譲れないこだわり「サビは絶対にキャッチーにする」
──ぜったくんは耳馴染の良いポップスらしい曲が多いと思います。幼少期に聴いていたSMAPやJ-POPの影響があるんでしょうか?ぜったくん もちろんありますね。ジャンルとかはいったん置いといて、サビやフックの部分はめちゃくちゃキャッチーにする。それが僕の音楽の根幹にあります。
もちろん、より多くの人に聴いてもらいたいという側面もありますけど、単純にそういった音楽が好きなんですよね。ある意味では、SMAPを聴いてきた証なんだと思います。
──一方で、PUNPEEさんやVaVaさん、5lackさん、tofubeatsさんにも近しいものを感じました。ご自身からみて、自分と近いもしくは参考になると感じるミュージシャンはいますか?
ぜったくん 個人的に近いのかなと感じるのは、シンガーソングライターのMomさんですね。曲の中にレコーディング中に思いつきで録音したような声や音などの遊びが入っていて面白いんですよ。
トラックメイカーだとTomgggさんの楽器の散りばめ方が参考になります。
──ちなみに楽曲制作の際には曲と詞、どちらを先につくりますか?
ぜったくん 曲先の場合が多いですね。仮トラックをつくって、その上にサビを乗せるのが基本です。
──フロウやメロディに歌詞を乗せようとするときに、どういった発想で言葉を引っ張ってくることが多いでしょうか?
ぜったくん まず楽曲全体のテーマを決めて、そこから連想できる言葉を探します。その中から音に当てはめていったときにグっとくるものを選ぶ。パズルみたいな作業ですね。
──6月にリリースした「味噌つけてきゅうり食べたい」もですか?
トラックをつくり終えたとき「めっちゃ夏っぽい」と感じて、「夏と言えば、水につけたきゅうり食べてぇよな」という発想からメロディと言葉をはめたらバッチリでした。
デモをTwitterやInstagramにアップしたらかなり好評だったので、一気にフルバージョンまで仕上げたんです。ありがたいことに、リスナーからは「これこそがぜったくんだよね!」「ぜったくんの真髄が出てる曲!」みたいな反応をいただいて。
──つまり事実上の代表曲ということでは……?
ぜったくん うれしいですし、ありがたかったんですけど、「仮に遺作がこの曲になったら流石に困るな」とも思いました(笑)。 ──曲づくりで煮詰まったときにはどうやって乗り切っているんでしょう?
ぜったくん 脳をリセットする、つまり忘れるということが非常に大事なので………いったんゲームですね。僕の場合、日常のほとんどの場面で「なんかアイディアないかな?」と曲づくりのことを考えてしまっていて、ちょっと健康的ではない気もするんです。
煮詰まったときは、思考のすべてをいったん全部ゲームに預けるというのが必要で、僕にとってはそれが『Rainbow Six:Siege』。ゲーム操作、マップや敵の把握、エイムに至るまで、常に考え続けないと勝てないゲームなんです。
だからこそ勝った瞬間の高揚感は最高です。日常生活で一番心地いい瞬間かもしれません。そこで脳をリフレッシュして制作を再始動っていうのは本当によくありますね。
──ちなみによく見ているストリーマーさんなどはいらっしゃいますか?
ぜったくん ストリーマーさんですか……メルトンさんですね。あんなにしゃべれて配信もできて、しかもメチャクチャ強い。参考になるので結構見ていますね。
新曲「sunday sunday」に込められた“本音”
──その後、9月に発表されたのが最新シングルの「sunday sunday」ですが、この曲はどういった経緯で制作されたんでしょうか?ぜったくん この曲自体は、4年前にラブホでバイトしていた頃につくっていました。
思いついたのがちょうど日曜日。特に予定はなかったんですけど、夜勤があって妙にソワソワして、いろんなことを考えてしまって。そのときの気持ちを表現してみようと。
音楽が好きなだけで、ただバイトを繰り返す日々の中、将来は何もわからない──そんな当時の状況を表現してみました。
でもそのときは、9月にリリースした完成版の前半にあたるつくりかけの状態。その曲をSoundCloudにはアップしていて評判も良かったので、バイトもしてないいま、実際に音楽で食っている自分として改めてリメイクしてみようと思いました。
ぜったくん 当時を思い出しながらつくったという意味ではそれに近いですね。新しく書き直す中で「自分が本当にやりたいことはなんだろう?」と改めて考えたんですけど、結局「わかんねー!」って(笑)。
自分のことだけど、自分でもよくわからないものだなと。それでも「好きなものが1個でもあれば楽しみ放題だな」というメッセージを後半部分で書きました。
過去の自分が書いた部分では「将来が不安だ」とはっきり書いていて、それに対して未来に生きている自分からは「いやいや、いつになっても将来はわからないし、わからない方が楽しいよ?」「音楽と一緒に楽しんでいこう」と伝えてます。
そもそも、自分の将来も何もわからない人の方が多いと思うんですよ。それなら、わからないことを楽しまないと人生損じゃないですか。
──「sunday sunday」のMV含め、イラストレーターのトキチアキさんがビジュアルを数多く手がけられています。どのようなきっかけで依頼するようになったんでしょうか?
