誰にも負けられない理由がある

そしてソロ部門の準決勝。

まずは水矩選手 VS Osususushi選手の日本人対決。前回大会王者の水矩選手は、連覇できなかった場合これまで背負ってきたユーザーネーム「水矩」を封印するという背水の陣で臨んでいることを改めて宣言。

選手生命であるハンドルネームを賭け背水の陣で望んだ水矩選手

だが負けられない理由があるのはOsususushi選手も同じ。前回はフロアから見ていた観客の1人だったが、血の滲むような努力を重ねてこのステージへプレイヤーとして立ったとその思い明かし、憧れた王者への挑戦という最高のシチュエーションにゴールデンルーキーは魂を燃やす。

独創性溢れるパフォーマンスで次々と技を繰り出すOsususushi選手

バトル前から火花を散らす両者だったが、その熱をぶつけ合うように白熱のバトルを展開。地を這うような必殺スキルを加え、圧倒的完成度の高さで締めくくった水矩選手に対し、チャレンジャーのOsususushi選手は独創性溢れるパフォーマンスに己の全てを込める。涙なしでは見られないプライドのぶつかり合いは1票差という僅差で決着。水矩選手が連覇へ王手をかける。

水矩選手の勝ちが決定。熱いバトル後に、両選手熱い抱擁をした

続いての試合、共に日本勢を下してサイリウムダンス界に新風を予感させるHong選手 VS Hazuki選手の海外勢対決もまた熱いバトルを見せてくれた。

Hong選手のスキルの高さを意識してか、「私はあんな技はできないけど、ロマンス(基本技)なら誰にも負けない。世界最強のロマンスを見せます!」と意気込んだHazuki選手(左:Hazuki選手/右:Hong選手)

挑発ともとれる言葉を受けてもスタイルを崩さず、ブレイクダンスのエッセンスも感じる更なる新技で迎えうったHong選手

宣言通り、小柄な体を一回りも二回りも大きく見せるまさしく世界最強のロマンスで攻勢をかけるHazuki選手

一歩もゆずらないデッドヒートに、フロアからも「ヤバい…ヤバいって…」と驚きの声が漏れ出ていたが、前回ファイナリストの勢いまで飲み込んだHong選手が決勝へ駒を進めた。

満を持して登場したサイリウムダンスの先駆者、全ての技が異次元にキレッキレのGinyuforcEパフォーマンスによるショーケース

決勝を前にしてゲストライブ最後を飾ったのは圧倒的な歌唱力、MYTH&ROIDの歌姫・KIHOWさん。フロアは狂喜乱舞

王者 VS 超新星

泣いても笑っても決着の時、2019年サイリウムダンスバトル世界一を決める戦いの幕が上がる。決勝戦はこれまでと違い、それぞれ2回のパフォーマンスタイムが与えられる特別ルールで行われる。

「俺が最後の壁だ、越えてみろ。」と立ちはだかる水矩選手

「We are all one.」とあくまでピースフルな姿勢のHong選手

先攻は水矩選手。完成度の高い技の連続に、チャンピオンとして歩んできた1年の重みを感じさせる。 続くHong選手は、軽やかにアクロバティックなムーブを重ね、決勝という大舞台の気負いを一切感じさせない。 ハイレベルなバトル模様にフロアのテンションはガンガン揺さぶられ、両プレイヤーの一挙手一投足に割れんばかりの歓声が上がる。破竹の勢いで駆け上がった超新星と背水の陣で臨む前回王者、決着の時は近い。

2本目のムーブへ突入、最終決戦のビートに選ばれたのは先攻後攻共に大会テーマソング「雷 –IKAZUCHI-」だ。水矩選手は代名詞的必殺ムーブを繰り出し、水矩ここにありを全身で表現すると、対するHong選手もらしさを全開。ステージ狭しと駆け回り、最後まで変幻自在なスタイルを貫いた。

死力を尽くした打ち師2人に大きな拍手が送られると、健闘を讃えあってステージを降りていく。

サイリウムダンスを誇りに

閉会式を前にギアさんから、更なる文化の発展を目指して「サイリウムダンス協会」の設立が発表された。地方予選などのイベント拡大や、段位認定によるプロ制度の導入など、今後更なる広がりを期待できる嬉しい報告から、いよいよ運命の結果発表へ。

ソロ部門。審査委員長ギアさんによって両プレイヤーの腕が握られ、緊張の一瞬が迫る。勢いよく腕を挙げられ、栄光を勝ち取ったのは台北代表Hong選手。長年シーンを見てきたプレイヤーたちをも唸らせる異次元のスキルの数々が評価されての優勝となった。

優勝、Hong選手!

しかし全体を通して審査は難航したそうで、審査員の方々もレベルが高くジャッジの難しい大会だったと振り返る。

RABの涼宮あつきさん。「好きをこうして表現できる僕たちは幸せ。所詮ヲタ芸なんてと言われるかもしれないが、誇りに思っていい」と会場に集ったすべての打ち師へエールを送った

審査委員長のギアさんは、見たことのない技の数々も光ったが、Hong選手はそもそも基本的な技からレベルが高かったと改めてチャンピオンを讃える。そしてここから始まる新たな戦国時代に期待を込め、「ただ楽しむだけのダンスではなく、バトルに勝つためには個性を尖らせろ」と激励して大会を締めくくった。

審査委員長のギアさん。「バトルに勝つためには個性を尖らせろ」と激励

今大会から創設されたチーム部門も

チーム部門はあらかじめ課題曲が与えられており、チームごと事前にパフォーマンスを構成する。即興力が試されるソロ部門とは変わって、チームでの練習の積み重ねが勝負を分ける競技だ。

課題曲は吉田兄弟の三味線ビートが印象的な「雷−IKAZUCHI−」と「PRIDE~GinyuforcE~/田口華有」。同じ曲でパフォーマンスしているはずなのに、解釈によって全く違った演出が展開されるのは面白く、ソロ部門とは異なった楽しみ方ができた。

チーム部門バトル。衣装や小道具、構成に至るまで凝っており観客のド肝を抜いた

チーム部門では、トップバッターとして圧倒的コンビネーションをみせつけた「ゼロから打ち師始めます。」が優勝。抱えてきた思いが溢れ出し、涙を抑えられないメンバーを万雷の拍手が包んだ。
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