livetuneが超わかる! インタビュー「ドン・キホーテにCDを置かれたら最強」

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本人による『と』全曲紹介!

ファンタジスタ歌磨呂さんが手がける『と』ジャケット 左が初回盤、右が通常盤

1.ファンタジア / livetune adding 原田郁子(from クラムボン)

原田さんの声とピアノで始まるアルバムにしたいという気持ちは最初からありました。以前、DJ のデヴィッド・ゲッタのプレイをベルギーで観たときに、彼は「Together」という言葉をよく使っていて。「いろんな人種や宗教があるけど、僕らはいまここではひとつだ」という確かなリアリティがあって、思い出深く残っています。

原田さんの声には、エレクトロダンスミュージック(EDM)の、みんなで上がっていくような世界観のような、これから素敵なものが始まるんだっていうワクワク感と通じるものがあるので、EDMを原田さんが歌うっていうのはすごく自然なことだなと思ったです。こうして、EDM+クラムボン+livetuneが混ざった特別な曲ができました。

2. Take Your Way / livetune adding Fukase(from SEKAI NO OWARI)

この曲をつくろうと思っていなかったら、僕はこんなに友だちが増えていなかった。Fukaseくんっていうのは、本当にたくさんの人が周りにいて、セカオワハウスという、メンバーが一緒に住んでいる家があって。そこで出会った素敵な人がたくさんいて、Fukaseくんに世界を広げてもらったから感謝しているんです。

Fukaseくんとはミュージシャン仲間の中で一番しゃべるんですけど、音楽的部分っていうのは自分で成長するしかないですが、音楽に対するスタンスやメンタリティについてはよく話します。鬼龍院くんもそうですが、オリコン1位の言うことはやっぱり違う。それは、部屋で曲をつくっているだけでは勉強できない部分ですよね。

3. Dear You / livetune adding YUKA(from moumoon)

パリでイベントが一緒になってmoumoonの2人とご飯を食べて、「一緒に何かできたらいいよね」という話がきっかけで実現した曲です。僕はコミュ障なので、急にご一緒するようなシチュエーションでは緊張するんですけど、今回はそういう会話がきっかけになっているので、人と話をするのはすごく重要だなと思った。

この前のROCK IN JAPAN FESTIVALでも僕と同じ出演日だったので見に行ったんですけど、YUKAさんの声に、森の昼下がりが似合っていたんですね。だからこそ、今回夜っぽいラブソングをやってほしくて、YUKAさんとlivetuneの50/50を探していきました。あと、僕はあまり歌詞に英語を使わないんですけど、YUKAさんの英語の発音が好きで、取り入れたので注目して欲しいですね。

4. FLAT / livetune adding Yuuki Ozaki(from Galileo Galilei)

実現したのは、雄貴くんの弟の和樹くんが僕の曲を好きだというところも大きいのかもしれません。彼らもメンバーで北海道に住んでいるんですが、遠いので1度しか遊びに行けていなくて。その時は、一緒にゲームやろう! ということで行ったんですが、シチューを食べながらCSで海外ドラマを見ながら話した思い出があります。

彼は今回のゲストのなかでは2番目ぐらいに若いんですけど、確固たるサウンドというか芯があって、話をしていてもすごく面白い。僕はこれまで4つ打ちの楽曲を制作してきましたけど、「FLAT」でギターを取り入れたりビートをいじったり、サウンドをいろいろ変えるきっかけにもなりました。

5. 千の翼 -Alternative Mix- / livetune adding Takuro Sugawara(from 9mm Parabellum Bullet)

これはやりたい放題やりましたね! アニメ「リプライ ハマトラ」のOPですけど、制作サイドから2期でガラッとイメージを変えるべくロックサウンドにしたいとオーダーがあって。僕はロックも好きだったので、「それならどうだ!」と思って出来上がった曲です。

ボーカルの卓郎さんって語尾に「さ」を全体的に使っている気がするんですよね。語尾っていうのはその人を表すのにすごく重要な要素で、今回も「卓郎さんだったら」ということを意識して歌詞を書いています。僕がベース・メロディ・リフを考えてギターの滝さんによりカッコよくアレンジしてもらいました。livetune=キラキラだと思ってる人が聞いたら、すごくインパクトがあるはず。

