“みんなで狩らずに「火花きれいだ!」って盛り上がってました”
──モーションの話が出ましたが、デザイナーとしてヤスダさんが気になったポイントはありますか?ヤスダ いつもアシスタントといろいろ分析しているんですが、一番思うのは、毎回よくかぶらずに新しいメインモンスターをつくれるなと。しかも、これまでメインモンスターは1頭で、その1頭に主役的な要素を詰め込む必要があったじゃないですか。今回は4頭いることで、今まで1つにまとまっていた要素が、4頭それぞれにエッジが際立った形で表現されていると思いました。
例えば「ガムート」1頭だけだと主役感があまりないんですけど、4頭の中の1頭としてはキャラが立っているところとか、素晴らしいですね。
一瀬 まさに4頭の意味はそこにあると思っています。看板になるモンスターが1頭だと、ある程度決まりごとのようなものは固まってくるんです。「THE・男前」のモンスターにしなきゃ、とか。でも4頭だったら、より個性を突き詰められるかなと。もちろん、単体では奇抜な部分もありますが、4頭いるから、それぞれが際立つという。
あとは、「四天王」という言葉をつかいたかったというのもあったりします(笑)。 小嶋 「ガムート」は骨格も含めて完全新規のモンスターだったので、かかる手間暇を考えると、メインモンスター以外では難しい。かといって1頭で看板になるか悩ましい。4頭にすることではじめて、ジャンル違いのイケメンというか、それぞれの個性が表現できたんです。ヤスダさんとしては、どれが一番かっこいいと思いますか?
ヤスダ 男前という意味では、「ディノバルド」はシリーズの中でも上位だと思います。あの咆哮の“近寄るな感”はすごいですよ。
一瀬 「ディノバルド」をつくるときは、開発チームみんなで、刀鍛冶の動画ばっかり見ていました。刀を打つときに散る火花を研究していたんです。
ヤスダ 今回、全体的にエフェクトがこれまでよりもかっこいいですよね。アイテムを取るために鉱石を掘ったときにも火花が散るんですけど、それがきれいで。アシスタントと初めてマルチプレイしたときは、狩りにも行かずにみんなで「火花きれいだ!」って盛り上がってました(笑)。
一瀬 細かい部分もちゃんと見てくれていて、すごくうれしいです!
小嶋 フィールドでもいろいろなモンスターを見つけてほしいですね。倒せるわけではないですけど、古代林にオオサンショウウオだったり、色々な生き物を潜ませているので。
ヤスダ 探してみます!
モンハンで必ず右手に盾を、左手に剣を持たせる理由
ヤスダ モンハンは武器もかっこいいですね。個人的にはランスとチャージアックスがお気に入りなんです。背負ってる姿が画になるというのもあると思います。武器は大きいからこそロマンがあるというか、モンハンはいつも武器が重そうで、その重量感がいいんですよね。
一瀬 ハンターのアニメーションでも、重い武器を持っていたらそんなポーズは取れないとかは実際にはあるのですが、ファンタジーの世界の中でリアリティを求めた場合の重量感だとか、モノの存在感的なものは考えてつくられています。
ヤスダ ちょっと気になったんですけど、『MHX』に限らず、モンハンは、右手が盾で左手が剣ですよね。意外と気づいていない人が多いみたいで、プレイ中に「そういえばさ……」って話をすると、結構びっくりされるんです。これは右手(利き手)で攻撃を受け止めたほうが、守る力が強いからなんですか?
一瀬 その通りです。ハンターは命を大事にしているので、利き腕で守れるようにという設定ですね。
ヤスダ 防御が一番大事というのは、ハンターライフとしても説得力がありますね。 ──ちなみに、モンハンのデザインチームって、モンスターや武器、セクションが分かれているんですよね?
小嶋 そうですね、バラバラです。
ヤスダ え、バラバラなんですか!?
