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キーワードは「蠱惑」 村上隆のセクハラヤジ問題ポートレートの真意を取材

キーワードは「蠱惑」 村上隆のセクハラヤジ問題ポートレートの真意を取材

6月29日まで、作品は中野ブロードウェイ内のBar Zingaroにて展示されていた。未完成の部分があるため、その後は工房で作業が進められる

現代美術家・村上隆さんが、東京都議会でのセクハラヤジ被害で一躍世間の耳目を集めることとなった塩村文夏都議らしき女性のポートレートを制作・展示したことが話題を呼んでいる。
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その反響は大きく、ネット上では賛否両論が渦巻く事態となっている。特に、その制作意図は何なのか──いまなお多くの関心が集まっている。

今回の作品に関して、村上さんの口は重く、カイカイキキに取材を申し込むも取り次いでもらえることはなかった。ただ、渦中のポートレートが展示されているBar Zingaroのマネージャーもつとめるカイカイキキの担当者が、あくまで推測としながら取材に応じてくれた

過去には加勢大周Zやブリトニーランドセル作品も

村上隆さんによる『POP』表紙

これまで村上隆さんは、社会的に注目を浴びている人物や出来事をモチーフに作品を制作する、ということを何度も行ってきている。

例えば、加勢大周さんが独立してからもそのまま芸名を使用していることに怒った事務所が「新加勢大周」をデビューさせるという騒動の際には、加勢大周Zなどを擁立してテレビ局に売り込んだことがある。

また、青少年健全育成条例の改正を巡る議論において、マンガ『奥サマは小学生』が名指しで批難され最終的に絶版に至った騒動の際には、世界的な歌手のブリトニー・スピアーズさんにスクール水着でランドセルを背負わせたパロディビジュアルを英ファッション誌の表紙として制作し、反響を呼んだこともある。

それらについても、村上隆さんはその制作意図について言及することはほとんどなかった。「鑑賞した人に疑問を想起させることで、自分で考えてみろと問いかけているのかもしれない」とはマネージャーの言葉だ。

北王子魯山人の蠱惑

今回のポートレートに関しても、長年村上隆さんの下で働くマネージャーにも明確な説明はないためあくまで推測としながら、「村上は、ヤジ問題を評して、“蠱惑”と語っていたことがあるので、それが作品のキーワードになっているのかもしれない」と語る。

村上隆さんは、常々、芸術家・北大路魯山人を敬愛し、彼の評伝書として知られる白崎秀雄『北大路魯山人』を愛読しているという。

何の件かには触れず、村上がTwitterでも言っているのですが、北大路魯山人は、人間的には最低の男で、しかもその作品にもグダグダな部分があった。ただ、そういう隙にこそ、抗えない魅力があったと村上は考えているようです。それを“蠱惑”というのですが、まさにこの女性都議、そしてこの一連の話題自体が、蠱惑的だとして、それがもしかしたら作品制作の動機になっているのかもしれません Zingaro 統括マネージャー

この評伝を著した白崎秀雄という人物も、はじめは北大路魯山人のことを毛嫌いしていた。ただ、それでも人を魅力してやまない作品を前に、その魅力を認め、それを“蠱惑”と評している。

人を惹き付ける人やもの、話題には毒がある。と言うよりも、毒こそが、人を蠱惑するものだというのが村上の哲学なんです。今回、ヤジ騒動の持つ毒、女性都議の持つ毒に蠱惑を感じたのかもしれません Zingaro 統括マネージャー

【次のページ】グダグダな日本の象徴?
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