誰にも負けられない理由がある
そしてソロ部門の準決勝。まずは水矩選手 VS Osususushi選手の日本人対決。前回大会王者の水矩選手は、連覇できなかった場合これまで背負ってきたユーザーネーム「水矩」を封印するという背水の陣で臨んでいることを改めて宣言。 だが負けられない理由があるのはOsususushi選手も同じ。前回はフロアから見ていた観客の1人だったが、血の滲むような努力を重ねてこのステージへプレイヤーとして立ったとその思い明かし、憧れた王者への挑戦という最高のシチュエーションにゴールデンルーキーは魂を燃やす。 バトル前から火花を散らす両者だったが、その熱をぶつけ合うように白熱のバトルを展開。地を這うような必殺スキルを加え、圧倒的完成度の高さで締めくくった水矩選手に対し、チャレンジャーのOsususushi選手は独創性溢れるパフォーマンスに己の全てを込める。涙なしでは見られないプライドのぶつかり合いは1票差という僅差で決着。水矩選手が連覇へ王手をかける。 続いての試合、共に日本勢を下してサイリウムダンス界に新風を予感させるHong選手 VS Hazuki選手の海外勢対決もまた熱いバトルを見せてくれた。 一歩もゆずらないデッドヒートに、フロアからも「ヤバい…ヤバいって…」と驚きの声が漏れ出ていたが、前回ファイナリストの勢いまで飲み込んだHong選手が決勝へ駒を進めた。
王者 VS 超新星
泣いても笑っても決着の時、2019年サイリウムダンスバトル世界一を決める戦いの幕が上がる。決勝戦はこれまでと違い、それぞれ2回のパフォーマンスタイムが与えられる特別ルールで行われる。 先攻は水矩選手。完成度の高い技の連続に、チャンピオンとして歩んできた1年の重みを感じさせる。 続くHong選手は、軽やかにアクロバティックなムーブを重ね、決勝という大舞台の気負いを一切感じさせない。 ハイレベルなバトル模様にフロアのテンションはガンガン揺さぶられ、両プレイヤーの一挙手一投足に割れんばかりの歓声が上がる。破竹の勢いで駆け上がった超新星と背水の陣で臨む前回王者、決着の時は近い。2本目のムーブへ突入、最終決戦のビートに選ばれたのは先攻後攻共に大会テーマソング「雷 –IKAZUCHI-」だ。水矩選手は代名詞的必殺ムーブを繰り出し、水矩ここにありを全身で表現すると、対するHong選手もらしさを全開。ステージ狭しと駆け回り、最後まで変幻自在なスタイルを貫いた。
死力を尽くした打ち師2人に大きな拍手が送られると、健闘を讃えあってステージを降りていく。
サイリウムダンスを誇りに
閉会式を前にギアさんから、更なる文化の発展を目指して「サイリウムダンス協会」の設立が発表された。地方予選などのイベント拡大や、段位認定によるプロ制度の導入など、今後更なる広がりを期待できる嬉しい報告から、いよいよ運命の結果発表へ。ソロ部門。審査委員長ギアさんによって両プレイヤーの腕が握られ、緊張の一瞬が迫る。勢いよく腕を挙げられ、栄光を勝ち取ったのは台北代表Hong選手。長年シーンを見てきたプレイヤーたちをも唸らせる異次元のスキルの数々が評価されての優勝となった。 しかし全体を通して審査は難航したそうで、審査員の方々もレベルが高くジャッジの難しい大会だったと振り返る。 審査委員長のギアさんは、見たことのない技の数々も光ったが、Hong選手はそもそも基本的な技からレベルが高かったと改めてチャンピオンを讃える。そしてここから始まる新たな戦国時代に期待を込め、「ただ楽しむだけのダンスではなく、バトルに勝つためには個性を尖らせろ」と激励して大会を締めくくった。
今大会から創設されたチーム部門も
チーム部門はあらかじめ課題曲が与えられており、チームごと事前にパフォーマンスを構成する。即興力が試されるソロ部門とは変わって、チームでの練習の積み重ねが勝負を分ける競技だ。課題曲は吉田兄弟の三味線ビートが印象的な「雷−IKAZUCHI−」と「PRIDE~GinyuforcE~/田口華有」。同じ曲でパフォーマンスしているはずなのに、解釈によって全く違った演出が展開されるのは面白く、ソロ部門とは異なった楽しみ方ができた。 チーム部門では、トップバッターとして圧倒的コンビネーションをみせつけた「ゼロから打ち師始めます。」が優勝。抱えてきた思いが溢れ出し、涙を抑えられないメンバーを万雷の拍手が包んだ。
0件のコメント