「アーティスト人生終わった」ハハノシキュウのフリースタイルダンジョン後記

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「アーティスト人生終わった」ハハノシキュウのフリースタイルダンジョン後記
「アーティスト人生終わった」ハハノシキュウのフリースタイルダンジョン後記

アーティスト写真を除く画像はすべて「フリースタイルダンジョン4th season Rec 4-4」スクリーンショット

思てたのんと違う!「M-1グランプリ2004」笑い飯 敗者コメント

「次のチャレンジャーはこいつだ!」

中学生の頃から聞き慣れたZeebraさんの声がスピーカーから響く。

紹介VTRが終わり、スモークとともにラッパーが登場する。そこに立っていたのはBOZというラッパーだった。

「先攻、呂布カルマ!後攻、BOZ!」と中学生の頃から聞き慣れたUZIさんの声がスピーカーから響く。

そこからは本当に刹那だった。サムライが一太刀で相手を真っ二つに両断するように、あっと言う間に試合が終わってしまった。クリティカルで呂布カルマさんの勝利である。

僕はそれを観て「BOZさんダセェ」と思う。

ハハノシキュウ

元から僕を知っている人はお久しぶり。

フリースタイルダンジョン」のオンエアで僕を知り、この記事まで辿り着いた人は、初めまして。僕が、あのハハノシキュウです。

文:ハハノシキュウ 編集:ふじきりょうすけ

ハハノシキュウが振り返る「フリースタイルダンジョン」

今年、出場したMCバトルで闘った相手のほとんどが“「フリースタイルダンジョン」に出たことのある側のラッパー”だったから、その度に悪態をついていた。

僕は、テレビで観てダサかった相手に容赦なく「ダサい」と言い、勝ち負けに関係なく自分という商品を売れなかったラッパーを軽蔑してきた。

それは自分が番組に呼ばれていないから平気で思えることだった。

出産の痛みを「鼻からスイカ」なんて言われても知ったこっちゃない。僕にできることは、その痛みを想像することくらいだ。

「文句があるなら自分でやれ」と言う人をよく見かけるけど、僕は自分でそれをやるつもりだったから、番組に呼ばれないことのフラストレーションは便秘のように溜まっていく一方だった。

でも、逆に言えばそれが希望だった
【MV】ハハノシキュウ『カブトムシにマヨネーズ/The Art』
もしもハハノシキュウが「フリースタイルダンジョン」に出ていたら”という個人個人の妄想の中で、僕はダークヒーローで有り続けられたかもしれないし、僕自身も呼ばれていないからこそ根拠のないことを自信を持ってエゲツなく言えたのである。

ドラフト会議はとっくに終わっているかもしれないのに、どっかで買ってない宝クジが当たると思っていて、むしろその無色透明の希望自体が幸せだと感じ始めているのだ。

そして、いつものようにプロ野球のナイター中継に悪態をつく草野球好きのオッサンのように、あーでもないこーでもないと詭弁をスイングし続けるのである。

やはりそんな状況にもさすがに嫌気がしてきて、番組に呼ばれない人間を集めた予選大会「フリースタイルダンジョン Challenger's CUP」にも出場したが、そこでもハハノシキュウは勝てなかった。

そして、そこで優勝したBOZさんが出ている「フリースタイルダンジョン」をテレビで観たわけだ。

初めて実験的に開催された予選大会の優勝者が結果を残せないと「第2回 Challenger's CUP」みたいなものが開催されなくなる可能性があるし、そもそも「Challenger's CUP」自体がみんなの記憶から消えていくのではないか? と僕は心から恐れた。

それは、自分のエゴのためではなく、こういう場面で名前を選ばれない側のラッパーみんなのエゴのための感情だ。
BOZ IS LIKE/BOZ FAN CLUB
だから、「Challenger's CUP」の出場者みんなと一緒に「BOZ IS LIKE」という曲をつくった。これで、一応だけど「そういう予選があったんだ」と一定の認知は得れたと思う。選ばれない側のラッパーのチャンスが少しでも増えるように。

ただ、「フリースタイルダンジョンに出たいよ! 俺を呼んでくれよ!」っていうアピールを自ら率先してしていたような状況下になってしまった感は否めないのでこのタイミングでオファーが来たら正直、嫌だなぁと思っていた。