6. Transfer / livetune adding 中島 愛

僕の初シングル。ここからすべてが始まったんです。まめぐ(中島 愛さんの愛称)はボーカリストとして天才だと思っていて、大ファンだったんです。ハワイのイベントを秋 赤音ちゃんと3人で巡ったという共通の思い出があるのもすごくよくて。空港についたらハマーのリムジンが置いてあって、みんなでビビって(笑)。

これが最初にできたというのはいまでも感謝しています。MVも話題になったし、僕自身、歌磨呂さんの作品のなかでも特に気に入っていますね。MVに関してはお客さん目線として楽しんでいるところがあるので、オーダーを何も出さないですし、上がってきたものを見て「スゲー!最高ッス!」っていう仕事だったりします(笑)。

7. オール・オーヴァー / livetune adding やのあんな

「オール・オーヴァー」というより、やのあんなですよね。アイツはなんなんですかね(笑)! 曲の思い出もあるんですけど、やのあんなというパーティーモンスターがおもしろすぎて。音楽をやりたいがためにモデルになったという、モデルを踏み台にとらえている異色な人間。発想も肉食系なんですよ。

ただ、レコーディングとかで緊張しないのが彼女のいいところで、堂々としているっていうのは重要なんですよね。まだまだなところもあるんですけど、ポテンシャルがすごいし、音楽に対しても真剣に向かい合うようになってきた。表現力もついてきて、これからが楽しみなアーティストの一人です。

8. High And Loud / livetune adding 三森すずこ

学校法人・専門学校 HAL (東京・大阪・名古屋)CMソングに使われた曲で、声優さんでやりたいというオーダーがありました。三森さんは、すごく前向きな声を持っていて学生を勇気づける曲にはピッタリなので、僕からお願いをしました。

声優さんのなかでも三森さんはボーカリストとしての表現力がすごくて、ミュージカル出身ということもあると思うんですけど、歌詞の読み込みがとにかく深くて。僕よりもバックストーリーを考えて、ひとつひとつ意味を咀嚼しながら歌ではこういう表現がしたいと言ってくれるんです。だから、レコーディングも早かったですね。1回目を録った時点でいいかなと思うぐらい。録る立場なのにライブに行っているみたいで、歌って素敵だなって改めて思いましたね。

9. Sign / livetune adding Yun*chi

Yun*chiとは一番付き合いが長くて、最初に僕をクラブ界隈に連れ回していろんな人を紹介してくれた友達なんです。僕にとっては音楽の好きなクラブにいる女の子だったのが、いつの間にかアーティストになっちゃって! だから、感慨深いものがありますね。

声もすごく独特で、CHARAさんの系譜にいるけど、もっとアタック感があるのでまた違うんですよね。これで彼女に書いた曲は5曲になりますが、一番アップテンポで明るい曲になっています。「Tell Your World」を書いたあとだったので、あのアップテンポや軽やかさを受け継いでいると思います。

10. 大好きなヒトだカラ / livetune adding 鬼龍院 翔(from ゴールデンボンバー)

音楽の繋がりではなく、ラジオの出演がきっかけで友達になったのが鬼龍院くん。彼は邦楽、僕は洋楽ばかりを聞いてきた人間で、音楽的なところだけで見れば絶対交わらなかったと思いますが、気があってご飯を食べにいくようになったんです。

この曲は、『キン肉マン』でいう「僕の考えた最強の超人」じゃないですけど、「僕の考えたメタJ-POP」ですよ! 鬼龍院くんは歌謡というのが根底にあるので、彼にしかできないことはなにかということを考えて「壮大なバラードでオチのある歌を」と(笑)。「ファンタジア」から「大好きなヒトだカラ」なんて異色ですよね(笑)。J-POP界のベテランの方たちに歌詞や音楽的な部分で協力してもらって形になった、アルバムを象徴するチャレンジングな1曲だからこそ勉強にもなりました。これこそ、ドン・キホーテに置いてほしいなって曲ですね。

11. Dreaming Shout / livetune adding NIRGILIS

(全員脱退について)残念です、非常に! 4年ぐらい付き合いがあって、一緒に何度もイベントにも出てる。NIRGILISの曲はつくったことがなかったけど、今回求められたのは、「SHINY SHINY」のリミックスをやらせてもらったことの続きだと思っています。それをやるためには僕だけではダメで、アッチュさんと「2人メロディコンテスト」みたいなのを開いたぐらいです。

