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「GEISAI∞infinity」フランスの2人組ストリートアーティストZOER&VELVET インタビュー

「GEISAI∞infinity」フランスの2人組ストリートアーティストZOER&VELVET インタビュー

ZOER & VELVET

現代美術家の村上隆さんが率いるアートカンパニー・カイカイキキが推し進めるプロジェクト「GEISAI∞infinity」が新たな局面を迎えている。

「GEISAI∞infinity」は、世界中からグラフィティ/ストリートアーティストを招聘し、中野ブロードウェイ内のギャラリー・Hidari ZingaroやKaikai Zingaroで展覧会を行う連続企画だ。昨今、バンクシーさんをはじめ、現代美術の文脈においても、グラフィティライターは注目を集めているという。

今回は「GEISAI∞infinity」の企画としてははじめて、カイカイキキの本丸ともいえる麻布 Kaikai Kiki Galleryにて、展覧会「BLAS」が2015年8月7日(水)から2015年8月29日(金)にかけて行われることになった。

アーティストであるZOERさんとVELVETさんは、すでに2015年4月に中野ブロードウェイでの展覧会「L’ETAT LIMITE/極限状態」を終えており、今回は国内2回目の展覧会となり、カイカイキキの数ある展覧会の中でも最大規模の作品を展示するという。 KAI-YOU編集部では、展覧会準備中のKaikai Kiki Galleryに潜入。

本展覧会に名付けられている「BLAS」は、「blasphemy(神への不敬、冒涜)」という言葉から取られたものだという。

なぜ彼らは中野ブロードウェイからKaikai Kiki Galleryで再び展示を行うのか。作品制作真っ最中のZOERさんとVELVETさんのお二人にも話をうかがった。フランス人アーティストの二人が日本でアートを行うことは一体どんな意義があるのだろうか。

カイカイキキ史上でも最大規模の作品

──前回の中野ブロードウェイでの「GEISAI Infinity」の手応えはいかがでしたか?

ZOER 自分たちにとって、前回は日本で初めての展覧会でした。中野ブロードウェイは僕らから見ても唯一無二の場所で、そこでやれたのは本当に面白かった。フランスでは、もっと格式の高い場所にギャラリーがあるので、何もかも違いました。「オブジェクト」というものに対して、僕らは関心が強いから、中野ブロードウェイ内にたくさんのお店があるのも良かった。

VELVET 3つのスペースでやらせてもらったんだけど、それぞれが独自の空間を持っていて本当に面白かった。

──そこから間を空けずに2回目の展覧会の開催に踏み切られた理由はなんだったんでしょうか。しかも。カイカイキキギャラリー史上最大の作品制作に挑むことになった経緯は?

ZOER それは村上隆さんからオファーがあったから。村上さんは、グラフィティの大きな作品をKaikai kiki Galleryに思いっきり飾りたいと。それに僕たちも納得して、企画はすぐに進んでいった。今回の展示は、ギャラリーの全面をつかってペインティングを行うから、もう入場した瞬間に逃げ場がなくなるんだ。そこで新しい現実感というものを生み出したいと思っている。

今回の展示を提案されて、自分たちもスケジュールがいっぱいだったんだけど、その中でも自分たちのポテンシャルを最大限に発揮しているよ。時間はないけれども、一気に爆発させて、こんな感じになっているんだ。 ZOER 日本で展示をやらせてもらうのは、今回で二回目だけど、どっちも最高にヤバいテンションになってる(笑)。

前回の展示では一人ずつ、5枚のキャンバス作品を制作したんだ。5つのキャンバスにそれぞれの風景を盛り込んでるんだけど、全体を通すと1つの物語になるように構成した。今回の展示もそれと同じように、ランドスケープなんだけれども、大きな1つのストーリーが想起されるようにしている。

VELVET それに加えて、インスタレーションを僕たちは大切にしている。あんまり時間はなかったけれども、それを制作したかった。中野のZingaro Spaceでもインスタレーションを行ったけれど、新たな空間をつくって、自分たちの表現する新世界に観客を包み込みたいんだ。

終焉後の世界とアーティストの役割

──展覧会のタイトルにもなっている「終焉後の世界」というコンセプトはどのようにして決めたんですか?

