「バーチャルワダリン」が次元を超えた Maison book girl和田輪 生誕イベントレポ

ワダさんチェキ会開催! 和田さんのインタビューも

終演後、「チェキ列」が形成された。ワダリンとチェキを撮る「チェキ券」は限定60枚。購入者たちが列をつくり、設営が始まった。

ライブの終演後、舞台では撤収がおこなわれるのが常だが、ビデオカメラやマイク、スピーカ、ポラロイドカメラなどが設置され、舞台はどんどん仰々しくなっていく。設営が終わると、注意アナウンスがおこなわれた。

フラッシュ焚けないので、ちょっと動くとブレます! なので、3秒ぐらい動かないでください!
マイクで皆さんの声を拾いますが、他の声も拾ってしまうので奇声を発さないでください!

いずれもチェキ会で聞いたことのないレギュレーション。特に「暗いのにフラッシュが焚けない=露光時間を増やす」というところがなんともアナログだ。その後、スクリーンにバーチャルワダリンが再来し、テストシュートがおこなわれていく。

それじゃあ、“カタカナ”ワダリンのチェキ会始めます!

謎の「バーチャルワダリンチェキ会」の仕組みを解説

いよいよチェキ会が始まった。お客さんが1人ずつスクリーンの前に行き、バーチャルワダリンさんと対面する。ライブ中に聞いたあの少し高い声で、お客さんとの会話をおこなうワダリンさん。

一人ひとりと目を合わせて「はじめまして」を言い、会話をしながらオーダーされたポーズをして、(3秒静止して)チェキを撮り、次の人へと順番を移す。……このチェキ会は、どのような仕組みで実現しているのか?

スタッフに聞いてみると、こんな紙を見せてくれた。 ……このままではよくわからないので、図解してみた。

楽屋に置かれた和田さん私物のPCにHTC VIVE※1をつなぎ、リアルタイムでトラッキング※2しながら体を動かし、これを会場スクリーンのワダさんに反映。さらにチェキ会場にビデオカメラとマイクを設置してチェキ撮影者の声・姿を入力し、これを楽屋のディスプレイ・イヤフォンに出力して和田さんがモニターする、というような仕組み

※1:VR世界への没入に特化したヘッドマウントディスプレイ。頭に装着する「ディスプレイ」のほかに、両手に持って使う「コントローラ」、身体に装着して自身の動きをバーチャル世界に反映させる「トラッカー」、トラッカーの動きを検知する「ベースステーション」などの部品からなる。トラッカーとベースステーションの通信は光によっておこなわれるため、鏡があると反射してしまい正常なトラッキングが難しい。今回は楽屋の鏡をすべて布で覆ったという。

※2:追尾・追跡の意。VR用語としては「動きを検知すること」を意味する。


これを1人のアイドルが企画・実現しているのがスゴい。

実際に機材をどう繋ぐか、という具体的な課題の解決には、Maison book girlの照明演出なども担当している空間演出ユニット・huezのやばお@EX_YAVAO)さんの強力なサポートがあり、実現に至ったということだ。 チェキ回のラストには、なんとワダリンさんのコスプレをした女性が現れる一幕も。 「キャラクターのコスプレ」はよく見るけれど、「コスプレをしてその本人と会話する」という状況を見ることは珍しい。

コスプレで参加した酸欠(@k24gh)さん。「和田輪ちゃんのお誕生日とワダリンちゃんのお披露目をお祝いする気持ちでコスプレすることを決めました。2人とも大好きです〜〜!」とのこと。

60人とのチェキ会を終え、会場に残るお客さんに向けてワダリンさんが「今日は来てくれてありがとうございました!ばいばい、またね〜〜!」と最後の挨拶をし、イベントは終了した。

和田輪「トラッキングポイントを増やしたり、本当はもっとやりたい」

終了後、ワダリンさん……はすでにオフラインになっていたので、プロデューサーである和田輪さんにお話を聞く機会をいただけた。

自身の誕生日イベントで、自分の主宰でしかできないことを思いっきりやってみる、というコンセプトがそもそもの始まり。

VR世界のアイドルが“地下アイドル”的なレギュレーションでイベントに登壇することの面白さを信じて実現に至ったということだが、実際には当初目指したクオリティに達しなかったところもあり、歯がゆい思いもあったという。

もっとクオリティを上げたいです。トラッキングポイントを増やしたり、本当はもっとやりたいんですけど、締め切りが来てしまったので……。手も、リハのときは“握れた”んですけど、本番ではできなくなってしまって。こういう機会をつくるのはなかなか難しいのですが、またできればいいな、と思っています イベント前日には15時間かけて3Dアバターのクオリティアップを図り、さらに当日は10kgを超える重量の機材を持ち込んで臨んだという。 現役のアイドルがバーチャルアイドルをプロデュースする」という不思議な活動は、かなり泥臭いトライアンドエラーによって生み出されている。

Maison book girlのツアーも始まり多忙な和田さんだが、ワダリンさんのプロデュースは今後も個人的に続けていくという。さらに進化した“カタカナ”ワダリンさんとの再会に期待しつつ、“漢字”和田輪さんの活動を、今後も応援したい。
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イベント情報

Maison book girl tour final Solitude Hotel 7F

日程
2019年4月14日(日)
場所
昭和女子大学 人見記念講堂
時間
Open/Start: 17:00/18:00
チケット
前売り¥5,000 / 当日¥5,500 (+Drink)※全席指定
公式サイト
http://www.maisonbookgirl.com/SOUP_tour7F/

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