スタンダードに努力を続けるお笑い芸人・作家の又吉直樹
又吉と綾部のお笑いコンビ・ピースのネタは、設定やキャラクター像は突飛であっても、笑いの取り方はスタンダードだと私は思う。しっかりした形のあるネタをする。けして荒くない。2010年の「キングオブコント」決勝で見せた、男爵と化け物のネタもそうだ。化け物を指揮するはずの男爵が、化け物のかわいいおねだりに負けてプリクラなどを撮ってしまうというものである。
化け物と男爵という組み合わせはかなり変わっているが、男爵が毎回おねだりに負けてしまうという形はきれいであり、とても見やすく、わかりやすい。
ピースは、そして又吉は、芸人としても作家としても、おそらく努力型なのだと思う。
『劇場』のストーリーも、純文学としてスタンダードなものである。そこに自らの目線や日常生活で見てきている風景(作品中の舞台のかなりの部分を占める下北沢に、又吉はよく訪れるそうだ)を取...
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