そんな書き出しで始まったKAI-YOU Premiumによるむつーさんへのインタビューが公開されたのが2021年4月。当時から既にTRPGブームを牽引する名シナリオの一角として名を馳せていたむつーさんの代表作『傀逅』が、この夏、1つの結実を迎えた。 様々な人気コンテンツが入れ代わり立ち代わりポップアップショップや展覧会を開催する文化の発信地・渋谷パルコ。そんな場所で、『クトゥルフ神話TRPG』の2次創作シナリオである『傀逅』が、単独で展覧会を行う。
アナログゲームから始まり、配信コンテンツとの融合や舞台化・映像化など、日々新たな表現方法が模索されてきたTRPGにおいて、この展覧会はその歩みを一歩進めるものとなるだろう。
今回は、作者であるむつーさんへのインタビューとともに、「傀逅―渋谷、邂逅。」内覧会の内容をレポートする。
【写真11枚】「傀逅―渋谷、邂逅。」会場の様子(ネタバレ有り)目次
名作バディシナリオとして知られる『傀逅』
TRPGとは、ゲームマスター(『クトゥルフ神話TRPG』ではキーパーと呼ぶ)による進行のもと、プレイヤーたちが独自に制作したキャラクターを演じながら、用意されたシナリオを体験するという遊び。『傀逅』は、プレイヤー2人がバディを組み、とある街に蠢く陰謀を追うというシナリオだ。
街に生きる人々の物語やバディの関係性が映えるようなイベント、そしてゲーム実況者として活動してきたむつーさんの嗜好がふんだんに盛り込まれており、数々のドラマを生み出してきた。
恩返しであり、新たなファンにも楽しんでほしい
「『傀逅』を好きでいてくれる人が、初見の人を誘ってこれるようなイベントにしたい」2023年8月3日(木)から8月21日(月)にかけて開催されている「傀逅―渋谷、邂逅。」では、展示スペースの中に名場面や演出を再現。
展示には「2019年のリリース以来、4年という長期間にわたって『傀逅』という物語を支えてくれたファンへの恩返しがしたい」「それだけではなく、この展覧会から『傀逅』に興味を持ってくれる人にとってもいいものにしたい」という思いが込められているという。
実際会場には、キャラクターの等身大パネルや印象的な場面を再現したエリア、音声による演出など、来場者がTRPGと同じく物語の登場人物の視点で楽しめるような工夫が凝らされている。 そして個々の展示は、作者であるむつーさんの監修により、再現するシーンのチョイスや、展示物に紛れた「あっこれシナリオで見たやつだ!」という小ネタのセンスも抜群に仕上がっている。
特に、むつーさんが物語の世界への没入体験としてこだわったというAR展示では「スマホによって、見てはいけないものを撮影してしまう」というシナリオと同じ体験が楽しめるので必見だ。
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