本当に闘争心がなくなって格ゲーをやめたのか
──今回のKaepaとのコラボもそうですが、2020年8月頃にストリーマーとして活動をはじめて以降、活動の幅は広がったのではないでしょうか。ここまでを振り返ってみていかがですか?はつめ 自分としてもシーンとしても激動でしたね。芸能人やモデルといった方々がコロナ禍の影響でゲーム実況をするようになって。
本田翼さんをはじめ、少し前からその流れはあったんですけど、一気に加速した印象があります。最近だと山田涼介さんが参加されたのも驚きました。
個人としては……特に2020年はすごかったです。やっぱり改めて思うのは、これまでチームやたくさんの方々に助けられてどうにかやってきたんだなと。
それを突然「じゃあ私1人でやります」ってチームを抜けて、完全に1人で一年間やってきた。とにかくいろいろな人に助けられていたことをすごく実感しました。1人でやると言っても、実際に1人でできることって少ないので、今も同じような活動してる方々に助けてもらいながら活動しています。
……やっぱりチームにいたからこそ実現できていたことがたくさんあるんですよね。
──具体的にはどういったことでしょうか?
はつめ 例えば、チームのスポンサーさんのイベントで定期的にファンと会えていたけど、いまフリーになった状態だと、ファンに会う機会がまったくないとか。
プロゲーマーについても、心から辞めたくて辞めたかって言われると、振り返って考えるたびに答えに迷うことがあって。「大会が盛んに行われてたらまだプロでやってたんじゃないか?」とか、「本当に闘争心がなくなって格ゲーをやめたのか?」とか、すごく自問自答し続けた年でしたね。
──“プロ”という立ち位置については、これまでのインタビューでもたびたび葛藤を語られていますね。
はつめ 2017年にプロゲーマーとしてスポンサードされたときから、「プロは最強じゃなきゃいけない」と常に思っています。
ただ当時は、大学へ行かずにプロゲーマーを選んだ存在として、物珍しさや話題性が優先されていたような気がして。自分の実力と持て囃され方との間に「私が憧れてたプロ(最強)ってたぶんこれじゃない」「でもやりたいことができてるから続けなきゃ」と、ずっと葛藤してきました。
私自身、振り返って考えるのが好きなので、いまだに当時のことを思い返しては「あのときプロになったのが自分じゃなければ、その後もっとふさわしい人たちがプロになってたんじゃないか」とか、自分という前例が本当に正しかったのかなと(苦笑)。
とはいえ、本当に何も決まってない状態で父ノ背中を抜けたにしては、頑張れた方なんじゃないかなと思っています!
それでもいまだに、当時のことを思い返しては「あのときが一番楽しかったな」「もっとこうできたんじゃないかな」と思うことは全然ありますね。
「VTuberにならないんですか?」って言われる
──それでは現在のストリーマーとしての活動についてはどのように考えていますか?はつめ いまのYouTubeっていろいろな活動をしてる人がいますよね。特にVTuberの子たちがビッグウェーブに乗りまくってるんで、大人から「はつめさんはVTuberにならないんですか?」ってすごい言われます(笑)。
でも、あえてそれに逆行するのがかっこいいかなって。選択肢に対して「みんながやってるからやる」を選ぶのがすごく嫌いなんです。はつめという人間だからこそできることを、もっと突き詰めて頑張っていきたいと思っています。
──言葉の節々から、プロゲーマーになられた頃のはつめさんの尖った部分というか、ギラギラした部分が感じられますね。
はつめ いやいや! いまも頑張ってトゲにカバーしてるだけです(笑)。なんならプロ時代よりすごい尖っているんですけど、それと同時に大人にもなったんです。
いまは「深夜ラジオのようなしょうもない会話をみんなに聞かせたい」っていうのが、自分の活動のコンセプトになっています。ゲームを通じて知り合った友達や先輩、トークがうまい人が集まればこれだけ面白い話ができるんだよって。
ストリーマーとしての活動を通じて、私は人とゲームするのが純粋に好きなんだなって思いました。もちろん自分を追い詰めて高めるのも好きなんですけど、いまは人と人とを繋ぐツールとしてゲームに触れている。そういうゲームの在り方に気づけたのは大きかったです。
ただ……1年前に『Apex Legends』のCRカップで優勝したときに「やっぱりゲームは本気でやるとめちゃめちゃ面白いぞ!」と、ふと気づく自分もいて(笑)。それで後悔したというか、なんかちょっと一瞬ダウンした時期もありましたね。今まで抑圧してたものに気づいちゃったというか。
──相手と競って勝ち取る勝利の味を思い出されてしまったわけですね(笑)。
はつめ そうですね。でも『Apex Legends』ひとつとっても、ファンや友達とダラダラ話せるツールであり、本気で打ち込める競技性もある。すごくいろいろな側面がある中で、私はその中の1つ2つを好きになったのかなとも思いました。
はつめは好きじゃない、でもゲームに染まりたいときに
──2021年はCRカップはもちろん『VALORANT』の世界大会など、e-Sportsやプロゲーマーがより注目を集めた年でもあった気がしています。はつめさんはどのように感じていらっしゃいますか?はつめ 私がプロになったときから考えると、比にならないくらいたくさんの人が興味・関心を持つし、人と企業が関わるようになってきてますね。
昔から漠然と、子どもの「野球選手になりたい」という夢に対してお母さんが「頑張ってみなさい」って背中を押すのと同じくらい、ゲームの競技シーンに憧れた子どもの夢を、周りの大人が肯定できるような業界になったら嬉しいなって思っていました。
オフライン大会ができない状況だったにもかかわらず、これだけ盛り上がりがあるのはゲーム好きとしてすごく嬉しいし、ゲームの力を感じています。
一方で、アンダーグラウンドだった業界が大きくなるにつれて、いろいろな大人が集まってくると思うんです。お金だけ持った人が、若い子を安い賃金でプロって名乗らせるとかはすごい嫌ですよね。学生の暇つぶしと悪い大人の思惑が重なってプロになるよりは、本気でなりたいと思った人がなれる世界になるといいなって思います。
──はつめさんは以前から、e-Sports、さらには女性ゲーマーの地位向上を目標に挙げられていましたね。そういった意味では、Kaepaのブランドアンバサダー就任も、過去とも繋がってくるのかなと思いました。
はつめ さすがにそこまでは考えてないですけど! 昔はやっぱり「女性で強い人がもっと日の目を見てほしい」とか、「男女関係なくゲームがうまければ勝ちじゃん!」ってトゲトゲしい10代のはつめちゃんは思ってたんです(笑)。
でもいまは、自分がゲームが好き、興味があるわけじゃないけどゲームをやってる人、例えば「彼氏がやってるから」「推しがやってるから」みたいな理由でゲームを楽しんでる人がすごく増えていると思うんです。
そういう理由でゲームに興味を持った人たちが「ちょっとゲームに染まりたいな」と思ったときに、今回のコラボアイテムに興味を持ってくれたらすごく嬉しいです。別に「はつめのことが好きだから」じゃなくてもいいから。
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はつめ
YouTuber/ストリーマー
フリーのYouTuber/ストリーマーとして活動している元プロゲーマー。高校時代にe-Sports業界へ飛び込み、18歳でプロゲーミングチーム「父ノ背中」とプロ契約。格闘ゲームのプロゲーマーとして、全世界で行われる「CAPCOM Pro Tour」や「EVO」へも参加。2020年8月頃よりYouTuber/ストリーマーとして『Apex Legends』など様々なジャンルのゲーム実況も行う。
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