“カラオケで歌うため”だった音楽、コーネリアスで生じた価値の転換
──言葉へのこだわりは幼少期からということですが、創作において「この人から影響を受けた」と感じる人はいるんでしょうか?
諭吉佳作/men 楽曲づくりという意味では、中学2年生のときに出会ったコーネリアス(Cornelius)です。
元々カラオケが好きで、第一に自分が歌いたいっていう欲求があって、歌うために曲を聴く・探すっていうのが、音楽に触れる目的の5割くらいを占めてたんです。今思うと自分でもすごく生意気だと思いますけど。
でも、コーネリアスを聴いたとき、「この曲は聴くだけでいい」「自分が歌わなくても幸せになれる」と、それまでの意識が完全に覆ったんです。当時、「あなたがいるなら(If You're Here)」のMVを観て「うわぁぁぁ!」と衝撃を受けて、アルバム『Mellow Waves』を予約しました。
──ちなみに最近カラオケには?
諭吉佳作/men 諭吉佳作/menとしての活動が始まってからは、あまり行けてないですね。
──そういう意味では、楽曲制作の中での息抜きやひと休みはどのように過ごしているんでしょうか?
諭吉佳作/men 今実家に住んでいるんですが、ノートPC単体での楽曲制作が多いこともあって、作業をリビングで行うこともあるんです。だから、周りに家族もいるし、テレビもついてるし、気が逸れるきっかけもいっぱいあって。
なので、はっきりとオンオフが分かれているわけではなくて、合間合間に家族と一緒にテレビを観たり、その辺に置いてある漫画を読んだりしちゃいます。
──「もう完全に手が動かない!」となったときはどうしますか?
諭吉佳作/men うーん……散歩ですね。身体を動かすのは一番リフレッシュになると思います。
でも、鳥の鳴き声が聞こえると録音しておけばいつか曲に使えるかも……とか、空が綺麗だと、撮影しておいたら後々映像に使えるかも......と結局は音楽活動に結びついてきちゃうんですけど(笑)。
そもそも趣味も仕事も音楽なので、あまりオンとオフの境目がないんですよね。
「ぶっ飛ぶような感覚」を重視してつくった作業用BGM
──今回は、“ひと休みをアップデートするブリージングデバイス”「ston」とのコラボ曲として作業用BGMを制作されました。なかなか例のない案件だったと思いますが、最初にオファーを受けたとき、どのように感じられましたか?
諭吉佳作/men 商品自体が珍しい上に、それを使っているときに聞く楽曲という依頼が面白いなと思いました。「ston」をいただいたので、実際に使用しながら曲をつくっていきました。
「ston」を吸っている自分、かっこいいな……とか思いながら(笑)。でも、純粋に美味しくて驚きました。作業を頑張るために限らず、シンプルに味が好きでエナジードリンクをたまに飲むんですけど、それと同じ側面も感じます。
──なるほど(笑)。かっこいいご自身を想像しながら、どのように楽曲をつくっていかれたのでしょうか?
諭吉佳作/men 作業用という意味では、所々で細かくポイントとなる音やリズムをつくるよりは、全体の流れ、空間のような楽曲をイメージしていました。
その上で、考えすぎて行き詰まったときに、音楽の疾走感によって余計な雑念をクリアにするような役目を担えるかもしれないとも考えたんです。テンションやトーンを落ち着かせる方法もありますが、この曲では、別の場所にぶっ飛ぶような方法です。
自分自身、そういう意識でつくっていたからか、制作時はあまり悩むこともなかったです。制作中からイメージしていたスピード感に乗って、どんどん考えがクリアになっていって曲が出来上がっていきました。
──制作された楽曲は、周憂さんによるアニメーションが付き、MVとなりました。ご覧になった印象はいかがですか?
諭吉佳作/men 純粋に嬉しいですね。手描きのアニメーションもとても素敵です。
作業用BGMのMVということで、最終的にどんな映像になるのか予想できなかったんですけど、だからこそ自分は音楽づくりに徹して、MVは周憂さんから届くまで何も見ないようにしていました。
諭吉佳作/men 結果的に美しい映像にしてくださって、とても驚きました。
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