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アーティストAcky Brightインタビュー 会社でこっそり描き続けた“落書き”で世界デビュー

アーティストAcky Brightインタビュー 会社でこっそり描き続けた“落書き”で世界デビュー

アーティスト/漫画家・Acky Bright(あき)インタビュー

POPなポイントを3行で

  • アーティスト・Acky Bright(あき)インタビュー
  • BMWなど国内外で活躍、名古屋PARCOで個展を開催
  • 楽しく描く──貫き通す「落書き」というスタンス
「白黒の繊細なタッチ」と「大胆な構図」が特徴的なイラストを手がけ、日本のみならず世界を舞台に活躍するアーティスト/漫画家・Acky Bright(通称:あき)さん。

MoMA(ニューヨーク近代美術館)のキュレーターに将来性を認められ、国内では文化庁が実施した「CULTURE GATE to JAPAN」に参加、国外ではDCコミックス『THE JOKER』のバリアントカバーやBMW「HEROES OF RIVALRY」の漫画を担当するなど世界的に評価されている。 8月28日(土)から9月12日(日)には名古屋PARCOで個展「BORDERLINE」を開催。「線」をテーマに、ペン1本で描いた白黒作品のみを展示するほか、会期中は本人が全日在廊を予定。会場は日々あきさんの下描きなしの「落書き」によって変化、さらに会場自体を作業場とし自身の仕事風景を常時公開する。

「変化する会場と、痩せていくか太っていくかもしれない僕を見てほしい(笑)」と話すあきさんは、実はデザイン会社のファウンダー兼プランナーでもある。個展のこと、落書きをはじめとする自身のスタンスの話、さらには海外の男の子から届いた衝撃的DM──SNSではほぼイラストしか投稿しないあきさんの、貴重なテキストインタビュー。

※The 4th page is the English version.
取材・文:阿部裕華 編集:恩田雄多

目次

作家も展示物、個展「BORDERLINE」で目指す“体感”

Acky Bright(あき)個展「BORDERLINE」。8月28日(土)から9月12日(日)まで名古屋PARCOにて開催

──個展「BORDERLINE」開催おめでとうございます。会期中の全日程在廊に加え、会場を仕事場にするという試みに驚きました。

あき(Acky Bright) 僕の仕事や作業も全部含めて展示にできたらと考えました。最近、アーティストの展示会やイベントが増えているけど、グッズを買いに来て、写真を撮って帰るみたいな人が多い印象があります。それはたぶん「ネットで見られる」ゆえに「見たことがある」からだと思っていて。

わざわざ足を運んで行く展示会の一番の面白さって「体感できること」だと思うから、行かないとわからない・見られない要素を取り入れたいなと。

会期中に現場で作品を完成させていく、そのプロセスみたいなものも楽しんでもらいたい。もしかしたら最終日まで完成しないかもしれないけど(笑)。

絵を毎日描いていると「今日は描けるな」「今日は全然あかんな」という調子の良し悪しもある。すごく調子の悪い日は細かいところをちょこちょこ直すだけの地味な作業かもしれないけど、その苦悩も含めてリアルなんじゃないかと思っています。作家も展示物だと思っていただければ。 ──比較的顔出しをしないアーティストが多い中、「作家も展示物」というのはすごくアバンギャルドですね。

あき(Acky Bright) 日本のアーティストは匿名でイラストアイコンが主流ですけど、海外ではみんな顔を出すのが一般的なんですよね。海外の人と仕事をすると毎回「ファンは誰が描いたのか知りたいんだ! だからイベントに出てくれ!」と言われます。みんなアーティストがどういう人間なのか知りたいから、表に出ることで作品も盛り上がるという考え方ですね。

顔出しが作品に干渉することもあるとは思うけど、その結果作品を見てもらえなくなったら、それでもいいかなって。僕自身、普段からインスタライブやYouTubeをやっているわけではないし、メイキングもあまり外に出さない人間なので、今回の展示では作家も含めて見てもらいたいなと思いました。

それと、たまにイベントでライブドローイングをやると、籠って描くのとはまた違う楽しさや面白さもあって。人の反応を見ながら緊張感のある中で描いていくと、自分の中に新しい発見もあるのではと期待しています。 ──実際に海外でのお仕事やファンの多いあきさんならではの感覚ですね。

