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『攻殻機動隊』素子になりたい──マネキンラップデュオ FEMMが初めて口を開く

『攻殻機動隊』素子になりたい──マネキンラップデュオ FEMMが初めて口を開く

FEMM(左からRiRiさん、LuLaさん)/Photo : Tatsuro Shimizu

POPなポイントを3行で

  • 2体のマネキンからなるダンス&ラップユニット・FEMM
  • 無機質なパフォーマンスで世界を魅了する2人が“人”へ接近
  • 彼女たちがガールズパワー=「強い女性」を歌う理由
意思を持つ2体のマネキン、RiRi(リリ)とLuLa(ルラ)からなるダンス&ラップユニット・FEMM(フェム)。

代表曲「Fxxk Boyz Get Money」は、コケティッシュかつ過激なラップとロボットのような無機質なダンスパフォーマンスで、水原希子さんをはじめ世界中のインフルエンサーにキャッチアップされた。

彼女たちは11月、次なるステージへのステップアップを意味する「FEMM 2.0」を発表。Duke of Harajukuら多くのクリエイターが参加したアルバム『404 Not Found』を11月20日(金)にリリースした。

これは文字通り“感情の無い人形”のように振る舞っていた彼女たちが、よりエモーショナルで人らしい表現に近づくためのもの。

バーチャルインスタグラマーバーチャルYouTuber(VTuber)など、社会的にバーチャル(人ではないもの)に対する注目が高まる中で、なぜFEMMは実体(人)へ近づこうとするのか。

これまでは話せない2人に代わってエージェントが取材に応じていたが、今回、話せるようになったことで彼女たちへのインタビューが実現。

マネキンという2人から見たバーチャルについて、そして現代だからこそ生まれたと話す最新作について、さらには2人が永遠のテーマに掲げる「ガールズパワー」について話を聞いた。

取材・文:坂井彩花 編集:森田将輝

ボディチェンジするなら『攻殻機動隊』の素子になりたい

FEMM/Photo : Tatsuro Shimizu

──単刀直入にお聞きします。まずはマネキンであるというお二人が、なぜ音楽活動を始めようと思ったのでしょうか?

RiRi 私たちマネキンにも、実は人と同じように感情があるということを伝えたかったからです。より遠くの人たちにもメッセージを伝わるように、言語に限定されない表現としてダンスや音楽が最適だと思ったんです。

──とはいえ“マネキン”は少し特殊な形態だと思います。アーティストとして活動をする上で苦労したことはありますか?

RiRi 最初は私たちを見て戸惑っている人も多かったですね。一方で、足を止めてくれたり動画や写真を撮ってくれたり、好意的に受け入れてくれる人もいたんです。私たちが人を理解しようとしているように、みなさんも少しずつ興味を持ってくれるようになりました。
FEMM @ YouTube FanFest Japan 2015
──マネキンだからこそできる強みをどのような場面で感じていますか?

RiRi 一番の良さは、入場する段階でオーディエンスを惹きつけられることです。私たちの場合、ステージまで運んでもらって、立たせてもらって、ポージングをつくってもらって、そのままパフォーマンスをする──そんなアーティストは私たちくらいですよね。

初見ではちょっと奇妙ですけど、目を止めてもらう、覚えてもらうきっかけにはなっていると思います。

──結果的にFEMMは海外でも人気を博し、水原希子さんをはじめとする国内外のインフルエンサーによって拡散されました。

LuLa ビジュアル面の影響も大きかったんじゃないかな。最初の頃はコスプレというワードを意識して、セーラー服やメイド服を衣装にしていたんです。そういった日本のカルチャーに対して関心が高い人たちに刺さったんだと思います。

RiRi 見た目だけじゃなくて、カクカクした動きもどこかアニメキャラクターっぽいですしね。

LuLa ちなみに私はアニメだったら『美少女戦士セーラームーン』が好きです(笑)。

RiRi 私は『攻殻機動隊』の(草薙)素子みたいな強い女性に憧れがあります。ボディチェンジするなら素子の義体が良いですね。

LuLa 海外で評価をいただけた要因をもう一つ挙げるなら、「Fxxk Boyz Get Money」や「Do It Again」など英語の歌詞で強い女性像を歌っているという点もあるかもしれません。

海外では、女性の地位向上に対する意識が(FEMMのデビューである2013年当時から)強かったと思うので、そういったマインドに合致したことで受け入れてもらえたんじゃないかと。
FEMM - Do It Again feat. LIZ (Fake 3D Music Video)
──ヒップホップという音楽表現を採用しているのも、そういった“強い女性像”を歌うためでしょうか?