最初に僕がピアノ・ベース・ドラムの簡単なコードを投げて、そこからお互い持ち寄って、メロディ・アレンジ・作詞を半分ずつ、サビなんかは交代交代で詞を書いているような感じで。時間もないのによくやりましたよね。これも、元々知っている仲だからできたことだし、一番共作したことが活きている曲になりました。

12. Each and All / livetune adding Rin Oikawa(from Q;indivi)

テレビで及川さんの声を聞かない日ってないんじゃないかなと思いくらい、CMも多いしTV番組のウエディングコーナーとかでは絶対声が流れてくる人ですね。日本でもトップクラスのウィスパーボイスだし、名前でピンとこない人でも曲を聞いたら1発で「この人だ!」とわかってもらえると思う。

及川さんとはQ;indivi周りで交流があって、こうして何年も経って「一緒にやりたいです」と伝える機会があって嬉しかったです。だから、今回のアルバムで及川リンという存在を覚えていってほしいんです、及川リンっていうすごいボーカルを。

Take Your Way -livetune Remix- / livetune adding Fukase(from SEKAI NO OWARI)

ここからはボーナストラックです。CDの尺が余っていると、なんか入れたい病が発症して(笑)。リミックスは音源化しないんですか? という声はよくあったので、これを機会に収録させてもらいました。去年のROCK IN JAPAN FESTIVALから使ってきたリミックスですが、収録にあたってリファインしてあります。昔のとは違う形になっちゃいましたけど、いまの僕の雰囲気はこれだなというリミックスになっています。

ray -livetune cover- (Presented by BUMP OF CHICKEN) / livetune adding Hatsune Miku

今年一番の思い出は、昔から本ッ当に大好きなバンプに会えたことかもしれない。「ray」は藤原さんと初音ミクとのかけあいの曲ですが、もともとミクの歌はすべて打ち込んでいたんですよ。ありがたいことに「ミクのオンリーバーションもあったらいいですね」というファンの人からの要望もあった。

バンプのリミックスってこれまでないから、話を持ちかけたらバンプもすごく興味を持ってくれて、音源を送ったら「スゲーよかったよ!」と言ってもらえました。その瞬間はもう、超嬉しかったですよね。

自分がずっと聴きこんできたアーティストとまさか一緒に仕事ができると思っていなかったし、「ray」を発表した時には賛否両論もありました。リリースしてからも藤原さんが「大丈夫?」と心配して言ってくれたのを覚えています。

それに、バンプほどベテランになってからも、VOCALOIDのような自分たちと異なる領域と関わって前に踏みだそうっていうスタンスは、僕ら新人に熱意を与えてくれた。リスペクトと感謝を込めて、もう1回この曲を収録させていただきました。 ──ありがとうございます。あの、『と』ってwithのダブルミーニングとも思ったんですけど…?

kz そうです。withの「と」だったり、Togetherの「と」だったり。

あとは、ともだちの「と」ですね。メジャーに移って一番おもしろかったことっていうのは、僕らが昔から聞いていた人と一緒に仕事ができることですから。それはインディーズではなかなかできないし、繋げてくれる人がいないとたどり着かない。だからこそこのアルバムは実現できたわけで、それがまたおもしろいことになっていくはずですから。

『と』の裏メッセージは、「外に出よう」

kz いま自宅兼スタジオとしてやっているので時間を気にせず作業できるんですが、やっぱり外に出て、誰かに会うようにしようって最近強く思うんです。

「オール・オーヴァー」の歌詞じゃないですけど、遠くで頑張っている友達がいるってことを知って制作するのと、1人で孤軍奮闘するのはぜんぜん違う。それに、僕が考える友達っていうのは、ただ仲良しごっこをする関係ではなくて、基本的に全員「敵」っていう前提があるんですよ。

──敵!? さきほどの全曲紹介の朗らかさとは程遠い……!

kz 敵で友達なので、簡単に言うと「ドラゴンボール」のベジータみたいなものなんですよ。

この前、神聖かまってちゃんと一緒にライブをやった時のことがあって。の子くんはFukaseくんのことを「さとちゃん」って呼びますけど、最後のMCで「さとちゃんは友達だけど、SEKAI NO OWARIはぶっ潰す!」って言ったんですよ。

──えっ!