ZOER 現代社会が抱える問題に移民──国を追われてでていく人たちがいる。何もなくなった状態で、次に違う場所に移ったら、まったく違う物事が待っているという局面がある。孤立した状態、そういった社会の問題は安全性や人間性、自己同一性の問題も発生してくる。さらにはニュース番組からは、常にイメージや情報を与えられ、いつもストレスに晒されているので、不安が絶えない。

VELVET そこにはパラドックスもあって、国を追われた人たちは静かに暮らそうとしているのに、そういうことをメディアは騒ぎ立てる。そういう問題もある。そういった問題点から出発して、自分たちはそれをアートとして描こうとした。

今回の絵に描かれている、例えば「島」であれば、それはスペシャルなものではなく、普遍的な島を描いている。ただたんにメタフォリカルな物語であったり、詩的なものであったりを盛り込んでいる。洗われたような、乾燥したようなものを盛り込んだ作品になっている。 ──なぜそれを日本で?

ZOER 村上さんと話したときに、僕らがアーティストとして、どのようにレベルアップするのか、作品を構築するためにどういった方法を取るのかという過程にすごく興味を持ってくれている。今回の作品のテーマは、現代社会の問題と終末なので、メディアの様に僕らは作品を作り上げている。当然分からない問題も多くあるけど、包括的に自分たちなりに問題を切り込んでいった事を絵にしていく、というのが僕らの今回の姿勢。また、自分自身のリアリティや体験を僕らは示しているんだけど、それはただたんにやっているだけで、自分たちがもっとしたいのは、自分たちの作品を見る人たちが「作品から何を受け取っているのか」ということ。

まず僕らは根幹的にアーティストが「描く」ということに興味を持ってる。自分たちはテーマがあって、それを描くだけ。それを観てお客さんが反応する。「この色はいいな」「この色はうざいな」「この世界いいな」「この世界は嫌だな」というのもある。しかし僕らはエレメントを構築したりコンビネーションさせることしかできない。

VELVET この作品をディストピアと考える人もいれば、ユートピアと考える人もいる。そのリアクションは人それぞれだし、どうリアクションしてくれてもかまわないと思っている。 ──海外でグラフィティのシーンはどのようになっていますか?

VELVET ヨーロッパではかなり栄えてきていて、ヤングスターは「bombing」という、いわゆるボム行為をたくさん行っている。常に進化、更新はされていて、実際にかなり多くの作家がいると思う。日本のストリートには詳しくないけど、ボムとかがどのように行われているのかがわからないけど、強いモチベーションは持っているんじゃないかな?

ZOER 日本のグラフィティについてフォーカスして話すことはできないけど、アジアやいろんな国々を回ったとき、どこの国にいってもアメリカっぽい。タグやサインもなんかアメリカっぽいんだよ。そういう文化なんだよね。

VELVET 日本のグラフィティライターでは、QPに興味がある。

ZOER パリやフランスでは、いろんなグラフィティライターがでてきてるけど、パリっぽいグラフィティとトラディショナルなグラフィティは真っ二つに分かれている。新しいものをつくろうと思っても、結局は伝統的なものが「強い」作品になってしまう。同じことを繰り返す人もいるし、新しいことをやろうとトライする人もいる。まあ、いま僕たちがやってることはこれまでのものとは違うことだよ(笑)。むかしはトラディショナルだったけど、いまのやり方は全然違う。もちろん、若いからエネルギッシュにやることもあれば、一方でアカデミックにペイントしていくこともあるんだ。

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イベント情報

ZOER & VELVET展覧会「BLAS」

会期
2015年8月7日 – 2015年8月29日
開廊時間
11:00 – 19:00
閉廊日
日曜・月曜
レセプション
2015年8月7日(金)18:00〜20:00
会場
Kaikai Kiki Gallery

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