一瀬 モンスター、武器、防具、NPC、登場人物、背景といった感じで、デザインチームを分けています。モンスターが主軸になるので、それをデザインしたあとで、どういった武器や防具にしていくか、連携をとりながらデザインしています。
小嶋 人数的には武器・防具チームが一番多いですね。制作する数が違いますから。
一瀬 モンスターチームって、実は人数としては少ないんです。ただ、時間が一番かかる。特にメインモンスターの場合、1体仕上げるのに数カ月はかかります。モデリングしてゲームとして動かしてみて、またデザインも変えていきますが
小嶋 ファンタジーなんだけど、やっぱり土台にあるのは、「この世界にいたらこういう生態があるんじゃないか」というイメージなんですね。
1時間話すより仲良くなれるモンハンのマルチプレイ
──最後に、シリーズとして11年目を迎えたモンハンの魅力について、改めてお聞かせください。小嶋 一番は、大きな武器で、大きなモンスターを倒すという、アクションゲームとしての気持ちよさ。そして、ソロプレイでも十分楽しめるんですが、マルチプレイの楽しさはモンハンの強みだと思います。
1回クエストをクリアすると、1時間話すより仲良くなれる(笑)。協力して何かを達成するという醍醐味を味わってほしいですね。
ありがたいことに、この10年で、かつて教えてもらった経験のある人が、また別の初心者に教えるという輪が広がってきています。人と一緒にプレイする環境が整いつつあるのも、モンハンならではだと思いますね。
ヤスダ 自分のアシスタントの中にも、『MHX』から新たにモンハンを始めた人がいます。誘ってみたらめちゃくちゃハマって、誰よりも効率的に進めているという(笑)。 一瀬 ほんとにありがとうございます!
小嶋の言うとおり、コミュニケーションツールとしての側面は、いまや切っても切り離せないくらい浸透していると思います。そして、つくりこまれた世界観のなかで、ハンターライフを体験できる。自分でキャラクターメイクができて動かせる分、感情移入もしやすいんじゃないかと。
だからこそ、アクションはもちろん、それ以外の部分においても、1人のハンターとしての生活を満喫してほしいですね。
ヤスダ モンハンの魅力……難しいですね。自分の周りは、1回プレイしたらみんなハマるので、どう伝えていたのか、あまり覚えていないんです。だから、とりあえずやってみようという感じです。
『MHX』も、あまりに自分が楽しみにしすぎていて、それを周囲の人間に言ったりしていたら興味を持ってくれたみたいで、買ったという友人もいました。
小嶋 それぞれの思うモンハン像があって、それを楽しそうに話してもらえるだけで十分です。
プレイスタイルは人それぞれでいいんですよ。プレイの完成度をストイックに追求したり、ひたすら楽しく遊んだり、そういったことも含めて、みんなでワイワイできるゲーム性が、ここまで広がっているひとつの要因だと思います。
一瀬 今のモンハンは、すべての年齢層をターゲットにしています。とはいえ、すべてのニーズを1つの作品で満たすのは大変です。だからこそ『MHX』では、それぞれのユーザーさんにとって、何かしらフックになる要素を一つは入れたいと考えていました。
例えば「ニャンター」であれば、女性に「かわいい!」と言ってもらえればすごくうれしいです。学生の人が、狩技で「かっけー!」とテンション上がってくれたり、コアなユーザーさんには、“二つ名持ち”のモンスターという倒しがいのあるモンスターを用意していたり。
盛り込んだ新しい要素の中で、どれか1つでも共感してもらえたら、『MHX』をつくった価値はあるかなと。共感してくれたポイントを起点に、それぞれのコミュニケーションの場で、モンハンの輪が広がってくれたらいいですね。 ──将来的なモンハンについて具体的に考えていることはありますか?
小嶋 10周年を迎えることができて、すぐに次の10年先を見据えるかというと、そんなに簡単ではありません。でも、ゲームそのものが1年でつくれるものではないので、“5年後どうなっているか?”は常に考えていきたいと思います。
ヤスダ 個人的には『MHX』が本当に素晴らしいので、例えばナンバリングタイトルで狩猟スタイルがなくなったりすると、寂しくなるかもしれません。
小嶋 そこはまだまだわからない部分ですね。ただ、『ストリートファイター』でもナンバリングタイトルと派生シリーズがあるような、それぞれの面白さの中で、『MHX』も新たなモンハン像のひとつになっていけたらいいなと。
一瀬 また新しいタイトルが出たときに、仮に狩猟スタイルがなくなったとしても、新しい遊びが生まれるとも思います。狩猟スタイルを気に入ってくれるユーザーさんが多かったら、それはそれで、“MHXシリーズ”として、ですよね? 小嶋さん(笑)。
小嶋 それはそうだよ。明言はできませんが、がんばります!(笑)
ヤスダ 楽しみにしています!
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ヤスダスズヒト
漫画家・イラストレーター
漫画家・イラストレーター・デザイナー。アニメ化もされた『夜桜四重奏』を連載中。『デュラララ!!』シリーズのイラストやキャラクターデザインなど、代表作は多数。『モンハン』のシリーズ累計プレイ時間は3000時間以上。
小嶋慎太郎
『モンスターハンタークロス』プロデューサー
株式会社カプコンに所属。『モンハン』シリーズの企画を第一作から手がけてきた。
一瀬泰範
『モンスターハンタークロス』ディレクター
株式会社カプコンに所属。『モンスターハンターポータブル』シリーズのディレクターをつとめてきた。
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