まずは当日の様子を見てほしい。
第二回サイリウムダンスバトル世界大会ダイジェスト映像
この競技の名は「サイリウムダンス」。その名の通りサイリウムを持ってパフォーマンスを披露するダンスのジャンルであり、アイドルライブやアニソンイベントなどでファンが生み出したヲタ芸から発展したカルチャーである。近年プレイヤーが爆発的に増加し、腕前を競い合うバトルイベントも数多く開催されるようになったサイリウムダンス。独立したカルチャーとして発展するその最前線では何が起きているのだろうか。
年間を通して技を磨いてきたサイリウムダンサーたちが頂点を決めるべく競い合った白熱の第二回サイリウムダンスバトル世界大会の模様をレポートしていこう。
取材・文:オグマフミヤ 編集:山口若葉 撮影:Yamazaki Yuichi
独自の文化を形成するサイリウムダンス
2019年12月22日。会場である神田明神ホールは、秋葉原にほど近いこともあってアニソンやアイドル系のイベントが行われることの多いイベントホールだが、この日ばかりは少々普段と雰囲気が異なる。観客として大会を見守るべく集ったサイリウムダンスファンたちは、オタクというより系統としてはダンサーに近く、独自の文化が形成されていることが早くもうかがえる。
DJに合わせて即興で踊る会場内の参加者。細身パンツやおしゃれジャージ率高し!
大会テーマ曲を作成した吉田兄弟の吉田健一さんら豪華メンバー6名が審査員
前回2018年の覇者水矩選手はじめ国内外の選手が一度全員ステージ上へ。ソロ部門はトーナメント形式にて行われ、組み合わせ抽選は当日の壇上で行われるというエンターテイメント性の高い仕様だ。
ゲストライブとしてアイドルグループ「まねきケチャ」がオンステージ。グループ名にケチャを冠するだけあって、披露された楽曲は会場の雰囲気と抜群の親和性
プレイヤーがポジションにつくと、まずバトルDJがイントロを流す。そこでどの曲が流れるのかを理解し、構成を組み立て、サビで実際にパフォーマンスを行うというのがバトルの流れ。審査基準は楽曲の理解度や動きの正確さ、そして単純なかっこよさなど多岐に渡るが、重要なのは見るものの心を揺らすことができるかどうかだ。
即興で音に合わせてパフォーマンス。イントロは打ち師の緊張感がビリビリ伝わる瞬間!
大きく腕を振り回す回転技の数々を淀みなく連続させ、トップバッターとしての緊張を微塵も感じさせない堂々たるパフォーマンスをみせたが、Haruka選手も負けじとダイナミックな技の連鎖で返してみせる。僅差でHaruka選手が勝利を収めるが、1戦目からあまりのレベルの高さに会場の期待が高まっていくのを感じられた。
「今日、伝説をつくる」とマイクでも魅せたのはOsususushi選手
想像以上に楽しいぞ…?
予選Bブロックの戦いが始まる。ソウル代表のBLIND選手 VS 台北代表のHong選手のバトルは、近年勢いを増すコミュニティの代表同士の対決に。バトルビートは「海色」と「吹雪」というアニメ「艦隊これくしょん-艦これ-」のOPEDが選ばれるという熱い展開。
事前の期待通りハイレベルな技の応酬となったが、前回は予選準優勝で決勝出場を逃したというHong選手が激闘を制した。
オリジナリティあふれるキレの良いムーブで高い技術を見せた台北代表Hong選手
日本語でのマイクパフォーマンスで会場を驚かせたAJIKA選手。ダイナミックな技を繰り出すもClifford選手に一歩及ばす
上海代表Hazuki選手。腕を目一杯に振り回してのダイナミックな演技でWeb予選覇者のP-kun選手に勝つ
頭角を表す海外コミュ二ティの猛者
準々決勝、Hong選手(台北) VS Clifford選手(東京)では会場にどよめきがおこる。一回戦でも高い技術を見せたHong選手だったが、このバトルではジャンプを混ぜたり、ステージ上を縦横無尽に動き回る異次元のパフォーマンスを展開。定石とは異なった動きに動揺を隠せないフロアだったが、奇抜に見える動きがどれも洗練されたムーブとしてサイリウムダンスと見事な融合を果たしていることにすぐに気づかされる。海外勢の脅威を見せつけたHong選手が堂々と勝ち名乗りをあげた。従来の型にハマらない新ジャンルを見せつけたHong選手
バトルでのビートをプレイしていたDJシーザーさんによるDJタイム。先程まで競いあっていたプレイヤーたちもアニソンが流れるフロアでは一人のアニメファンに
ゲストライブ2組目「リアルアキバボーイズ」が登場。アニメカルチャーに連なるダンスジャンルの雄としての貫禄
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