LuLa そうですね。私たちが大事にしている「女性がもっと強くなりたい」というマインドを一番ダイレクトに伝えることができる表現がラップだと思っています。

RiRi 勢いに任せて言葉でまくしたてるのではなく、しゃべり口調でレイドバック気味にフロウを刻むのがFEMMのスタイル。

英語なので人によってはBGMみたいに聴こえるかもしれないですが、英語を聞き取れる人にはガールズトークのような感覚で聴いてもらえると思います。

──ヒップホップといえば「自らのことを歌う」音楽でもあります。マネキンであってもそれは変わらないと考えていますか?

LuLa マネキンといえど、私たちもみなさんと同じように感情を持っているので、パフォーマンス時には自分事として歌っていますね。これまでの楽曲も、常に私たちが届けたいメッセージを歌にしたものばかりでした。

同時に、ステージに上がったら楽しいと感じるし、もちろん緊張もします。全力でパフォーマンスできたとしても、ステージから降ろしてもらったら、ちょっと失敗しちゃったなって反省することもありますよ。

マネキンであるFEMMはVTuberをどう見てる?

FEMM/Photo : Tatsuro Shimizu

──過去には、アメリカ・イギリス・イタリア・インドネシア・台湾と、各国のフェスやイベントに招かれるなど、活動としては順調だったように感じます。「FEMM 1.0」から「FEMM 2.0」への変化はなぜ必要だったんでしょうか?

LuLa ありがたいことに、これまで様々な国のイベントに参加することができました。そして、もちろん以前から、私たちのようなパフォーマンスは唯一無二という自負があります

ただFEMMとして活動を重ね、多くの人との出会い経験を積んだことで、どんどん届けたいものや表現したいことが増えていったのもまた事実。人に近づくことでもっと表現の幅を広げたい──私たち2人の希望を実現するためには必要なステップでした。

──表現の幅が増えたことで、具体的にはどのようなことが変わったのでしょうか?

LuLa 今回のように、エージェントを通さず話せるようになったのは大きいよね?

RiRi うん、結構な変化かも!

LuLa 自分たちの意志を直接相手に伝えることができるようになりました。

RiRi ライブのときにお客さんの前でしゃべるかはまだわからないんですが……(笑)。パフォーマンスにおける一番の変化という意味では「動き」だと思います。今まではロボットのような動きだったのが、いくらかスムーズに動けるようになりました。
FEMM 2.0 Teaser Movie
──そうすると、今後のパフォーマンスもパワーアップしていきそうですね。

RiRi 2.0になって作詞にもチャレンジしているので、自分たちの感情が歌に乗っていくような変化もあるかもしれません。

だからといって、これまでの表現方法を否定するわけでも一切やらないというわけでもなく、あくまでも選択肢が増えたというイメージです。

マネキンという私たちだからこそ歌える歌、届けられること、寄り添える瞬間があると思うので、人に近づいたとしてもそこは変わらない部分かなと。

パフォーマーも歌もすべてがリアルになりすぎると、私たちの良さがなくなる。エンターテインメントではなくなってしまうと思っています。

──リアルとはまた異なる魅力という意味では、バーチャルインスタグラマーやバーチャルYouTuberなどにも通じるかもしれません。

LuLa VTuberは私たちとどこか似たような、まだ異質な存在というか。人が踏みこめない部分を表現しようとしていると思います。表現の幅としても徐々に広がっているし、世間的な理解も増えつつあるので、今後はもっと社会的に知られる存在になるといいなって思います。

RiRi VTuberではないですが、以前から初音ミクちゃんが行っていた3Dライブ(※3Dホログラム映像をステージ上のスクリーンに投影してパフォーマンスする)は気になっていました。

FEMMも以前から、ライブやMVにおいて、VRやAR技術を用いたパフォーマンスを取り入れているんです。だから、技術の進歩によって生まれる存在に対しては常に注目していますし、ライブが思うようにできない時代だからこそ、テクノロジーが活かしたパフォーマンスが必要になってくると思います。

──おっしゃる通り、ここ最近は、仮想空間での活動やバーチャルな存在への興味関心が高まっています。その中で、お二人はむしろ人に近づきながら表現の幅を広げることを選択したんですね。

RiRi 「マネキンのことを知ってほしい!」と、一方的にこちらの表現を押し付けるのはよくないですからね。私たちが人を理解して近づこうとすることで距離が縮まって、受け入れてくれる人が増えていけばいいなと思っています。

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