20回以上の機構試作を経て完成した「SORA-Q」
©JAXA ©TOMY開発エピソード
おもちゃの開発において重要な要素に「柔軟な発想」「多くの人の手に届きやすい低価格の実現」などが挙げられます。それらは「小型化」「軽量化」「シンプルな設計」につながり、宇宙事業において求められる要素と合致しました。おもちゃ作りの発想と技術が宇宙探査に活かされるということは大変うれしいことです。また、HAKUTO-Rに引き続きSLIMにより短期間で2度の月面探査の機会を得ることができて大変光栄に思います。
企画のスタートは、玩具会社らしいユニークな探査機が作りたいという想いからでした。機械工学や宇宙工学などを学んだ社員等によって結成された開発チームは、それぞれの分野から意見を出し合い、そこに玩具の柔軟な発想を組み合わせていきました。こうして誕生したのが世界でも珍しい球体から変形する探査機です。
「SORA-Q」は、球体にする事で月面までの輸送時の容積を小さくし、着陸時の衝撃に強く、どの角度でも展開、駆動を開始する事を可能にしました。本体に車輪を付ける考えではなく、本体が変形して車輪の役目を担う事で小型化・軽量化を実現しています。
開発過程においては月面環境を想定したさまざまな課題に直面しましたが、JAXAの研究者の方々と多くの議論を重ねるなかで、登坂性能、変形機構、形状、サイズ、質量、モーター選定、メインボードなど試行錯誤を繰り返し、過去の玩具技術をヒントにするなど20回以上の機構試作を経て、ようやく「SORA-Q」は完成しました。
研究スタートから6年、ついに「SORA-Q」を月へ送り出すことになりました。「SORA-Q」が宇宙でのミッションを果たしてくれることを心から願っています。みなさんにも地球から「SORA-Q」を応援していただけたらうれしいです。
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夢中になって遊んだおもちゃ
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