人の声ではない、ボカロだからこその限界と魅力

別に恥ずかしいわけではなかった模様

──お話を聞いていると、ボカロの魅力に惹かれていたからこそ、初音ミクというボーカロイドでずっと楽曲制作を続けてきたのが良くわかります。

ナユタン星人 初音ミクってブームの火付け役じゃないですか。出会いの衝撃がずっと残ってて「自分がやるならこれ」って気持ちが今でも続いているんです。

そもそも聴き慣れているのも大きいですね。ボカロと言えば初音ミクという。「初音ミク=ボカロ」というある種のスタンダードになっている。逆に言うと、スタンダードだから変えやすいんです。

──イメージが定まっているからこそ、そこからズラすこともやりやすいということですね。

ナユタン星人 そうです。初音ミクってみんなが使ってますけど、使う人によって声が全然違うじゃないですか。王道だからこそいろいろ遊べるところが、他のボカロにない面白さかなと思います。あと単純に見た目が好きです。

──それはツインテールがですか?

ナユタン星人 「ツインテールが!」です(笑)。

──ナユタン星人さんが考える、人の声ではなくボカロを使った時に楽曲に表れる特徴や限界はどんなものでしょうか?

ナユタン星人 人って、人の声に一番心を動かされるので、やっぱり究極的にはそこに勝てないんですよね。歌ってる側の気持ちの乗り具合もそうですし。

逆にボカロが面白いのは、そこを自分の編集で補えること。それが限界であると同時に強みだと思います

歌ってもらうと、その人の個性や歌い方の特徴が出るけど、ボカロ曲はつくった人が歌声の特徴も調整できる。ギターの音づくりや音の選び方の延長で、歌声まで自分のクリエイティブが及ぶのは、他にない楽しみ方だと思うんです。

多くの人がメロディや歌詞に注目して曲を聴いてると思うんですけど、ボカロの歌声自体にもつくってる人のクリエイティブが表れているんですよ

──ボカロPそれぞれの特徴は、曲調だけでなく、声色という形でも出てきますよね。

ナユタン星人 たとえばDECO*27さんとOmoiさんは同じミクなのにまったく違う。後ろのオケ無しで声だけ聴いてもこの人だ! ってわかりそうじゃないですか。そういう楽しみ方ができる音楽は他にない。ボカロだけの一番面白いところだと思います。
DECO*27 - ゴーストルール feat. 初音ミク
【初音ミク】グリーンライツ・セレナーデ / Greenlights Serenade【オリジナルMV】
ナユタン星人 僕自身も、聴いた人に「あ、これナユタン星人のミクだ」って思ってもらえるようなものを目指してます。

僕の場合は人間らしさやリアル感を目指すよりは、ロボット的な良さを活かすアプローチです。具体的に言うと、演歌のようなコブシや長いビブラート、シャクリなどで、人間にはできない癖をつける。人間の歌は表現力があっていいけど、ボカロはボカロで個性があって面白いなと楽しめるバランスを意識してます。

ナユタン星人の「侵略計画」は落ち着いた?

落ち着いた……?

──ちなみに最近のボカロ曲で特に印象的だった曲はありますか?

ナユタン星人 特定の誰かや曲というよりも「ボカコレ」(※)がめちゃくちゃ良いなって思っていて。ずっとやってほしかった企画をやってくれていると感じます。新しいクリエイターをたくさん発掘できるんですよ!

※ボカコレ:ドワンゴが開催するボーカロイド楽曲を中心としたイベント「The VOCALOID Collection」。2020年12月に誕生し、これまでに2回開催されている。

──お話を聞いているとボカロがすごく好きということが伝わってきます。シーンが広がりを見せるとリスナーも変化しますよね。そういったリスナー・シーンの変化はご自身の楽曲づくりに反映されていますか?

ナユタン星人 以前は「みんなが聴いてる音楽とは違うけど自分は好きだ」みたいな立ち位置で聴かれていたけど、その境目がなくなったようには感じます。それこそTikTokやバーチャルYouTuberの「歌ってみた」などの影響が大きいと思いますね。

ただ、リスナーさんに注目されたから自分を変えたという意識はないですね。僕は自分が聴きたい曲をつくることを、ナユタン星人として投稿する前からずっと続けてきましたから。

むしろ落ち着いちゃっているかもしれないです。今は僕好みのボカロ曲の供給が安定してるので、ただのファンに戻っちゃって(笑)。僕自身はボカロPというより、たまたま音楽をつくれるボカロオタクなので。 ──供給が多いと聴く側に回ってしまう。

ナユタン星人 そうですね。自分の曲もシーンの一部として楽しみたいというスタンスは、昔から変わっていません。

もちろん、今のボカロ曲を手抜きしているわけではないですよ。あとから振り返って聴いた時に「この時期もいい曲つくってたね」となる曲を意識しています。いくつか計画している今後やりたいことのためには、今の時期が必要だなって判断ですね。
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ナユタン星人のクリエイティブを刺激 音楽的同位体「可不(KAFU)」

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プロフィール

ナユタン星人

ナユタン星人

作曲家/ボカロP

ナユタン星人という名前で曲をつくっています。イラストや動画制作もやります。
代表曲は「エイリアンエイリアン」「太陽系デスコ」「ダンスロボットダンス」など。
提供曲はEve「惑星ループ」、ナナヲアカリ「ダダダダ天使」、ミライアカリ「ミライトミライ」、ピンク・レディー「メテオ(映画妖怪ウォッチ主題歌)」など。

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん

なゆたんかっこよすぎなんよ

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん

ナユタンほんとにだいすき

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん

「良さ」を引き出す記事!
可不とナユタン違和感ない(見た目)

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