オリジナル作品や独占配信など、毎月毎月アグレッシブに新作を公開しているNetflix。
そんなNetflixの5月公開新作の中に「孤独」「閉塞」「謎解き」と共通する特徴を持ちながら、まったくタイプの異なる二つの密室スリラー映画があります。
近未来が舞台のSFスリラー『オキシジェン』と、殺人事件を軸とした心理スリラー『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』です。
搭載されたAIによると、様々な装置がついた細長いカプセルの中のようなその空間は医療用の極低温保存装置で、出るには認証コードが必要。また供給される酸素の量には限りがあり、現在すでに残量が少なくなっているとのこと。
ところがその女性・リズはコードはおろか、自分自身のことさえほとんど思い出せません。酸素切れのタイムリミットが迫る中、リズは何とかして記憶を取り戻そうと、たった一人で奮闘します。
リズが感じる物理的な閉塞感を観客にも体験させてあげよう、という親切かつ悪趣味スレスレの演出は、閉所恐怖症でなくともウワァァーッ!出してー!と身悶えしたくなるほど入念。
しかもAIはリズの体は健康そのものだと言います。ならば医療用装置に入れられる理由はないはず。一体なぜ、誰が自分をここに閉じ込めたのか……?
認証コードを探す彼女が徐々に事態の真相に近づいていく謎解きストーリーも、観客を画面に釘付けにする見どころです。
リズを演じるのはメラニー・ロランさん。セザール賞受賞歴やハリウッド大作『イングロリアス・バスターズ』のヒロインで国際的に知られる名俳優で、近年では世界57カ国でヒットした映画『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』にも出演しています。
一方、監督はスリラーに定評のあるアレクサンドル・アジャさん。前作『クロール 凶暴領域』でスマッシュヒットを記録し、名作ホラー漫画『富江』のハリウッド版ドラマ製作にも名を連ねるなど、ホラー・スリラーファンが目を離せない一人です。
その女性・アナは、すぐに警察に通報。殺されたのは向かいの家に住む三人家族の妻・ジェーンだと伝えます。アナはジェーンと面識があり、夫からDVを受けている様子のジェーンを心配していたのでした。
ところがアナと警察の前に「ジェーン」を名乗る見知らぬ女性が登場。そして夫も息子も「彼女こそ妻/母のジェーン」と証言したため、警察は通報をアナの虚言と判断してしまいます。
その人がジェーンなら、自分が会ったのは誰だったのか? ナイフで刺されながら窓越しに自分へ必死で助けを求めた彼女を忘れることができず、アナは一人で向かいの家族を調べ始めます。
さらに治療薬とアルコールを併用してしまうなど、アナは誰の目にも明らかなほど精神的に不安定。警察があっさりアナの訴えを退けたのも、向かいの一家の“まとも”な人々に比べ、アナがあまりにも“信用できない人”に見えたためでした。
物理的に脱出できず一人ぼっちだった『オキシジェン』のリズと異なり、アナは閉じ込められているわけじゃないのに外に出られず、周りに人はいるのに孤立しています。
この精神的な孤独と閉塞感には、物理的なものとは別の、しかし同じくらい切実な苦しさが滲み出ていて、観る人をストーリーに引き込んでいきます。
『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』でアカデミー賞にノミネートされたジョー・ライトさんが監督、オスカー俳優のゲイリー・オールドマンさんが脇を固め、主演は演技派俳優エイミー・アダムスさんが務めています。
アダムスは『アメリカン・ハッスル』元ストリッパー役で見せたセクシーな魅力も、『ノクターナル・アニマルズ』画廊オーナー役での都会的で洗練された美貌も封印。酒と薬と不摂生な生活に疲れた中年女性を見事に演じ切っています。役者ってすごい……。
2つ合わせて観たらきっと2倍以上に味わい深いはず。どちらも同じNetflix配信なので、ぜひセットでチェックしてみてください!
