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Novel Core インタビュー 敗戦で知った、ヒップホップが歌う「リアル」の本質

Novel Core インタビュー 敗戦で知った、ヒップホップが歌う「リアル」の本質

POPなポイントを3行で

  • Novel Core、ロングインタビュー
  • “賢いふり“の鎧で守る、弱い自分
  • “リアル“の本質とは何か?
第12回「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」優勝、恋愛リアリティーショー「月とオオカミちゃんには騙されない」に出演など、常に話題に事欠かない次世代ラッパー・Novel Coreさん。

昨年にはZeebraさんの主宰するGRAND MASTERから、SKY-HIさんが設立したマネジメント・レーベル会社「BMSG」への移籍も発表。期待感は高まる一方です。

そのインテリジェンスあふれるイメージは高校生の頃から周囲のラッパーと一線を画し、そしてその強いイメージがゆえに、まだ彼の素性の多くが謎に包まれています。

2021年、ハタチになった彼は何を考え、何を思ってきたのか。今まで心中に抱えこんでいた想いと苦悩を呼び起こすと、生々しいひとりの青年の実像に触れることができました。

Novel Coreにとっての”リアル”とは何か。

マセガキ? 態度がデカい? ロマンチスト? 世間に振り回されず、あなたの目で今の彼がどんな人か見定めてほしい。

取材/執筆:坂井彩花  編集/撮影:わいがちゃんよねや

目次

“賢いふり”の鎧で守る、弱い自分

──Novel Coreさんを幼少期から紐解いていければと思います。ご出身は東京ですよね?

Novel Core 東京生まれ、東京育ちの超東京ボーイです。

──どんな子どもだったんでしょうか。

Novel Core けっこう変な子だったみたいですね。保育園のときは、将来の夢を聞かれて「カエルになりたい!」って頑なに言っていたらしいですし、謎の嘘をついて先生や母親を困らせたり……。

先生に「好きな食べ物はなに?」と聞かれて、「うちはカレーしかつくってもらったことがないから、カレーしか食べたことがない!」って言っていたんですって。小学校に入ってからも、たいして足が速くないのに「俺は絶対にアンカーになれるんだ!」と言っていたらしくて。

──かまってほしかったんですかね。

Novel Core そうなんだと思います。自分でも覚えているのは、小学校の時の授業参観。工作の時間だったんですけど、真後ろに立っている母親が他の子がつくっているものを見にいこうとしたとき、「俺を見てよ!」って静止したことがあったんです。そういう“自分を見て欲しい”感は、小さいころから超強かった。

9つ上の姉が家にお金をいれていて。すでに周囲からは大人として扱われているのが羨ましかったのかもしれないです。自分は子どもだな、何もできないな、認めてもらえないなって勝手に劣等感を感じていた。

──性格は、どんな感じだったんですか。

Novel Core 明るいタイプではなかったかな。人前に立って目立ちたいけど、自分からそこに出ていくほどの自信はない。小学生の頃なんかは特に、みんなの輪に入っていくのも苦手でした。

──Coreさんの読書好きは「人の輪に入っていくのが苦手」な性格と紐づいていたりしますか。

Novel Core けっこうそうですね。読書をしていると、ひとりでいる時間が気まずくないので。もちろん休み時間に友達と遊ぶことも普通にありましたけど、気が向かないときは本の世界に閉じこもっていました。

──どんな本を読まれるんですか。

Novel Core 物語の中に教訓のあるものが大好きでした。それこそ、ヘルマン・ヘッセとか。

──なんだか意外ですね。Novel Coreさんはもっと知識へ直結する新書や専門書が好きなんだと思っていました

Novel Core 「高校生RAP選手権」で優勝したくらいの時期は、自己啓発本を死ぬほど読んでましたよ。ひろゆきさんとかホリエモンさんとか、世間的に「頭が良い」と言われている人が出してる本を読めば、自分も頭が良くなると勘違いしていたんです。

学力への引け目を、ハリボテの賢さで誤魔化そうとしていた部分はあって。弱い自分を見せないように取りつくろうことに必死でしたね。

度重なった精神的なトラブルと、自殺騒動を乗り越えて

Novel Core 今思えば、“Novel Coreという生き方”に、自分の体と感情が追いついてなかったんだと思います

知名度こそ、普通の高校生よりあったのかもしれないけど、いうても、思春期真っ盛りの15、6歳。けっこう不安定な時期だったんですよ。

人前に出るときは強がったり、かっこつけたりしても、本当は家へ帰ると家族とケンカばかりしてよく泣いていたし。

──家族とケンカをしている姿とか、あまり想像がつきませんが…。

Novel Core 家で暴れだして、母親にペットボトルを投げつけて怪我をさせちゃったこともありました。すぐに我に返るんですけどね。「大好きな母親に、こんなことをしちゃう今の俺はおかしい」って。