なんかまるで呼ばれない同窓会に無理やり「空気読めなくて悪いけど出席していい?」とほうぼうに聞いて回っていたみたいだったからだ。

しかしながら、転機というのは来てほしい時には来てくれないし、来てほしくない時には来てくれるものなのである。

僕程度のラッパーが自分の心労的な都合で「来年の収録だったら出ます」なんて阿呆なことを言えるはずもない。二つ返事で了承する他なかった。

とは言っても、腹の底は「マジで普通に勝てるでしょ」と書かれた文字が、水を抜いたら丸見えになる仕組みになっていた。

つまり、バイブスは満タンだったのだ。

「フリースタイルダンジョン」への初挑戦

ここ数年の僕のトレンドは“屁理屈”だった。韻でもなくフロウでもなく、ただの“屁理屈”だった。

“屁理屈”だけでどこまで行けるだろう? と僕は想像する。 「もっとビートに乗れ」と言われたら「ビートが車だとしたらみんなが乗ってて窮屈だ。だから僕は乗らない」と答えるだろう。

「もっと韻を踏め」と言われたら「ライム至上主義の一本道が渋滞してるから他の道を選んでる」と答えるだろう。

正解はない、解釈は自由。

僕はラップに人生を投影しない。投影しなくても言葉の選び方でどうにでもなると思っているからだ。

むしろ、僕の人生なんていちいちラップにするほどの人生じゃない。
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イベント情報

ハハノシキュウ独演会「立会い出産 第二子」〜一人MC BATTLEの会〜

日程
12月10日(日)
場所
下北沢Laguna
価格
前売2500円+D
当日3000円+D

概要
ハハノシキュウによる二回目の独演会。
MC BATTLEイベントでお馴染みのタイムテーブルを、ハハノシキュウが一人で全てやります。
お客様はご入場に渡される紙に“お題”を書き、指定のボックスに入れてください。(ラッパーの名前は極力やめてください)
ボックスから引いたお題によって、トーナメント表やショーケースのメンツが決まります。
また、最後にはチャンピオンライブもあります。

タイムテーブル
18時00分 開場 DJタイム
19時00分 開演
19時00分 一部ショーケース
19時10分 ルール説明
19時15分 ベスト8
20時00分 二部ショーケース
20時10分 ベスト4
20時30分 三部ショーケース
20時40分 決勝
20時50分 チャンピオンライブ〜オープンマイク
21時00分 物販
22時00分 撤収

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ハハノシキュウ

ラッパー

青森県弘前市出身のラッパー。学生時代は小説家を目指していたが新人賞の応募規定にあったあらすじの書き方が解らず、挫折。『3 on 3 MC FREESTYLE BATTLE』のDVD を鑑賞後「不良じゃなくてもラップをしてもいいのか!」と気付き、ラップを始める。MC BATTLE における性格の悪さには定評がありUMB や戦極MC BATTLEなどに出場し、幾多のベストバウトを残している。作詞家、ライターなどの顔も持ち、ライターとしてはクイックジャパン、KAI-YOU などへの寄稿で好評を得ている。特徴的なザラつきのある声と、自意識や青春をこじらせた英語を使わない歌詞で局地的な人気を集めている。2012 年05 月、処女作品集『リップクリームを絶対になくさない方法』をリリース。2013 年09 月、フリースタイルダンジョン初代モンスターDOTAMA とのコラボアルバム『13 月』をリリース。2016 年11 月、地下アイドルおやすみホログラムの遍歴をエモーショナルにラップした『おはようクロニクルEP』がポニーキャニオンからリリースされ、実質メジャーデビューを達成する。2017 年06 月、ハハノシキュウ× オガワコウイチ名義で2 枚組アルバム『パーフェクトブルー』をおやすみホログラム所属のgoodnight! Records からリリース。2017 年08 月、ハハノシキュウ独演会「立会い出産 第一子」を開催する。2017 年12 月10 日、”ハハノシキュウ独演会「立会い出産 第二子」~一人MC BATTLE の会~が“即興のみ”で行われる。

9件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:2348)

フリースタイルダンジョンではじめて
ハハノシキュウさんのバトルを見ました。
(この記事を見つけるのは遅くなりましたが)
とにかくインタビューからキャラが濃く
異質な雰囲気にとても興味を引かれ、
カッコ悪いのにかっこいいスタイルだなと
感じ、今ではすっかり世界観の虜です。
これからのバトルにも音源にも期待しています😃

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:2306)

時計を左回りにしたって所に輪入道リスペクトを感じました とてもいい記事だと思います これからも頑張っていただきたいです!

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:1617)

クルマと妖怪かけてるのは読み取れました!

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