリックはトータルで5時間もかかってない。
──良い意味でプロモっぽさが薄い曲に仕上がりました。
WILYWNKA そこら辺は気にしながらやっている部分もありましたね。思い切りビジネス的なのは、ちょっとイヤじゃないですか? 少なくとも僕らの音楽はそういうんじゃないし。
CHILL OUTさんも、そういう僕らのスタイルをちゃんと理解した上で頼んでくれた。完成した曲も気に入ってくださって、ノーストレスでした。ありがとうございますって感じですね。 ──この曲をどんな人に聴いてもらいたいですか?
WILYWNKA 本当に色んな人が聴ける曲だと思います。けど、まずは頑張ってる人達ですね。こんな世の中だとマジで疲れちゃうことってあると思うんですよ。そういう時に聴いてもらいたい。この曲が頑張ってる人達の「合間」の時間に響いたら良い。
毎日24時間チルってるようなポジティブなニート君たちには必要ない気もするんだけど……あいつらは超チル好きだから、きっと聴いてくれますよね(笑)。
ヒップホップは、迷路の“出口”
──2022年、今後の展開を教えてください。WILYWNKA EPを出したので、今はツアーを回っています。あと、年内に3rdアルバムが出る予定です。
──どんなアルバムになりそうですか?
WILYWNKA 『NOT FOR RADIO』EPからの流れで、より一層「ヒップホップだな」って思ってもらえるようなアルバムにします。まずは誰のためでもなく自分のために、そしてヒップホップのために頑張りたいと思ってつくってる。
──「ヒップホップのため」ですか。
WILYWNKA 自分で言うのもなんですけど……僕ってろくでなしのクソ野郎なんです。それは本当に、恥ずかしながら。けどそんな僕でもヒップホップを続けて来たことで、どうにかこうにかやって来れた。
ヒップホップを使って悪ぶる人って結構多いじゃないですか? いきなり悪そうな格好して、顔に墨を入れて、悪そうな態度で。そういう感じになる気持ちもわかるんですけど、僕にとってのヒップホップはそうじゃない。
ズブズブの迷路みたいな日常にいるゴロツキやチンピラが良い意味で矯正されていって、なおかつお金をゲットしたり、人気者になったりできる“出口”なんです。
あ、僕に関して言えば、迷路の中にいる時も「こんな環境は最悪や」みたいに思ったことはないですけどね。僕の周りではそれが普通だったから。
──でも振り返ると、ヒップホップに助けられてきた。
WILYWNKA 本当に「ありがとう」って感じなんですよね。だってヒップホップのおかげで嬉しいことだらけですから。日々「マジかよ」って思うことばっかり。
まあそんなこんなで2022年はヒップホップな3rdアルバムが出るので、とりあえずそれを聴いてほしいです。皆をいい意味で裏切ったり、期待に応えたりもできるはずだと思ってます。
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