近くの交番に「自分を止めてほしい」と連絡して、わざわざ家に来てもらったこともありました。それくらいめちゃくちゃな精神状態だったんです。その時来てくださった警察の方にも「多分息子さんと暮らすのはやめた方がいいと思います」って母が言われたり、そういう事が日常茶飯事でした。

──それは「高校生RAP選手権」に出て注目されたことがきっかけなんですか。

Novel Core もともとの原因は、通っていた高校で当時付き合っていた彼女とのことで。ただでさえ思春期だから、今思えばなんでもないことで思いっきり病んで。

そんな精神状態だから恋愛や学校生活以外でも上手くいかない事が増えて、気付いたら相当メンタルがやられていて。

第11回の「高校生RAP選手権」の直前には、自殺騒動を起こしてしまいました。家での精神状態がヒートアップして、当時のTwitterアカウントに「死ぬ」って、感情を書き殴ってしまったんです

応援してくれている方や先輩方が止めてくださったり𠮟ってくださったりして、どうにかそのときは踏みとどまったんですけど、Twitterに書いてしまったことってツイートを消しても消えないじゃないですか。
Novel Core / 天気雨 feat. Hina (from FAKY)
──デジタルタトゥーになりますからね。

Novel Core Twitterや検索エンジンに自分の名前をいれると、スペースを空けて“自殺”や“病気”と出てくることがしばらく続いたのも、わりとこたえました。家族もそれで結構病んでいたし。いろいろと落ち着いてきたのは、本当に最近かもしれません。

「上手いやつが来たときにしか相手をしない」と噂の高円寺サイファーのSivaさん

──ラッパーを目指す前は、クラシックの指揮者になりたかったそうですね。

Novel Core そうですね。小さいころから、いろんな職業に憧れてきました。声優になりたくて声優体験に行ってみた時期もあったし、『テニスの王子様』に影響されてテニス選手を目指していた時期もあった。

でも、形から入るくせに飽き性で。その都度で必要なものを買い揃えては、ほぼ使わずに挫折することもしょっちゅう。

──けれど、ラップだけは飽きずに続けることができた。

Novel Core ラップという表現は、「自分が努力さえすれば手に入る夢がある」とはじめて思えたんですよ。わざわざ学校に通ったりしなくても、独学で補える知識がほとんどだし、身近でラップをしていたカッコいい先輩たちも特別学力が秀でているわけでも、特別お金持ちなわけでもない。

それだけ平等で、だからこそ本気で頑張ったらトップになれるかもしれないと思ったんです。それでも、はじめて出場した「戦極MCBATTLE」でボロ負けしたときは、大号泣しながら母親に「もうラップやめる、無理だわ」って泣きついていましたけどね。本当に堪え性がない(笑)。

──そこからどうやって立ち直ったんですか。

Novel Core 高円寺で毎週サイファーをやっているっていう情報が入ってきたんで、なんとなく行ってみたんですよ。

そしたら「戦極MCBATTLE」の会場で挨拶した子たちが偶然そこにいて。マイクも完備されているし、スピーカーを通して自分のラップも聴ける環境だったので「ここからちゃんとやってみよう」と思ったんです。

あとは、サイファーに来ている先輩達が俺の実力を認めてくれたのも大きかった。2回目に顔を出したときにはじめてマイクを握ってラップをしたら、「上手いやつが来たときにしか相手をしない」と噂のSivaさんって方が出てきてくださって(笑)。

ラップ中にも「お前、LINE教えてやっから連絡しろよ」って言ってくださるわけですよ。それで他の参加者も「アイツ上手い」って反応をしてくれて。そこではじめて身近な人が評価してくれて──自分のなかで一気に火がついた瞬間でした。

──そこからは家で練習して、サイファーに通ってという日々を過ごされたわけですね。

Novel Core そうですね。1年半くらいは、ずっと路上でラップをしていました。

かつては路上パフォーマンスでNovel Coreさんを見かけることも多かった

──サイファーをしていて投げ銭をもらったことも、今の活動に影響を与えていますか。

Novel Core もちろんです! 自分のラップにお金という価値がつく経験は、そこではじめて味わいましたから。

俺達がやっていた時は投げ銭のトータルは一番多くて1万円くらいでした。パフォーマンス後にみんなで分配して、その中から交通費分の400円だけを握り締めて終電で帰るっていうのが日課で。

たった400円”と思う方もいるかもしれませんが、額面こそ違えど、今、俺がアルバムとかをリリースしていただいているお金の重みと何も変わりません。『チップの箱の100円から財布にパンパンの万券 重み変わらないぜ 全部奇跡の断片』って、歌詞にもしているし、今でも自分の芯になっている経験のひとつです。

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