東京に桜が咲いた3月28日(金)、この日は15歳〜18歳の高校生ラッパーたちがフリースタイルでしのぎを削り合う「高校生RAP選手権」の第5回目が新木場・STUDIO COASTで行われた。主催はBS スカパー!(BS241)で放送中の人気番組「BAZOOKA!!!」。
これまでに比しても明らかに出演者たちのレベルが高かった今回の大会を制したのは、神奈川県川崎市からやってきた18歳のラッパー・YZERR(ワイザー)さん。なんと彼は、前回大会の優勝者・T-Pablowさんと共に第1回大会にDIABLOというMCネームで出場しており、さらにはT-Pablowさんの双子の弟だった。
KAI-YOU編集部 HIP HOP課も当然ながら、今回の大会に潜入。決勝戦でライムガンマンの異名を持つRACKさんと死闘を繰り広げた直後のYZERRさんに報道陣が囲み取材を行った。
──優勝おめでとうございます。まず一言、今の思いをお聞かせいただけないでしょうか。
YZERR 僕は第1回大会に出場させてもらって、その時は1回戦負けという結果になってしまいました。そこで兄のT-Pablowが優勝して、嬉しいという気持ちの反面、悔しい思いもありました。
いろんな事情があって、第2回、第3回大会には出られず。第4回大会は、自分が出ることもよりも、みんなが求めているT-Pablowの出場をサポートしていました。その時も悔しくて、でも誰にも言えなかった。ただ、もう自分が第5回に優勝して、実力を証明するしかないと思っていました。だから今回優勝できて、本当に嬉しいです。
──オーディエンスの盛り上がりもかなりのものでした。緊張されませんでしたか?
YZERR 緊張はあまりしなくて──というのも、自分の中でも練習は納得いくまでできていて、もしここで負けたら、勝ちは一生ないんだなと思っていました。だからもう、すべてを出し切るつもりで、戦うというより楽しむような気持ちで挑みました。
──YZERRさんは前回王者のT-Pablowさんの双子の弟ということで、彼と比較されるようなdisをされる場面が多かったように思います。何か対策はされていたのでしょうか。
YZERR いえ、あんなにみんながみんな「顔が似てる」と言うとは思っていなかったです……そこまで似ていますかね?(笑)。やってる途中も言われすぎて「そんなに似てんのかな?」って思っちゃいました。
──……似ていますね……。
YZERR (笑)。実は今日の服装も、本当は僕もキャップを被ろうと思っていたんですけど、T-Pablowもキャップだったんで、自分は外してきたんですよ。だから絶対に似てないと思っていたので、言われてドキっとしちゃいました。今日は似ていることを再確認させていただきました(笑)。
──今日は切り返し(アンサー)が、相手を何度も何度も上回るようで、特に凄かったです。
YZERR 何度も行ったサイファーで染み付いた経験や言葉が自然と出てきて、バトルの最中は自分が何を言っているかもわからないような感覚でした。考えてラインを吐いているような感じではありませんでしたね。
──自分の対戦以外で印象に残った試合はありますか?
YZERR ステージ裏にいるとあまり聞こえないんですよね。それと自分のことに集中していたこともあって、他の人の試合が耳に入らないくらい、自分の世界に入り込んでいました。 ──1回戦でDKさん、2回戦でかしわさん、準決勝でRy-laxさん、決勝戦でRACKさんと4試合されていたわけですが、中でも手強かった相手はいましたか?
YZERR みんなそれぞれ強さを持っていると思います──例えば、RACKくんの場合は自分とタイプが似ている。韻を吐き出す、というか。
かしわくんに対しては、異次元というか、わからなくて(笑)。どう対策しようかとずっと考えていたんですけど、実際に戦ってみるとすんなりと言葉が出てきた。延長戦にももつれ込んだんですが、かしわくんとのバトルは楽しくて、一番達成感がありましたね。
──どんな練習をすれば、そんなに無心にバトルに挑めるレベルになるのでしょうか?
YZERR 自分の周りにはラッパーがたくさんいて、友達もみんなラッパーというような環境なんです。だからどんどん新しく人が加わってきて、対戦相手が増えてくるんです。
だから練習では1対3のフリースタイルなんかをしていましたね。自分に対するディスを複数人相手に返したりしていました。これは「練習」という感覚より、もはや「生活習慣」のようになっていて何時間やったかわからない。だからこそ良かったのかもしれません。 ──第5回大会に出場する決意をされてから、兄のT-Pablowさんとは練習されましたか?
YZERR 第5回大会に向けてからは、兄弟では1回もしていないんですよね。今回は自分が行くしかないなと思っていて、勝たしてもらいました。
──最後に「高校生RAP選手権」は本当にすばらしい大会だと思うんですが、大会全体についてはどう見られていますか?
YZERR やっぱり「高校生RAP選手権」は、若いラッパーたちが活躍して、近道をできる唯一の場所だと思います。逆に言えば、もしも1回戦で負けて、そのままで終わってしまえば、ラッパーとしての人生も一生舐められて、負け犬というレッテルを貼られ続ける。やるかやられるかの2択しかないと思ってます。
だからこそ全力を尽くして、勝ったときの達成感と、その先に続く何かを得られんだと思う。「高校生RAP選手権」は本当に良い企画だと思います。だからもっともっと続けられるように、若い子たちはエントリーをして、挑戦して欲しいです。
日本語ラップの第一人者であるZeebraさんが立ち上げる新レーベルへの所属も決まっているYZERRさん。第1回大会での雪辱を晴らした圧巻のバイブスはオーディエンスにも強烈な印象を残した。今後のさらなる活躍に期待したい!
