アニメ、漫画、ゲームなどの同人誌をはじめ、およそ2万サークルが様々なジャンルの作品を展示・頒布。夏開催の夏コミとしては、2019年8月以来3年ぶりとなる。
コミックマーケットは従来、夏と冬に年2回開催されてきたが、2019年12月の冬コミ以降、新型コロナウイルスの影響で現地開催が叶わず、2021年12月に2年ぶりの開催を果たした。
1975年の開始以来47年間の到達点となる記念すべき100回目。運営するコミックマーケット準備会は、コロナ禍における自由な表現の場としての意義を強調する。
「コロナ禍において、あるいは、今後同様の危機に見舞われたときであろうと、自由な表現の場を継続していくことが、コミックマーケットの最大の意義と私たちは考えています」
コロナ禍で迎えた初の夏コミ、100回目という節目、そして13日に関東甲信へ上陸するとみられる台風8号──今後のコミケを占う上でも、注目が集まりそうだ。
行動制限のないコロナ禍、夏コミでの変更点
東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数は2万401人、病床使用率は59.2%(8月12日時点)。全国でも16万8826人と高止まりの状態が続き、医療体制も逼迫している。2021年12月の冬コミ「コミックマーケット99」では、参加にあたってワクチン・検査パッケージ(ワクチン接種証明または検査結果の確認)を導入。
しかし今回は、社会的な状況変化を総合的に判断した上で、「実施する必要性はない」(コミックマーケット準備会)という結論に至った。
それ以外にも、入場者数上限の引き上げ(5.5万人から8〜9万人へ)をはじめ、開催時間を10時30分に繰り下げ、冊子版のカタログの復活、屋外では会話・発声時を除きマスクの常時着用を求めないなど、“行動制限のない夏”に伴って前回から複数の変更が行われている。
羽海野チカ、ワダアルコ、竹箒……人気作家が参加
「直前にコロナ陽性となったので迷いましたが、なんとか自宅療養期間が間に合うのと、やはり100回記念ということが大きいです」サークル参加する男性(30代)は、コロナ禍での参加理由に開催100回という節目を挙げる。
制限の緩和とも取れる前回からの変更についても「前回はチケット制になったことで大幅に参加者が減り、密集してる様子もなかったので、ワクチン検査パッケージの撤廃はこれが理由かなと思いました」と理解を示した。
今回は、100回目であることに加え、「Fate」シリーズなどで知られるTYPE-MOONの武内崇さんと奈須きのこさんによるサークル「竹箒」、イラストレーターのワダアルコさん、漫画家の羽海野チカさんといったビッグネームがサークル参加。
6月の発表段階から大きな注目を集めており、それらのサークルには、当日も多くの人が殺到するのは間違いないだろう。
「困難続きですが楽しんで終われるコミケになれば」
一方、知人のサークルを手伝うという女性(30代)は、「前回は入場者も絞っていてサークル側としてはかなり寂しい状態だった」としつつ、「今回の形式がスタンダードになるかもしれないので、どれくらい活気が戻るのか、心配半分楽しみ半分です」と、複雑な心境ものぞかせた。別の男性(20代)も、100回目の記念すべきコミケを参加理由に挙げると同時に、「コロナに台風と困難続きですが、楽しんで終われるコミケになればいいと思います」と期待する。
台風8号の接近に伴い、前日の段階で「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022」など複数のイベントが13日の開催を断念。そうした中で開催される100回目のコミケ。
コロナ禍においても、また、今後同様の危機に見舞われたときの自由な表現の場としても、将来へ向けた大きな試金石となる「コミックマーケット100」が、幕を開けた。
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連載
2022年8月13日(土)・14日(日)の2日間にわたって東京ビッグサイトの東・西・南展示棟(サークル・企業ブース)で開催される「コミックマーケット100」(C100)を特集。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で中止・延期を経て、2021年12月に2年ぶりに現地開催された世界最大級の同人誌即売会が迎える、記念すべき100回目。 冊子版カタログの復活、ワクチン・検査パッケージの非導入、東西エリアの移動制限解除、そして来場者数上限を8〜9万人に引き上げ──。 1975年の第1回開催以来、コロナ禍という特殊な状況でも歩みを進めるコミケ。サークル、コスプレ、一般参加者、さらには準備会と全参加者を追う。
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