ぜったくん 僕の大学の後輩がトキチアキさんとTwitterで知り合いだったんです。📕期間限定連載📕
— トキチアキ(3D) (@IKAIHCIKIHS) September 23, 2021
今日から毎日21時に「sundaysunday」という漫画を連載していきます📕、なんでもない日曜日のお話です。
🚨本日のみ21時00分、15分、30分、45分で4回更新があります!お楽しみに🤤
(01/15)
続きはツリーより🔻#ぜったくん #sundaysunday https://t.co/EZAajKVCOB pic.twitter.com/RoFcm7TDQ3
「Catch me,Flag!!? feat.SUKISHA」のMVのイラストレーターを探していたときにトキチアキさんの作品を見て、「こんなオリジナルな絵は見たことない」と衝撃を受けたんです。
その勢いで連絡をしたら、向こうも仕事を辞めてイラストレーターとして食っていこうと決めたタイミングだったらしいんですよ。
──運命的ですね。
ぜったくん そこから制作をお願いするようになりました。最初は2人で意見交換しながら制作を進めていましたが、最近は、あまり連絡を取らないでつくってるんですよね。
もう2年くらい一緒にやっているので、互いの勘所がわかり合えるようになったんだと思います。
「sunday sunday」に関しては、途中まではいつもと同じ横動画で制作していました。制作中に縦動画にできないかトキチアキさんに打診したら、急な方針転換だったにもかかわらず、「本編も漫画調だからちょうどよくない?」と快く引き受けてくれました。
「コロナ禍の今だからこそライブをやりたい」
──最後に、11月3日に控えるワンマンライブ「Good Feeling」についてもうかがいたいです。開催を決めたのはいつ頃だったんでしょう?ぜったくん 今年の4月頃だったかなと思います。今回のライブは生バンドに近い形、MPC・ドラム・ベース・鍵盤・コーラスに僕という編成で行う予定です。
絶賛準備中ですけど、絶対この日にしか見れないような内容になると思います。だから少しでも興味がある人には、見に来てもらえるとうれしいです。
──コロナ禍という難しい状況の中で、自身初のワンマンを決断したのにはどんな考えがあったのでしょうか?
ぜったくん 様々な立場・見方があるので、みんなが納得できる答えが出るのは難しいと思っています。【🤹♀️ワンマン🤹♀️】
— ぜったくん-zettakun- (@zetta_kun) October 12, 2021
すごすぎるバンドセットでお届けします!フライヤーもカワE😇
😇ぜったくんワンマンライブ
😇「Good Feeling」😇
2021年11月3日(水・祝)
東京都・渋谷 WWW X
ローソンチケット https://t.co/UahmFHByXV
Lコード:73213
イープラス https://t.co/okehHEAGoM pic.twitter.com/FaY8zoRzDR
少し前に言われた「エンタメは不要不急」というのも確かにその通りだとは思うんですけど、一方で人間は文化的な生き物だし、楽しいことがないと不安になる、究極的には死んでしまうこともあると思うんです。
僕自身もいろいろな意見や見方を受け取ったし、意見を交わし続けていった中で「自分はライブをやりたい」と思えました。実はそれまではライブをやろうなんて思ったことはなかったんですが、今だからこそやりたいなと。 ──初のワンマンに向けて特別な準備などはしていますか?
ぜったくん いままでひたすら家に籠って楽曲をつくり続けて、ライブをしようなんて考えてなかったので、体力がちょっと心配です。だから最近、午前中にジムのプールに入って泳ぐようにしてます。
──チョイスがぜったくんらしいというか“チルい”ですね(笑)。体力づくりと聞いて、ランニングマシンや筋トレを想像していました。
ぜったくん ランニングマシンは汗だくになってシャワーを浴びないといけないので。プールだったら汗でびしょびしょになることもないし、単純に入っていると気持ちいい。それで体力もつくるならプール一択ですね。
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イベント情報
ぜったくんワンマンライブ「Good Feeling」
- 日時
- 2021年11月3日(水・祝)OPEN 17:00 /START18:00
- 場所
- 東京・渋谷 WWW X
- 価格
- 全自由 ¥4,000(税込) / 入場時1DRINK別途
- ローソンチケット(Lコード:73213)
- https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=597409
- イープラス
- https://eplus.jp/sf/detail/3479180001?P6=001&P1=0402&P59=1
関連リンク
ぜったくん
ラッパー/トラックメイカー
東京町田産まれ。ごく普通にSMAP を聞き、ゲームをしながら幼少期を過ごす。大学にてギターを始める。
大学卒業後、一度は就職した会社を入社わずか2 時間という早さで電撃退職。
作曲とDTM を勉強しながら、作詞作曲を手がけるバンド「201 号室」での活動(Vo,Gt)を始める。
そのかたわら、ソロの「ぜったくん」としての楽曲を制作開始。
2018年にラストラム主催の新人オーディション「ニューカマー発見伝」にて、グランプリを受賞。
2019年7月にデビューデジタルシングル「Catch me, Flag!!?」をリリース後、2020年3月に6曲入り1st EP『Bed TriP ep』をリリース。同年10月「Midnight Call feat. kojikoji」でメジャーデビュー。
12月にはXmasソング「Gaming Party Xmas」、翌年も「Man Say Bien」と精力的なリリースを続け、2021年9月に「sunday sunday」をリリース。11月3日には自身初のワンマンライブ「Good Feeling」を控える。
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