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村上隆、ヤジ被害の塩村文夏都議らしきポートレートを制作 中野で緊急展示その反響は大きく、ネット上では賛否両論が渦巻く事態となっている。特に、その制作意図は何なのか──いまなお多くの関心が集まっている。
今回の作品に関して、村上さんの口は重く、カイカイキキに取材を申し込むも取り次いでもらえることはなかった。ただ、渦中のポートレートが展示されているBar Zingaroのマネージャーもつとめるカイカイキキの担当者が、あくまで推測としながら取材に応じてくれた。
過去には加勢大周Zやブリトニーランドセル作品も
これまで村上隆さんは、社会的に注目を浴びている人物や出来事をモチーフに作品を制作する、ということを何度も行ってきている。例えば、加勢大周さんが独立してからもそのまま芸名を使用していることに怒った事務所が「新加勢大周」をデビューさせるという騒動の際には、加勢大周Zなどを擁立してテレビ局に売り込んだことがある。
また、青少年健全育成条例の改正を巡る議論において、マンガ『奥サマは小学生』が名指しで批難され最終的に絶版に至った騒動の際には、世界的な歌手のブリトニー・スピアーズさんにスクール水着でランドセルを背負わせたパロディビジュアルを英ファッション誌の表紙として制作し、反響を呼んだこともある。
それらについても、村上隆さんはその制作意図について言及することはほとんどなかった。「鑑賞した人に疑問を想起させることで、自分で考えてみろと問いかけているのかもしれない」とはマネージャーの言葉だ。
北王子魯山人の蠱惑
今回のポートレートに関しても、長年村上隆さんの下で働くマネージャーにも明確な説明はないためあくまで推測としながら、「村上は、ヤジ問題を評して、“蠱惑”と語っていたことがあるので、それが作品のキーワードになっているのかもしれない」と語る。村上隆さんは、常々、芸術家・北大路魯山人を敬愛し、彼の評伝書として知られる白崎秀雄『北大路魯山人』を愛読しているという。
この評伝を著した白崎秀雄という人物も、はじめは北大路魯山人のことを毛嫌いしていた。ただ、それでも人を魅力してやまない作品を前に、その魅力を認め、それを“蠱惑”と評している。何の件かには触れず、村上がTwitterでも言っているのですが、北大路魯山人は、人間的には最低の男で、しかもその作品にもグダグダな部分があった。ただ、そういう隙にこそ、抗えない魅力があったと村上は考えているようです。それを“蠱惑”というのですが、まさにこの女性都議、そしてこの一連の話題自体が、蠱惑的だとして、それがもしかしたら作品制作の動機になっているのかもしれません Zingaro 統括マネージャー
人を惹き付ける人やもの、話題には毒がある。と言うよりも、毒こそが、人を蠱惑するものだというのが村上の哲学なんです。今回、ヤジ騒動の持つ毒、女性都議の持つ毒に蠱惑を感じたのかもしれません Zingaro 統括マネージャー
彼の陶芸作品は、ほんとうにグダグダです。しゃきっとした作品と比べると、なんて気の抜けてテキトーな作りなんだよ、と思ってしまう。だが、その隙が、芸術の本懐であるとは、多くの評論家は理解できず、しかし、作品を持ったコレクターたちには、理解され続けていったのです。
— takashi murakami (@takashipom) 2014, 6月 26
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