日本画とストリートグラフィティに大きな影響を受けたKYNEさんの描く女性の肖像画は、国内外から大きな注目を寄せられている。
個展は4月9日(金)から28日(水)まで。
80年代の大衆文化を享受した福岡発のアーティスト、KYNE
KYNEさんは、2006年より地元である福岡県で活動を開始したアーティスト。大学時代には日本画を学ぶかたわら、アメリカ由来のストリートグラフィティの手法を自ら試みるなど、越境的なアプローチに挑んでいた。 東京、福岡で個展やグループ展を開催するほか、台北で開催されたアートフェア「現代美術アートフェア 台北當代(タイペイダンダイ)」などにも参加。
4月9日からは、「Kaikai Kiki Gallery」にて個展「KYNE Kaikai Kiki」を開催する。
KYNE、村上隆からもコメント「ただ純粋に作品を発表し、皆さんに楽しんでもらえればと思っています。」
時代もジャンルも飛び越えたカルチャーを絵画として表現するKYNEさんと、アニメや漫画といった日本のポップカルチャーをアートに取り込んだ表現を発表し続けてきた村上隆さん。双方が呼応し合い、開催に至った要注目の個展「KYNE Kaikai Kiki」の開催に寄せて、KYNEさん、村上隆さんからコメントが届いている。
KYNE
日本画、グラフィティ、80年代の大衆文化、そして現代のミックスカルチャー。
僕の絵を伝える上で、一見何の関連性もないこれらの要素はどれ一つとして取り除くことはできません。大学時代に日本画を学び、偉大な作家たちの絵を勉強しながら岩絵具を使って作品制作をしていました。そこには脈々と受け継がれてきた様式と作法があり、歴史がありました。
そして同時期にグラフィティという70年代にアメリカで生まれたストリートでの表現に出会い、僕もマーカーでのタギングをしてみたり、プリントした作品を街の壁にペーストしたりしていました。日本画のじっくりと時間を掛けて作品制作をする様式とは対照的に、グラフィティは時間が掛けられない中で作品を街に残していくものであり、僕にとってはその相反するどちらのもが非常に面白い作品制作のプロセスであるように感じました。
そしてまた、アートとは関連のないところで僕は80年代のアイドルや音楽、カルチャーに強い影響を受け少年時代を過ごします。
可愛らしさの象徴として目にする女性たち、当時の技術やセンスで作られたポップソングやデザイン的流行から生み出されるレコードジャケット。
また漫画という平面的な世界で繰り広げられるユートピア的物語たち。
それらが渾然一体となって「その時代にしかないムード」が生まれ、そしてそのムードは鮮明に記憶の中に残っています。更にその「ムード」は、今やインターネットでアクセスし画面越しに見ても掴むことのできない「空気感」を漂わせています。
僕が今描いている女性のポートレイトは、日本画やグラフィティから吸収したエッセンスをもって描く80年代アイドル的女性像ではなく、女性の姿を借りた「自分自身が通過してきた様々な文化とその 時代のムード」なのです。
そのインスピレーションソースは文化的リバイバルでありながらも、それをアートとして表現することにそのソースとは少し違った価値観を持たせる可能性があると考えています。
そして僕は自身のことを、インターネットやストリートカルチャーが一般的に広まったことで生まれた、ピュアなオタクでもピュアなストリートでもないミックスカルチャーの中にいる中間的な存在の1つなのだと思っています。
そう考えた時、アニメなどの日本の大衆文化を早くからアートに取り入れ、様々な文化の境い目を研究してきた村上さんとの出会いは必然のようにも思えると同時に、僕がKaikai Kikiで個展を開かせてもらうこと自体が村上さんの1つの表現になっているのではないかと感じます。
そして僕はそれをまっすぐに受け止め、ただ純粋に作品を発表し、皆さんに楽しんでもらえればと思っています。
村上隆
©️KYNE ©️2021 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd.ついに2021年4月9日、KYNEさんの個展「KYNE Kaikai Kiki」の開催です。
KYNEさんとのプロジェクトは、2020年の秋に、版画をTonari no Zingaroで販売し始めてから、着々とゴールに向かって走って来ました。
この個展は、KYNEさんとGALLERY TARGETと我々Kaikai Kiki Galleryとの、待ちに待った共同事業。KYNEさんは、2006年から登場した肖像画を中心とした作家です。
一見するとJulian Opieや江口寿史さんの作風に似ておりますが、そのコンセプトの裏付けとしては、彼が学んできた日本画の線描、それと福岡という彼の出生の地におけるヤンキー文化、そしてそのヤンキー文化との親和性におけるグラフィティーの世界観、又、プライベートな立場での憧憬と、公的な立場でも拒絶など、複雑な想いが作品に封じ込められています。
そして、彼の成り立ちには常に福岡のローカルな、ファッション文脈との交流が濃厚です。又、Lifestyle &インテリアマガジンCasa BRUTUSとの関係性も強く、日本の文化人達の琴線に触れています。
彼のアート界での事件は、2019年のアートフェア東京で、GALLERY TARGETにて展示した時に、コレクターの皆が開場とともに脱兎の如く走って行って、即完売となったニュースでした。
GALLERY TARGETは作品を販売する際に数年間の転売を禁止する縛りの契約をつけており、中々セカンダリーマーケットに本画(本物のペインティングの意味)が出てくることがありません。なのでその分版画が急騰してしまい、今版画マーケットでは売値が10~20万円台だったのが、200~300万円台にまでなっています。
それは、GALLERY TARGETやKYNEさんにおいてもそれほど愉快なことではないとのこと。そこに僕らも関わることで、膨らみきったニーズ、渇ききった喉を潤わせるために、版画を供給してみて、マーケットの安定化、正常化への導線引きをし、且つ本画の価値の意味を問う、ということをやろうとしています。
2020年11月から2021年4月まで、毎月3種ずつリリースして行き、そして、4月にKaikai Kiki Galleryで本画の個展を行うという。
このストーリーラインでやって来て、いよいよのゴールです。
2021年春、世は、「アートバブル」とやかましく、東京のローカルオークションでは、若手アーティスト達の価格はグイグイ上がっており、そのリーダーシップはKYNEさんがとっています。過去、現在、未来、アーティストの価値とは、人生全ての時間を使った勝負です。今回の展覧会でKYNEさんは、大きなJUMP UPを望んでいるハズ。ブランディングによるアップグレードだけでは無く、ARTの真髄を発散してくれるハズです。僕とのコラボ作品もありますので、新作の数々を見てみて下さい。
ポップカルチャーの様々な表現
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イベント情報
KYNE個展「KYNE Kaikai Kiki」
- 会期
- 2021年4月9日(金)〜4月28日(水)
- 時間
- 11:00〜19:00 ※日曜日、月曜日、祝日は休廊
- 会場
- Kaikai Kiki Gallery
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