アーティストAcky Brightインタビュー 会社でこっそり描き続けた“落書き”で世界デビュー

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仕事のふりをして描いていた「DOODLE(落書き)」

SNSへの投稿をはじめた当初の“落書き”

──個展でも意識されているあきさんの「落書き」スタイル、「白黒」「線画」のイラストを描くに至った経緯について教えてください。

あき(Acky Bright) 絵そのものは、物心ついたときからチラシの裏とかに描いていました。それ以降はほぼ独学で現在のスタイルに行きついています。今のようなSNSへの投稿は、2018年くらいからはじめたんですが、当時は会社で仕事をしているふりをして、落書きを描いては投稿していたんですよ(笑)。

僕、本業はデザイン会社でイラストレーターとしても仕事をしているのですが、大企業の案件が多くコンサバな絵を描いていて、アーティストとして描く絵と対照的なんです。だから正直恥ずかしくて。

とはいえ、PCの画面が他のスタッフからも見えるオフィスのレイアウトだったので、デジタルでは描けない。そうなったとき、紙に企画書のラフを書くふりして絵を描こうと。色を塗るとか大がかりなことはできない状況で描きはじめたので、その延長線で今のスタイルになりました。 ──会社のみなさんには黙って活動されていたんですね。

あき(Acky Bright) アーティストとしても活動していると会社のみんなに言えたのは、2020年の4月頃ですね。緊急事態宣言が出て、リモートワークに切り替えるタイミングで集まったときにようやく。

それ以前から、アメリカ人やドイツ人など海外のクライアントが会社に来ていたので、みんな「また打ち合わせしているけど、何の仕事なんやろ……」と不思議に思われていたんです。その雰囲気を薄々感じていたから、さすがに言わなと思って(笑)。みんな驚いていました。

「Acky Bright」として活動をはじめたときは、お金を稼ぐとか仕事にするとか考えていなくて。本業ではプランナーであり経営者でもあるから、気楽な感じではじめたところもありました。結果的にはいろんな人が仕事に変えてくれて、今に至ります。

「素直に自分の描きたい絵を描く」

──SNSへ投稿した当初から「女の子×武器(メカ)」モチーフのイラストを多く描かれていますが、何かきっかけがあったのでしょうか?

あき(Acky Bright) 当時の記憶があまりないのですが、たぶん女の子を描くことに面白さを感じていたんだと思います。

もともと女の子を描くのは苦手で、仕事以外で描くことはほとんどなかったんですよ。男性のキャラクターばかり描いていました。だけど、描きはじめてみたらバリエーションが付けやすかったんだと思います。

髪型や体型、メイク、ファッションなど多様性があって、機械との組み合わせは対照的で面白い。ゴツいものと柔らかいものみたいな感じで、いろんな質感を組み合わせることができるなと。 あき(Acky Bright) でも天邪鬼なので、女の子を描きつつ「そればかり描くと思うなよ」とクリーチャーやおじさんを描くこともありましたよ。

今は仕事でも「女の子×武器(メカ)」の依頼が多いから、たまたまセンターのモチーフになっていますけど、今後別のモチーフの依頼が増えたら変わっていくかもしれません。

──モチーフに強いこだわりがあるわけではないとのことですが、イラストを描く際にこだわっていることはありますか?

あき(Acky Bright) あまり人の絵に似ないようにしたいと思っています。

寺田克也先生や鳥山明先生など僕にとって神様みたいな人たちの影響はすごく受けているから、それは自分の中で止めようがないのですが。彼らの記号的な要素を真似することはしないですね。プロを目指すと決めたときから、人の絵の記号的な要素を模写することはしなくなりました。

あとは、アーティストとして絵を描くときは「素直に自分の描きたい絵を描く」感覚を大事にしています。誰かに興味を持ってもらうために、流行りものを描くことはあまりやらないですね。 ──イラストの表現には流行のようなものもありますが、それらはあまり意識されないんですか?

あき(Acky Bright) プランナーとしてはミーハーな部分がないといけないので、最近のトレンドや流行はチェックして、その良さも理解しているんですけど、自分でそういったイラストを描くのはあんまり楽しくないと感じています。

──それではプランナーやデザイナーとしての仕事が、アーティストとしての活動に活かされることはありますか?

あき(Acky Bright) 無意識だと思いますけど相互に影響を受けてると思いますね。プランナー的な考え方は、漫画の構成やネタをつくるのと同じような感覚なんです。イラストの仕事でも、プロモーションなどのアイデアがあれば、失礼のない範囲で伝えるようにしています。

それから、デザインと名のつくものは、基本的にぱっと見で「わかる」ことがめちゃくちゃ大事だと思っているので、そのための空間の置き方とかトリミングの仕方とか、自然とイラストにも表現されているんじゃないかと。

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