国内最大級の企業情報データベースを保有する帝国データバンクが5月6日、芸能プロダクションの倒産発生状況に関する調査・分析結果を公開した。
「負債1000万円以上の法的整理による倒産」を対象にした調査によると、2023年における芸能プロダクションの倒産は、過去5年間で最多を記録。2024年に入っても苦境が続いていると分析している。
VRアイドルグループ・えのぐ所属の事務所などが倒産
帝国データバンクが調査・分析を行ったのは、芸能人やタレントのマネジメントなどを行う芸能プロダクションの、「負債1000万円以上の法的整理による倒産」について。
2023年の倒産件数は合計12件で2022年(4件)の3倍に増加。過去5年間では最多であり、2010年以降では2018年の14件、2016年の13件に次ぐ数字だ。
具体例を挙げると、VRアイドルグループ・えのぐなどが所属していた岩本町芸能社が、2024年3月をもっての廃業を発表。大東駿介さんらが所属していたA.L.C.Atlantisなど有名事務所も破産している。
なお、VRアイドルグループ・えのぐは事務所の廃業に伴い、2023年12月31日をもって退所・独立。新たに設立した合同会社(後にえのぐ合同会社と命名)にグループのすべての権利を移して現在も活動中だ。
また、大東駿介さんも磯村勇斗さんらが所属するBLUE LABELに移籍。コロナ禍で芸能活動が停滞していたところに、代表の体調不良が重なって倒産となったA.L.C.Atlantisだが、かつての所属タレントの多くは新たな事務所で活動している。
壇蜜、吉岡里帆の所属事務所も2024年に破産・休業
2024年に入っても芸能プロダクションの苦境は続き、3月にはタレントの壇蜜さんや吉木りささんらが所属するフィットが破産。
4月には女優の吉岡里帆さんらが所属するA-Team(エー・チーム)が休業を発表(吉岡里帆さんはフラームへ移籍)するなど、芸能プロダクションの行き詰まりが表面化している。
近年はテレビ局の制作費削減に伴う出演料の減少や、番組の整理・終了といった状況の変化が大きい。さらに、SNSの台頭でYouTuberやインフルエンサーとして活動する個人も増え、芸能プロダクションが従来得意としてきた新人タレントの発掘も難しくなっている。
帝国データバンクによれば、こうした逆風の中で、所属タレントの独立、創業者の死去・体調不良といった社内事情が加わり、倒産や廃業に至る芸能プロダクションが目立っているという。
一方で、芸能プロダクションはファンクラブの運営や出演番組との交渉など、多忙なタレントの活動をマネジメントするだけにとどまらず、トラブル対応等の役目もあり、その存在意義は大きい。
プロダクションに所属するメリットをタレントにどうアピールできるか、今あらためて芸能プロ各社の手腕が問われているというのが、帝国データバンクの見立てだ。
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