アイドルカフェがタイで独自に進化 「SIAMDOL Cafe」って知ってる?

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コロナ禍の今、なぜコンセプトカフェなのか

コロナ禍によりアイドルのライブ興行が激減したのは日本もタイも変わりません。ウェブ上のイベントは開催できてもデメリットもあり、思うように活動できなかったアイドルが多かったです。

タイでは日本よりも一足早くアイドルのリアルイベントが再開しましたが、元々タイでのアイドルイベントは週末のみであったりと日本ほど多くはありませんでした。

「SIAMDOL Cafe」は、そうした状況下でもっと活動したいと願うアイドルたちの受け皿となっているのです。

コンセプトカフェは、アイドルたちが活動する場を広げたり、ファンとの交流が増えるチャンスが多く、「アイドル」本人として働けるのも大きな利点です。

Siamdol所属ではない別事務所のアイドル等もキャストとして働くことができ、アイドルファンもそうでもないお客さんも多様なアイドルたちと出会えて楽しめる場となっています。

キャストが丁寧にお絵描きしてくれたオムライス。味も見た目も日本のコンカフェに負けず劣らずの腕前。

タイでのコロナ禍は、元々国民一人ひとりの予防意識が高かったり、日本よりも厳しい行動制限がありました。

そのため、ライブ会場よりも換気に優れて他のファンと密になりにくく、かつリアルにアイドルと交流ができるカフェ形態は、アイドルファンにとっても理にかなったスタイルだったのです。

また、その正統派のコンセプトカフェ形態は、日本への渡航歴がある「本物志向」にこだわる富裕層も納得のできる本格さであり、コンセプトカフェ未経験の若者にとっては新鮮な体験となり、日本通やアイドルファンにとっても満足度が高いものになっています。

実際リピーターも多く、開店から1年ほどしか経っていないにも関わらず、通い詰めなければ手に入らない上位ランクのメンバーカードを持つファンも少なくはありません。

折しも日本への渡航が難しくなってしまった時期に、日本と近しいポップカルチャーに触れられる場となったのも、人気の一因ではないでしょうか。

ただの日本のコピーではないクオリティの高さ

新しいもの好きなタイ人ですが、「SIAMDOL Cafe」はリピーターも多く、日本のコンセプトカフェの様にサードプレイス的な「居心地の良さ」があるのも大きな特徴です。

「ちょうどいい絶妙な距離感」で接客してくれるのも、恥ずかしがり屋気質の多いタイならではの奥ゆかしさを感じます。コンセプトカフェ好きの日本人である筆者も懐かしさやあまりの居心地の良さに「ここに住みたい」と思うほどです。

タイにローカライズされた雰囲気づくりやキャストの接客・育成は日本のものとはまた異なった魅力も持っています。

クリスマスをイメージした冬季メニューはタイらしいゼリー入ヨーグルトドリンクや流行を意識したチョコミントのドリンクやクロッフルなどシーズンごとに飽きのこないラインナップ。

カフェということでもちろん飲食物も提供しており、メニュー内容も味にこだわった日本食や、日本のコンセプトカフェおなじみのオムライス、素材にこだわったスイーツやシーズンごとに変わる限定メニューなど、日本のコンセプトカフェをイメージしつつ、より手の込んだ内容となっています。

利用する多くの富裕層ファンは高級店の利用や来日経験も多く、舌が肥えているという背景もあるでしょう。

カフェのキャスト衣装は完全オリジナルで、手掛けるのはSiam☆Dream元メンバーのヒカリンさんです。

アイドル時代は衣装を手掛けた経験のあるヒカリンさん。

シンプルながらもキャストの個性や可愛さが引き立つ様に設計されたクオリティの高い衣装は、来泰した日本のアイドルからも好評です。
カフェではアイドルの卵である「キャスト」と、デビューしすでに活動実績のある「アイドル」の2パターンのキャストが働いており、店内で販売される人気メニュー・ツーショットチェキ(キャストと二人で撮影するインスタント写真)の価格にも差があります。

現地でも日本語である「ツーショットチェキ」として通じ、日本語の意味の解説もメニューに掲載されています。

日本のアイドルなど、ゲストでお給仕されるアイドルは価格がまた異なります。

「ツーショットチェキ」も日本から輸出されたカルチャーの一つです。

アイドルの卵である「キャスト」からの選抜メンバーは時折SIAMDOL Cafeを名乗りアイドルイベントの前座等に出演することもあり、日本のアーティスト制作によるオリジナルソング「Lovely Kitchen」も制作されたばかり。カフェではアイドルの見習いとして日々ファンと交流しています。

海外との架け橋に

カフェではタイのアイドルだけではなく日本のアイドルも来泰時にイベントを開催しており、中にはカフェの会員証によるメンバーランクに応じて参加出来るイベントもあります。

この写真の撮影時よりサインはかなり増えたそうです。

来店したアジアのアイドルたちからのメッセージやサインが並ぶ店内。

これほど多くの人気アイドルが訪れるコンセプトカフェは日本でも珍しいのではないでしょうか。

面白いことに、海外のファンにとっては日本よりタイの方が近いこともあるため、日本のアイドルがイベントを開く「SIAMDOL Cafe」は、国際的にファンと交流できるハブ的な存在としても機能しているのです。

予想もつかなかった効果に、コンセプトカフェの未知の可能性を感じました。
また、タイ語英語に加え日本語がわかるキャストも数名いるので、来店時は日本人とわかると一生懸命に話しかけてきてくれたり、調べながらも頑張って日本語でツーショットチェキをデコレーションしてくれたりと、ホスピタリティあふれる接客をしてくれます。

普通の観光では味わえない新感覚のコミュニケーション体験に胸を打たれると共に、筆者も秋葉原のコンセプトカフェで働いていたとき、外国人のお客様が喜んでくれたことを追体験できたかのような不思議な感覚となりました。

アイドルキャストのベットさんとナムファーさん。日本語を書いてくれました。

接客してくれたキャストのChiyu(ちゆ)さんは「キャストになってもうすぐ一年になります。ここで働くことはとても楽しいです」と可愛く笑顔で答えてくれました。

良いコンセプトカフェを図る物差しに、キャスト自身にとって働きやすい・働きがいがあるという大きなポイントがあります。

このカフェは良いカフェなのだと、確信が持てました。 ちょっぴり懐かしいアイドルコンセプトのカフェは、秋葉原から離れたバンコクで進化を遂げて愛されていました。
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