多様な人々を繋ぐ、カードゲームの魅力に気づかされた

──富田さんはいかがでしょうか?

富田 私はタカラトミーに新卒で入社して、16年目になります。最初は経理を経験したり、広報の部門にいたんですよ。

でも昔からカードゲームが好きすぎて「カードゲームの部署に配属してください!」と頭を下げて異動させてもらったんです。それからカードゲーム事業に携わって、もう6年ほどが経ちました。

子供の頃はいろいろなTCGを遊んでいたんですが、高校・大学時代はカードゲームから離れてしまいました。

タカラトミー・富田逸人さん 好きなディズニー作品は『アラジン』。好きなキャラクターは「ジーニー」!

──高校や大学でTCGから一度離れて社会人になって戻ってくるパターン、あるあるですね!

富田 私もそのクチでした(笑)。

入社した頃に会社の先輩たちと再びカードゲームで遊びはじめてみたところ……再びTCGの世界にのめり込んでしまいました。

──カードゲームとの再会が、キャリアの転機になったわけですね。

富田 そうですね。会社だけじゃなくて、プライベートでもTCGにどんどん熱中していって。結果的には社内でカードゲームを扱うTCG事業部への異動を希望するに至りました(笑)。

いま振り返ると、趣味が仕事につながった幸運なケースだったと思います。

──本当に大好きなんですね。富田さんをそこまでカードゲームに惹きつける魅力はどんなところにあるのでしょうか?

富田 私自身は和田みたいな競技志向は薄くて──でも店舗や個人が開催するような草の根大会が大好きなんですよ。純粋に対戦を楽しむのが好きなタイプのTCGプレイヤーなんです。

印象的な思い出として、新婚旅行でイタリアを訪れた際、現地のカードショップに立ち寄ったんです。言葉は全然通じなかったけど、カードを見せてほしいとジェスチャーで伝えると、とても嬉しそうに見せてくれて。その時、カードゲームには言葉の壁を超えてコミュニケーションができるという、特別な魅力があることを実感しました。

──人と人との繋がりは、『ロルカナ』にとっても重要な要素のひとつでもありますね。

富田 はい。『ディズニーロルカナ』には、人々をつなぐコミュニケーションツールとしての魅力があります。

ディズニーというIPの魅力を活かして、ファミリーや女性のプレイヤーにも楽しんでもらえると考えています。

性別や年齢を問わず、幅広い方々に遊んでいただけるように展開することが私たちのミッションです。カードゲームが一般的な娯楽として認知されつつあるいま、それは十分に実現可能であると確信しています。

『ロルカナ』をタカラトミーが手がける理由と目指すもの

──『ロルカナ』のゲーム開発はディズニー社とともに、ドイツに本社を置く欧州のアナログゲーム販売大手であるラベンスバーガー社が手がけています。日本向けの「ローカライズ」と「ディストリビューション」(販売・流通)について、どのような経緯でタカラトミーが協業することになったのでしょうか?

富田 ラベンスバーガーとタカラトミー、両社の企業文化に親和性があったことと、タカラトミーの日本市場でのカードゲーム展開の実績が大きかったと思います。

タカラトミーは100周年、ラベンスバーガー社は140年を超える歴史がある。どちらも長年にわたって子どもたちの成長に寄り添うおもちゃをつくり続けてきました。

──玩具業界の老舗が手を取り合うことで生まれる科学反応が楽しみです。

富田 日本はこれまでにも幾つものTCGタイトルが遊ばれてきた歴史がありますし、今では“遊び”を越えて“文化”としても定着していますよね。

実際、日本のTCG市場は世界でも上位の規模です。ラベンスバーガー社としても、たしかなノウハウを持つパートナーを必要としていたのだと思います。

──タカラトミーとしては『ロルカナ』というタイトルはどのような位置付けにある事業なのでしょうか?

富田 非常に重要で、力を入れています。タカラトミーにとっては、TCGのビジネスが中期経営戦略において「年齢軸の拡大」を掲げていて、『ロルカナ』はそれを実現するための一大プロジェクトと考えています。

子どもはもちろん、大人たちにも「アソビ」を提供していくこと──『ロルカナ』は、まさにそうした戦略を実現するための重要なタイトルなんです。

和田 カードゲームの面白さや成功は、プロダクトの完成度や、それを広めるのと同等かそれ以上に“運営”がすごく重要なんです。

──たしかに、ゲームが面白いのは前提で、それ以上に大会や遊びの場がしっかりと提供されたり、ルーリングの整備などがすごく重要そうな印象です。

和田 そうですね。TCG業界ではそういった取り組みを「組織化プレイ(Organized Play)」と呼んでいたりします。

なので、日本のプレイヤーの皆さんにどのような体験を提供するのか、その設計にも力を入れています。ラベンスバーガー社とは毎日のようにやり取りを重ねていて──共に“体験”をつくり上げているという実感があります。

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