これまでに比しても明らかに出演者たちのレベルが高かった今回の大会を制したのは、神奈川県川崎市からやってきた18歳のラッパー・YZERR(ワイザー)さん。なんと彼は、前回大会の優勝者・T-Pablowさんと共に第1回大会にDIABLOというMCネームで出場しており、さらにはT-Pablowさんの双子の弟だった。
KAI-YOU編集部 HIP HOP課も当然ながら、今回の大会に潜入。決勝戦でライムガンマンの異名を持つRACKさんと死闘を繰り広げた直後のYZERRさんに報道陣が囲み取材を行った。
──優勝おめでとうございます。まず一言、今の思いをお聞かせいただけないでしょうか。
YZERR 僕は第1回大会に出場させてもらって、その時は1回戦負けという結果になってしまいました。そこで兄のT-Pablowが優勝して、嬉しいという気持ちの反面、悔しい思いもありました。
いろんな事情があって、第2回、第3回大会には出られず。第4回大会は、自分が出ることもよりも、みんなが求めているT-Pablowの出場をサポートしていました。その時も悔しくて、でも誰にも言えなかった。ただ、もう自分が第5回に優勝して、実力を証明するしかないと思っていました。だから今回優勝できて、本当に嬉しいです。
──オーディエンスの盛り上がりもかなりのものでした。緊張されませんでしたか?
YZERR 緊張はあまりしなくて──というのも、自分の中でも練習は納得いくまでできていて、もしここで負けたら、勝ちは一生ないんだなと思っていました。だからもう、すべてを出し切るつもりで、戦うというより楽しむような気持ちで挑みました。
──YZERRさんは前回王者のT-Pablowさんの双子の弟ということで、彼と比較されるようなdisをされる場面が多かったように思います。何か対策はされていたのでしょうか。
YZERR いえ、あんなにみんながみんな「顔が似てる」と言うとは思っていなかったです……そこまで似ていますかね?(笑)。やってる途中も言われすぎて「そんなに似てんのかな?」って思っちゃいました。
──……似ていますね……。
YZERR (笑)。実は今日の服装も、本当は僕もキャップを被ろうと思っていたんですけど、T-Pablowもキャップだったんで、自分は外してきたんですよ。だから絶対に似てないと思っていたので、言われてドキっとしちゃいました。今日は似ていることを再確認させていただきました(笑)。
──今日は切り返し(アンサー)が、相手を何度も何度も上回るようで、特に凄かったです。
YZERR 何度も行ったサイファーで染み付いた経験や言葉が自然と出てきて、バトルの最中は自分が何を言っているかもわからないような感覚でした。考えてラインを吐いているような感じではありませんでしたね。
──自分の対戦以外で印象に残った試合はありますか?
YZERR ステージ裏にいるとあまり聞こえないんですよね。それと自分のことに集中していたこともあって、他の人の試合が耳に入らないくらい、自分の世界に入り込んでいました。 ──1回戦でDKさん、2回戦でかしわさん、準決勝でRy-laxさん、決勝戦でRACKさんと4試合されていたわけですが、中でも手強かった相手はいましたか?
YZERR みんなそれぞれ強さを持っていると思います──例えば、RACKくんの場合は自分とタイプが似ている。韻を吐き出す、というか。
かしわくんに対しては、異次元というか、わからなくて(笑)。どう対策しようかとずっと考えていたんですけど、実際に戦ってみるとすんなりと言葉が出てきた。延長戦にももつれ込んだんですが、かしわくんとのバトルは楽しくて、一番達成感がありましたね。
──どんな練習をすれば、そんなに無心にバトルに挑めるレベルになるのでしょうか?
YZERR 自分の周りにはラッパーがたくさんいて、友達もみんなラッパーというような環境なんです。だからどんどん新しく人が加わってきて、対戦相手が増えてくるんです。
だから練習では1対3のフリースタイルなんかをしていましたね。自分に対するディスを複数人相手に返したりしていました。これは「練習」という感覚より、もはや「生活習慣」のようになっていて何時間やったかわからない。だからこそ良かったのかもしれません。 ──第5回大会に出場する決意をされてから、兄のT-Pablowさんとは練習されましたか?
YZERR 第5回大会に向けてからは、兄弟では1回もしていないんですよね。今回は自分が行くしかないなと思っていて、勝たしてもらいました。
──最後に「高校生RAP選手権」は本当にすばらしい大会だと思うんですが、大会全体についてはどう見られていますか?
YZERR やっぱり「高校生RAP選手権」は、若いラッパーたちが活躍して、近道をできる唯一の場所だと思います。逆に言えば、もしも1回戦で負けて、そのままで終わってしまえば、ラッパーとしての人生も一生舐められて、負け犬というレッテルを貼られ続ける。やるかやられるかの2択しかないと思ってます。
だからこそ全力を尽くして、勝ったときの達成感と、その先に続く何かを得られんだと思う。「高校生RAP選手権」は本当に良い企画だと思います。だからもっともっと続けられるように、若い子たちはエントリーをして、挑戦して欲しいです。
日本語ラップの第一人者であるZeebraさんが立ち上げる新レーベルへの所属も決まっているYZERRさん。第1回大会での雪辱を晴らした圧巻のバイブスはオーディエンスにも強烈な印象を残した。今後のさらなる活躍に期待したい!
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「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」で活躍したT-Pablow、GOMESS、HIYADAM、かしわ、EINSHTEINら若きラッパーたちのロングインタビューや大会のレポート、MC☆ニガリなど大会優勝直後の心境などを特集。 また「BAZOOKA!!! 第9回高校生RAP選手権」も取材!
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