Paramount Skydance Corporation(パラマウント・スカイダンス/以下パラマウント)が、Netflixによる買収で同意したWarner Bros. Discovery(ワーナー・ブラザース・ディスカバリー/以下WBD)に対して、敵対的買収を提案した。
12月5日、Netflixが「ハリー・ポッター」シリーズなどの権利を有するWBDの映画/テレビ/ストリーミング部門である「Warner Bros.」を720億ドル(約11兆円)で買収すると発表。
対してパラマウントは12月8日、1株当たり30ドル、総額約1084億ドル(約16兆9000億円)で、なおかつWBD全体を買収する提案を行った。
この記事では、Netflixによる買収との違いについて、金額面や反トラスト法(独占禁止法)といった側面から解説する。
Netflixは“一部”、パラマウントは“全体” 買収する事業の範囲
まず、Netflixとパラマウントの提案における大きな違いが「買収する事業の範囲が異なる」という点だ。
WBDは2025年6月に会社を分割し、動画配信や映画関連の事業を担当する会社「Warner Bros.」と、ニュース大手・CNNを含むケーブルテレビ事業などを担当する会社「Discovery Global」を設立する計画を発表した。
Netflixの買収に関する取り引きでは、動画配信および映画関連事業の「Warner Bros.」のみが対象。WBDによる分社化が完了した後、2026年第3四半期に完了する見込みとなっていた。
そんな中、パラマウントがケーブルテレビ事業の「Discovery Global」も対象に含めて、WBD全体を買収する提案を行った格好となっている。
パラマウントは買収価格でNetflixより優れていると主張
パラマウントは12月8日に公開したプレスリリースで、「買収する事業の範囲」に加えて、以下の2点の要素を挙げながら、同社による買収の妥当性を説明している。
1点目は、買収の価格だ。パラマウントは、Netflixの買収(現金23.25ドルと株式4.50ドルを組み合わせた提案)について、「変動性が高く複雑な構造である」と主張。
対して、パラマウントは「1株当たり30ドルの現金による買収」として、約1084億ドルでの買収を提案。これは、2025年9月10日時点のワーナー株価に対し139%の上乗せした水準であり、パラマウントの方がWBDの企業価値を高く評価しているという。
加えて、パラマウントCEOのデヴィッド・エリソンさんは「より優れた価値と、より確実かつ迅速な買収完了への道筋を提供します」とコメントしている(外部リンク)。
NetflixのWBD買収を巡る、独占禁止法違反への懸念
2点目は、Netflixによる買収を巡るリスクについてだ。
実際、Netflixの買収を巡っては、成立した場合に世界のサブスク型ビデオオンデマンド(SVOD)市場におけるシェアが43%に達してしまい、反トラスト法(独占禁止法)違反に該当してしまうのではないかと懸念の声が上がっている。
アメリカ野党民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員はXで、「視聴者は料金値上げを強いられ、視聴内容や方法の選択肢が狭まり、アメリカの労働者が危険にさらされる可能性がある」と、NetflixのWBD買収を批判。
加えて「ドナルド・トランプ政権下では、独占禁止法の審査プロセスも、政治的な便宜や汚職の温床となっている」と指摘した。
反トラスト法小委員会委員長をつとめる共和党のマイク・リー議員も「ここには多くの独占禁止法上の懸念材料があり、公聴会はほぼ確実だ」とX上で発言(外部リンク)。NetflixのWBD買収に対して、規制当局の承認取得が難航するのは確実とみている。
パラマウントは買収の妥当性を強調 配信ビジネスでも対抗できる
こうした懸念に対してパラマウントは、自社による買収成立が業界の競争を活発化し、消費者の利益に資すると説明。
同時に、クリエイターと消費者の選択肢を広げる存在になると主張し、迅速な規制当局の承認取得に高い自信を見せている。
さらに、パラマウントによるWBD買収が成立した暁には、世界規模の映像スタジオの巨大連合が誕生するとコメント。
そこで得られるメリットとして、映画館向け作品の重視を継続を挙げている。この主張は、Netflixの買収では、劇場公開を軽視するのではないかという懸念があるためだろう。
加えて、パラマウントの「Paramount+」とWBDの「HBO Max」の統合によって、NetflixやAmazon、ディズニーに配信ビジネスでも対抗できるなど、WBD買収のストロングポイントを列挙している。
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