そんなNetflixの5月公開新作の中に「孤独」「閉塞」「謎解き」と共通する特徴を持ちながら、まったくタイプの異なる二つの密室スリラー映画があります。
近未来が舞台のSFスリラー『オキシジェン』と、殺人事件を軸とした心理スリラー『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』です。
出口もなければ酸素もない!『オキシジェン』
5月12日に配信がスタートした、Netflixオリジナル作品『オキシジェン』。ある女性が密閉された空間で目を覚ますところから始まる、近未来SFスリラーです。搭載されたAIによると、様々な装置がついた細長いカプセルの中のようなその空間は医療用の極低温保存装置で、出るには認証コードが必要。また供給される酸素の量には限りがあり、現在すでに残量が少なくなっているとのこと。
ところがその女性・リズはコードはおろか、自分自身のことさえほとんど思い出せません。酸素切れのタイムリミットが迫る中、リズは何とかして記憶を取り戻そうと、たった一人で奮闘します。
演出と謎解きで飽きさせない
本作のおもしろいところは、主人公・リズの断片的な回想シーンを除いて、全編がこの狭いカプセル内で展開すること。にも関わらず、観ている人をまったく退屈させないことです。リズが感じる物理的な閉塞感を観客にも体験させてあげよう、という親切かつ悪趣味スレスレの演出は、閉所恐怖症でなくともウワァァーッ!出してー!と身悶えしたくなるほど入念。
しかもAIはリズの体は健康そのものだと言います。ならば医療用装置に入れられる理由はないはず。一体なぜ、誰が自分をここに閉じ込めたのか……?
認証コードを探す彼女が徐々に事態の真相に近づいていく謎解きストーリーも、観客を画面に釘付けにする見どころです。
フランスを代表する映画人のタッグ
フランスを代表する映画人がタッグを組んだ最先端のフレンチ・スリラーであることも、本作をピックアップしたい理由の一つ。リズを演じるのはメラニー・ロランさん。セザール賞受賞歴やハリウッド大作『イングロリアス・バスターズ』のヒロインで国際的に知られる名俳優で、近年では世界57カ国でヒットした映画『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』にも出演しています。
一方、監督はスリラーに定評のあるアレクサンドル・アジャさん。前作『クロール 凶暴領域』でスマッシュヒットを記録し、名作ホラー漫画『富江』のハリウッド版ドラマ製作にも名を連ねるなど、ホラー・スリラーファンが目を離せない一人です。
精神的な“密室”『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』
5月14日にNetflix独占配信で封切られた『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』。ある女性が深夜、向かいの家で人が殺される瞬間を目撃してしまう犯罪スリラーです。その女性・アナは、すぐに警察に通報。殺されたのは向かいの家に住む三人家族の妻・ジェーンだと伝えます。アナはジェーンと面識があり、夫からDVを受けている様子のジェーンを心配していたのでした。
ところがアナと警察の前に「ジェーン」を名乗る見知らぬ女性が登場。そして夫も息子も「彼女こそ妻/母のジェーン」と証言したため、警察は通報をアナの虚言と判断してしまいます。
その人がジェーンなら、自分が会ったのは誰だったのか? ナイフで刺されながら窓越しに自分へ必死で助けを求めた彼女を忘れることができず、アナは一人で向かいの家族を調べ始めます。
出口があるのに出られない、人がいるのに一人ぼっち
本作は出来事の9割以上がアナの住む屋敷内で展開します。というのも、アナは広場恐怖症で屋外に出るとパニックを起こしてしまうため、自宅にこもり切りの生活をしているのです。さらに治療薬とアルコールを併用してしまうなど、アナは誰の目にも明らかなほど精神的に不安定。警察があっさりアナの訴えを退けたのも、向かいの一家の“まとも”な人々に比べ、アナがあまりにも“信用できない人”に見えたためでした。
物理的に脱出できず一人ぼっちだった『オキシジェン』のリズと異なり、アナは閉じ込められているわけじゃないのに外に出られず、周りに人はいるのに孤立しています。
この精神的な孤独と閉塞感には、物理的なものとは別の、しかし同じくらい切実な苦しさが滲み出ていて、観る人をストーリーに引き込んでいきます。
超豪華な製作陣
製作陣の豪華さも、本作を語る上で注目せずにはいられないポイント。『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』でアカデミー賞にノミネートされたジョー・ライトさんが監督、オスカー俳優のゲイリー・オールドマンさんが脇を固め、主演は演技派俳優エイミー・アダムスさんが務めています。
アダムスは『アメリカン・ハッスル』元ストリッパー役で見せたセクシーな魅力も、『ノクターナル・アニマルズ』画廊オーナー役での都会的で洗練された美貌も封印。酒と薬と不摂生な生活に疲れた中年女性を見事に演じ切っています。役者ってすごい……。
セットで観たら2倍以上のおもしろさ!
物理的な密室と精神的な密室、それぞれの苦しみとそれに立ち向かっていく主人公の姿を描いた『オキシジェン』と『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』。2つ合わせて観たらきっと2倍以上に味わい深いはず。どちらも同じNetflix配信なので、ぜひセットでチェックしてみてください!
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