文章作成アプリ「idraft」は“脳味噌との相性が良い” ラッパー兼小説家が使ってみた結果…!

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小説:“バンドマンに曲にされた女”ランキング1位の女

「バンドマンに曲にされた女ランキングみたいなのがあったら、私、ダントツで一位ですよ!」

「ってか、なんで打ち上げにいるんすか?」

ライブ終わりで適当に入った居酒屋で円卓を囲う。バンドメンバーの中に混じって座っていたのが彼女だった。

「ダメです?」

「ダメに決まってんじゃないすか」

「え、なんで?」

ダメだ。完全に苦手なタイプの女だ。

「アイドルの打ち上げにアイドルオタクがいたらアウトでしょ?」

「でも、アイドルじゃないじゃん、バンドじゃん」

他のメンバーは他人事みたいに中華料理を選定している。

「ウチらのバンドがファンとの距離感を遠目に設定してるのわかります?」

ファンとの接触を避けるために物販用のスタッフをわざわざ雇っているし、出番以外は外を出歩かないようにしている。そうやって神々しさみたいなものに折り合いをつけないとアーティストとして箔がつかない、というのが僕の持論だった。

「でも、それアナウンスしてないじゃないですか」

「いや、普通、そこは察するでしょ」

「うわー『普通』って言葉使うんですか。あんな歌詞書いてるのに『察する』って言葉も言っちゃうんですか」

気付いたらこの女は席を移動していて僕の目の前にいた。

「ぶっちゃけ最近、いい歌詞書けなくなってきてません?」

エゴサーチをしても誰もそんなこと言っていない。でも、正直、自覚はあった。

「とにかく、お金は要らないんで、帰ってもらえます? 打ち上げにファンが参加したって漏れると不味いんすよ」

「答えになってないですよー」

その瞬間、フラッシュが顔に当たってこの上ない不快感を覚える。

「ちょっと、勝手に写真撮らないでもらえます? 消してください」

プライベートの写真もネット上に流れてはいけない。

「まあ、いいじゃん、一人くらい」

バンドメンバーが二杯目のビールを飲み干してからズレたタイミングで話題に入ってくる。

「いや、ダメです」

バンドの中で僕が一番歳下なのに、僕がリーダーをやっているというアンバランスのせいで、暗黙の了解にしていた様々なルールが崩れて落ちていく。

「ってか、この人、店に連れてきたの誰すか?」

「わかんない! わかんないけどいいじゃん! 飲もうよ」

僕以外のメンバーはライブ前から酒を飲むタイプの人間で構成されている。だから、返答に期待はしていなかった。

「いや、だから、写真撮んないで!」

「はーい、消しまーす」

「いや、消してないでしょ。今、消したフリしたでしょ」

最低な気分だ。

「はい、消した消しました!」

「じゃあ、出口はあちらです。ライブまた来てください」

「わかったわかりました。帰るから帰りますから、帰る前になんかプレゼントください!」

酔っ払いが帰るタイミングを引き延ばす面倒くさいやつだ。

「はあ……。じゃあ、これ、煙草、一本あげます。だから帰って」

「この煙草にサインしてください」

奥歯を噛み締めて鞄からペンを探す。

「ってか私思うんですけど、最近のバンドってなんかネガティブな歌詞が流行ってるじゃないですか。あれって格好いいと思ってやってるんですか?」

今度はダル絡みが始まる。

彼女の言葉は要所要所でチクチクと刺さるものがある。

流行りかどうかは知らないが「誰も傷つけない歌詞」の時代が終わったのか、今は見えない誰かを攻撃するような歌詞が多い。ヒップホップに倣ってディスソングなんて括られ方をしたりもする。バンドが他のバンドをディスる曲なんかも増えてきて、歌詞の内容を「拡大解釈」するリスナーも多い。

ウチのバンドもそう言う意味じゃ好戦的な方だと思う。大して売れてないけど。

「さ、今度こそ帰って」

「お手洗い行ったら帰るから!」

そう言うと彼女はトイレに消えて行った。そのまま個室で眠るタイプの女じゃないことを祈る。

あのさ、あの子ってもしかしてアレじゃない?

「なんすか?」

バンドメンバーがサブスクアプリの歌詞をスクショしたものを並べて、一枚ずつみんなに見せていく。

「あっ、このバンドは前に対バンしたよね」

「この曲は知ってる」

「ここのギターは俺、知り合いだよ」

突然始まった歌詞の品評会に僕はため息をつきながら、トイレの方を三度くらい見た。

「で、これがなんなんすか?」

並べられたバンドの中には知り合いもいる。

共通点を述べるとしたら攻撃的な歌詞が多いってことくらいだ。

「歌詞ちゃんと読んでみ?」

ただの酔っ払いの言葉のはずなのに急に空気がピリッとしたのがわかった。

謎が解けたのだ。

「え? これマジすか」

僕が続きを話そうとした所で、女がトイレから戻ってくる。

「なになに? なにしてんの? 私も混ぜて!」

売れてないインディーズバンドの代表曲の歌詞をいくつか並べて、目の前の女の特徴に当てはめてみる。すると立体パズルのように彼女の全体像が浮かび上がる。

 
バンドマンに曲にされた女ランキングみたいなのがあったら、私、ダントツで一位ですよ!

