キーワードは「蠱惑」 村上隆のセクハラヤジ問題ポートレートの真意を取材

グダグダな日本の象徴

ネットでは炎上狙い、便乗といった批難も受けていることについては、「全くそんな意図はありません」とコメント。

村上には、アートの文脈に限らず、いつも日本に憤っている気持ちがあります。

例えば今回、ヤジ問題がいまだにテレビなどで大々的に報道されています。しかも、ヤジを飛ばした人だけではなく、フタを開けてみれば、塩村都議も、グラビアアイドル上がりの、どうやら気の多い女性のようです。元恋人から慰謝料をふんだくった話をバラエティで披露した過去も出てきている。

明らかにどこかの政治家に担ぎ上げられているのでしょうが、そんな彼女を巡って世界にも知れ渡るほどの大騒ぎを繰り広げている、グダグダな日本。たぶん、このポートレートは、そんな日本、そしてそんな騒動が起きている2014年の象徴として制作したのではないかと思うんです Zingaro 統括マネージャー

アートにおいては、作品の制作された文脈や時代背景というものが、とても重視される。今、セクハラヤジ被害で騒ぐ2014年という、村上隆というアーティストが生きている時代を切り取り、後に参照することができるように、ポートレートとして制作・展示したのではないか──。

作家の岩崎夏海さんがブロマガで、遠隔操作事件の片山容疑者やAKBの握手会事件について語っているそうなんです。当初片山容疑者を冤罪としてずっと擁護していた2ちゃんねるをはじめネット民の手のひら返しや、小保方さんのSTAP細胞問題で、割烹着を着た綺麗な天才女性と担ぎ上げていたマスメディアが、一転して大バッシングに走り、はじめは女性性を過剰に報じるそのマスメディアの姿勢を批判していたネット民が、捏造発覚ではマスコミもっとやれと煽り立てる、と。

女性都議の所属するみんなの党はみんなの党で、ヤジを飛ばした自民党を叩く格好の口実のごとく扱っているし、メディアは音声解析にやっきになっている。ヤジ問題も、そうしたグダグダすぎる日本の象徴だと村上が漏らしていたことはあります Zingaro 統括マネージャー

発表されるや否や話題を呼び、海外のメディアでも報道されているこのポートレート。予想を上回る反響の大きさだったそうで、展示を開始したその日の深夜に思い立って翌日には制作されたステッカーは、作品が展示された6月29日までBar Zingaroにて頒布されていた。
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