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ビョークが語るテクノロジーと人の関係性  VRイベント「Björk Digital」レポ
6月29日から7月18日まで、「Björk Digital ―音楽のVR・18日間の実験」なるイベントが日本科学未来館にて開催されています。

それに先駆け、6月28日には「Making of Bjork Digital 公開収録&トーク」と題し、同会場にて地球ディスプレイ「ジオ・コスモス」とのコラボレーションによるビョークのパフォーマンス、及びリアルタイムVR360度ストリーミング配信が行なわれました。

本記事は当日のレポートです。結論から言いますと、未来の人間の在り方、技術の在り方に対して、湿度高めな雨上がりの嫌な夜を吹き飛ばすほどにポジティブなイベントでした。

text:加藤広大 Photo:(C)Santiago Felipe

最新テクノロジーを駆使したビョークのパフォーマンス

BjorkDigital_Tokyo_PhotoCredit_Santiago_Felipe_05 イベントは2部構成。第1部はアルバム『Vulnicura』に収録の楽曲「Quicksand」を「ジオ・コスモス」をバックに生で歌いながら、映像表現の実験として、360度VR映像でライブストリーミング配信するというものでした。

当日のパフォーマンスについて、公式サイトにはこうあります。

・MITメディアラボのネリ・オックスマン教授と同MEDIATED MATTER GROUP制作のマスクを装着。
・ライゾマティクスリサーチの開発したAR/VR演出技術を使用しP.I.C.S の映像制作協力のもと、最新テクノロジーを駆使した演出のなか、ビョークがパフォーマンスを披露。 公式サイト「Björk Digital ―音楽のVR・18日間の実験」より一部引用

正直これだけ読んでも横文字が多すぎてわかりませんよね。つまりは「ヤバいマスクを装着したビョークがガチで歌った姿を、スゴい技術を駆使して世界中に配信する」ということです。

開演前、「ジオ・コスモス」が宇宙から見た地球を映し出す中、会場にはほぼ円形にカメラやライトが配置されています。現代の最先端技術の粋が詰まった機器だとしても、まるでストーンサークルのように思えてしまうのは、今からビョークが現れて一曲演るという一種の儀式がはじまる期待感によるものでしょう。

ビョークのVRライブに困惑する会場

BjorkDigital_Tokyo_PhotoCredit_Santiago_Felipe_02 照明がバチバチっと落とされ、ついにビョークが現れます。盛大な拍手で迎え入れられながら「ジオ・コスモス」の前、位置関係で言うならおそらく月の辺りに降り立った彼女。使い古された言い回しですが、祭事の前に神主が祝詞を読み上げるような、非常に荘厳な雰囲気でした。

ゆっくりと動くビョークの一挙手一投足に注目が集まります。キー合わせの音が鳴らされ、「Quicksand」のイントロがガツンと五臓に響き渡るやいなや、会場は一気にヒートアップ! とはならず、「あれ、なんだろうこれ」「なに? どうなってるの?」と、おそらく会場にいる全員が困惑していたはずです。 BjorkDigital_Tokyo_PhotoCredit_Santiago_Felipe_03 確かに、「ジオ・コスモス」に投影される映像は非常に美しく、ビョークの歌もこれまた素晴らしいのですが、トラウマになりそうなマスクを付けてカメラに向かって歌いながら、若干不自由そうに動くビョーク以外、我々には何も見えて来ないのです。

ただ、その抑圧された動きが曲と非常に合っていて、現場では不自由なビョークがAR/VR演出技術によって、映像の中で自由になるのだという演出ならば示唆的ですが、技術的な制約であるかもしれません。しかし、ビョークなら「すべてに意味があるんじゃないか」と思わせてくれるほどの存在感がある、象徴的な一幕でした。

VR世界ではどんな光景が広がっていたのか?

BjorkDigital_Tokyo_PhotoCredit_Santiago_Felipe_07 2回目の収録は機材を変更して再び「Quicksand」。人間慣れるもので、2回目はそこまで困惑した様子は見られず、心を落ち着けてビョークを堪能できました。

収録が終わってトークショーまでの幕間、ロビーに通された観客たちは、各々YouTubeで一時的に配信されていたパフォーマンスの映像を観て「答え合わせ」をすることになります。

じっくり見入っている人もいれば、皆と「うぉー! すげー!」と興奮している方々。360度映像ということで、スマホを持ちながら左へ右へくるくる回転しているお姉さんもいました。
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展示作品「Not Get VR」

現在は公開されていないのが非常に残念ですが、映像の中では、先程まで自分がいた空間が、曲のはじまりと共に別世界になり、「Quicksand」のごとく光の砂粒と化すビョーク。そして、360°ぐりぐり動く画面。

誤解を恐れずに言ってしまえば、最近の作品を含め、ほぼ新しいドラッグですよね。VR技術などにより、さらにその「効き目」が増していると感じます。今回、私たちは見事にテストパイロットにされてしまったわけです。

もちろん、身を持ち崩すようなドラッグではありませんし、要は使い方の問題です。もしかしたら、「VR技術で悟りが手軽に開けるようになるのもそう遠くはない」と思わせてくれるほどに、興味深い映像体験でした。 BjorkDigital_Tokyo_PhotoCredit_Santiago_Felipe_01
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