kz 僕は「それだ!」って、「の子くん、スゲーいいヤツだな!」ってここで思ったんですよ。音楽をやっている人間は誰でも1位を取りたいし、テッペン取るにはSEKAI NO OWARIは邪魔だし、すごくしっくりきた。SEKAI NO OWARIに対してそう思わないと、失礼だとも思うんですよね。

僕にとって少年漫画ってすごい大きな部分を占めているんですが、仲間同士が競い合って、強くなるヤツもいて、俺はダメだって思って這い上がっていく……クリエイターの世界も、少年漫画ですよ! 努力・友情・勝利ですよホントに!! だから、「いや〜SEKAI NO OWARIさんだから」って張り合うこともなく、なんとなく付き合っていくのは違うと思う。それは僕にとっては表面的な付き合いしかできないキョロ充なんですよ。

何かを変えていきたいから、何かを放出したいから音楽をつくる。「殺気」もなく曲つくってる人って、なんで音楽やってるのかなとさえ思いますね。

──『と』は、殺気をも内包しているんですね。

kz これはお祭りには違いないし、僕らは友達だけど、また殺気のある場所に戻っていくんです。それが僕の向き合い方ですね。

kzさん「ジジイ好きなので、『ワンピース』で好きなキャラは、白ひげとかガープです。特に白ひげの後ろ姿が好き。背中にはひとつも傷をつけないと豪語する白ひげを、いつも視界に置いておきたい。」

このアルバムには、暗い世の中でも「みんなで楽しくやろうよ」というメッセージがあって、あとは外に出ていないクリエイターってたくさんいると思うんですけど、「とりあえず外に出よう」という彼らへの裏メッセージを込めたつもりです。外に出た僕がどうなったのか、曲を聞いて感じ取ってもらえたら嬉しいです。

関連商品

「と」(初回盤CD+DVD)

livetune
発売 : 2014年9月10日
価格 : 3,880円(税込み)
発売元 : トイズファクトリー


【CD収録予定】
1.ファンタジア / livetune adding 原田郁子 (from クラムボン)
2.Take Your Way / livetune adding Fukase (from SEKAI NO OWARI)
3.Dear You / livetune adding YUKA (from moumoon)
4.FLAT / livetune adding Yuuki Ozaki (from Galileo Galilei)
5.千の翼 -Alternative Mix- / livetune adding Takuro Sugawara (from 9mm Parabellum Bullet)
6.Transfer / livetune adding 中島 愛
7.オール・オーヴァー / livetune adding やのあんな
8.High And Loud / livetune adding 三森すずこ
9.Sign / livetune adding Yun*chi
10.大好きなヒトだカラ / livetune adding 鬼龍院 翔 (from ゴールデンボンバー)
11.Dreaming Shout / livetune adding NIRGILIS
12.Each and All / livetune adding Rin Oikawa (from Q;indivi)
13.Take Your Way -livetune Remix- / livetune adding Fukase (from SEKAI NO OWARI
14.ray -livetune cover- (Presented by BUMP OF CHICKEN) / livetune feat. Hatsune Miku


【DVD収録予定】

1.Transfer –Music Video-
2.Take Your Way-Music Video-
3.FLAT-Music Video-
4.大好きなヒトだカラ –Music Video-
5.HAL(東京・大阪・名古屋)TVCM PV Edit ver.


SINGLE+ALBUM ダブル購入者連動特典( 初回盤・通常盤の初回生産分に封入)
adding アーティスト サイン入りオリジナルTシャツが当たる !


※一部対象外アーティストがおります。

関連商品

「と」(通常盤CD)

livetune

発売 : 2014年9月10日

価格 : 3,000円(税込み)

発売元 : トイズファクトリー

関連商品

千の翼

livetune adding Takuro Sugawara(from 9mm Parabellum Bullet)

発売 : 2014年9月3日

価格 : 500円(税込み)

発売元 : トイズファクトリー

文:石橋加奈子
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トラックメイカー・DJ

2008年8月にアルバム『Re:package』でメジャーデビュー。インターネットを中心としたリミックス・オリジナル楽曲の投稿に火が点き、今や国内外で活躍するアーティストとなっているkzのソロユニット。
9月3日にはTVアニメ「リプライ ハマトラ」OPでもある、9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎を迎えたシングル『千の翼』を、10日にはaddingシリーズの集大成となるアルバム『と』を立て続けに発売。

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