そんな彼女の台詞の真意がわかる。

これ、全部、あなたへの悪口を歌った曲っすよね?

「そうそう! これ凄くないですか? 私、人に創作意欲を与えるのが得意みたいで!」

両手で大きな丸を作りながら満面の笑みで彼女は言う。

どうすればそんなポジティブに解釈できるのだろう。


結局終電まで粘られたせいで、うんざりしながら帰宅する。

長すぎた一日の終わりを肩から下ろして一息つくと、無性に歌詞が書きたくなった。

この気持ちを書き留めておかないと後悔すると思った。


そして、僕はゆっくりと「idraft」を開いた。

優秀作品は池袋駅に掲出「idraft」作品募集キャンペーン

「idraft」では現在、1枚のイラストを元に400文字〜450文字の短編小説を募集する「アイドラフト×かずのこ 作品募集キャンペーン」を開催中です。

小説のお題となるイラストは、青い宇宙や海をモチーフにした絵柄で人気のイラストレーター・かずのこさんが描き下ろしました。

応募の場合は、オリジナルイラストに関連した短編小説を「idraft」で執筆し、Twitterに投稿。

「イラストの世界観を一層膨らませる内容か」「『idraft』ユーザーにとってお手本となるクオリティか」などの観点から優秀作品2点を選出。

作品は3月27日(月)から4月3日(月)まで、池袋駅構内の看板広告枠に掲出されます。

【応募方法】
①「idraft」アプリをダウンロード
App Store:https://apps.apple.com/JP/app/id1515861951
Google Play:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.ne.goo.dictapp.pro

②idraft公式Twitterアカウント(@idraft_goo)をフォロー

③かずのこ氏の描き下ろしイラストをイメージした短編小説をidraftで執筆(450字程度)

④「idraft」画面上の執筆作品のスクリーンショットを用意し、本キャンペーンハッシュタグ「#アイドラフトとかずのこコラボ」(外部リンク)をTwitterで投稿もしくはDMで送付
※優秀作品に選出された方には「idraft」公式TwitterアカウントよりDMを差し上げます。

【キャンペーン概要】
募集期間:2023年1月13日(金)12:00〜2023年2月12日(日)23:59
景品内容:池袋駅構内の看板広告枠への掲出:2名
掲出予定期間:2023年3月27日(月)〜2023年4月3日(月)
主催:エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社

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アプリ情報

idraft by goo(アイドラフトバイグー)

価格
基本無料(月額420円の有料プランあり)

idraftは、辞書検索サービス「goo辞書」が作った文章作成アプリです。テキストエディタ機能をベースに「言い換え」や「辞書検索」「校正」など「書く人すべての悩みをサポート」する機能を搭載しています。あらゆるシーンにおける文章作成を支援する機能改善を重ね、2020年7月に提供開始以来、約45万ダウンロードを達成しました。
月額420円(税込)のプレミアムプランでは、アプリ版だけでなくPCでも利用可能で、創作に特化した辞書と書式の校正や同期端末数の無制限化などが利用でき、「もっと執筆に集中したい」「作業効率を上げたい」といった要望を持つユーザーにおすすめです。
2023年1月16日(月)までの期間は、プレミアムプランが最大4カ月間42%OFFになる年末年始キャンペーンを開催しています。今後の開発方針やキャンペーン情報はidraft公式Twitterやアプリ内お知らせにて告知します。

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ハハノシキュウ

ラッパー/小説家

青森県弘前市出身のラッパー/小説家。2012年05月、処女作品集『リップクリームを絶対になくさない方法』をリリース。2013年09月、フリースタイルダンジョン初代モンスターDOTAMA とのコラボアルバム『13 月』をリリース。2016年11月、地下アイドルおやすみホログラムの遍歴をエモーショナルにラップした『おはようクロニクルEP』がポニーキャニオンからリリースされ、実質メジャーデビューを達成する。2017年06月、ハハノシキュウ× オガワコウイチ名義で2 枚組アルバム『パーフェクトブルー』をおやすみホログラム所属のgoodnight! Recordsからリリース。さらに、2017年12月には自身のセカンドソロアルバム『ヴェルトシュメルツ』と盟友インプロデュオHUHとの即興コラボアルバム『3年後まで4年かかるタイムマシン』をOOO!SOUNDより2枚同時リリース。そして、2019年04月には念願の小説家デビューを果たし、星海社より『ワールド・イズ・ユアーズ』を刊行する。同年の07月、その小説を買ってくれた人へのサービスを建前に、小説の宣伝ソングという本音を隠して『小説家になろうEP』をデジタルリリース。同時に自主レーベル『猫背レコーズ』を立ち上げ『懐祭り』『顔』『鼠穴』と矢継ぎ早にリリースする。現在、2冊目の小説、Amaterasとのコラボアルバム、自身の3rdアルバムを同時進行で制作中。

・Twitter

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