あき(Acky Bright) そうかもしれません。個展とは全然関係ないし顔を出す理由でもないんですけど、実は、描いているイラストの影響か、結構日本人と思われてなかったり、それこそ女性のイメージを抱かれていたりすることもあるんです。

以前Instagramをはじめた頃、インドネシアの20歳くらいの男性から、何回もDMで「Hi!」って送られてきて、さすがにしつこいので僕も「Hi」って返したら、秒で何通もメッセージが届いて。何度かやり取りするうちに向こうも気づいたらしく、「信じられない!」「僕は日本の女の子と知り合いになりたかった!」と言われて。

スラング盛りだくさんの英語で本人のショックを伝えられたときに僕も衝撃を受けて、一時期アイコンを自分の写真にしたり、DMを閉鎖的に使うようになりましたね。きっと仕事の依頼のDMもあったと思うんですけど、彼のおかげでいくつか仕事がなくなったかも……ということがありました(笑)。

会場のすべてを制作物に、ドSなドローイング企画

──個展の展示物には「白黒の原画イラスト」、巨大ウォールや様々な物への「アナログドローイング」も予定されています。それぞれの展示物についてご説明いただけますか?

あき(Acky Bright) 僕が最初に出したイラスト集『DOODLE』に掲載したアナログ原画や、僕の手元にあるすべての絵を100点以上用意しました。今のSNSアイコンの原画や、色を塗る前の鉛筆・シャーペンで描いた状態の絵も混ざっています。

簡易的な額装で壁面展示するだけでなく、欲しい原画をそのまま買っていただける予定です。会場内に一気に100点展示できないこともあり、買っていただいたら次の絵を展示していく形になるかなと。

来るたびに展示されている作品が変わるから「今日は欲しい絵があるかな」とフラッと立ち寄っていただけたら嬉しいです。

販売されるイラスト本

あき(Acky Bright) ほかにも約80点のイラストのコラージュを2m×5mで出力した作品を壁面に飾ります。白黒イラストの線が集合したことによって、単体で見るのとはまた違う見え方になる。画面の中では感じられない面白さもあるので、実物を見て自分の好きな部分を見つけたり写真を撮ったりしてもらいたいですね。

会場内では巨大ウォールをメインにドローイングしつつ、壁や床などPARCOさんに怒られない程度にひたすら描いていく予定です。あとは、イスやヘルメット、トルソー、革ジャンなど用意してもらった立体物にも、その場でドローイングしていきます。すごくドSな企画ですよね(笑)。 ──たしかに(笑)。そもそも、なぜ立体物へドローイングする企画を?

あき(Acky Bright) 以前、ドクロの模型にドローイングしたことがあって。球体物に描くのってめっちゃ難しいんですよ。展示を企画してくれた方にその話をしたら「面白いからやりましょう!」と。

また、イラスト集のタイトルにも付けている「DOODLE(落書き)」にもあるように、とにかく何にでも描くのが僕の基本的なスタイルでもあります。ペン1本あればどこにでも描ける。そういうアナログ独特の絵の自由さ、表現の自由さが面白いなと思ったんです。

個展展示作品のきっかけとなったドクロの模型へのドローイング。「プラスチックの曲面に油性ペンで一発描き、って滑るし顔料のらないしで結構描きずらい」とのこと

あき(Acky Bright) ご時世的にどうなるかわかりませんが、PARCOさんに入っているお店に相談して、POPやショッパーに落書きするといったことも考えています。

……これを機に名古屋のちびっ子がいろんな場所に落書きして怒られたらどうしよう、「良い子は真似しないでね」と書いておかないといけないかもしれません(笑)。

──(笑)。でも、描く楽しさを伝えるようなあきさんの個展を見て「自分も絵を描きたい」と思う人が増えるかもしれないなと思いました。

あき(Acky Bright) それはすごくいいですよね。「絵を描いてみようかな、描いてみたいな」と言われたら一番嬉しい。毎日いる僕も展示物なので、サインや絵はいつでも描けるし、時間が許す限り、訪れた人も会場内に絵を描くみたいなコミュニケーションがあってもいいかなと思っています。

あと、僕が描いている様子は何かしらの形で配信する予定です。海外のファンの方を含めて、直接来るのが難しい人にも見られる形にしていこうと思っています。グッズもネット通販をやっていただけることになりました。体感して欲しいと言いつつ直接来られない人も楽しめる形にしたかったので、すごくありがたいです。

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