祝祭と魔法と科学の向こう側へ
チェキ列もはけて、いよいよ開演。気づけば会場は人でいっぱいになっていた。客電が落ちると、「今日は来てくれてありがとう〜!」とメイド服を着た和田さんが登場し、イベントのスタートを告げた。 トップバッターは、マコ・プリンシパルさんとナマコラブさんによる芸術家アイドルユニット・ナマコプリのライブだ。「50/50」からスタートしたナマコプリのライブ。曲を終えると2人は、「和田輪ちゃん、お誕生日おめでとナマコプリ〜!」と和田さんをお祝いし、祝いの場にピッタリの「ナマコプリのシャンパンコール」に続けてアゲアゲのライブを展開。
クラブで踊ることに先鋭化されていった4つ打ちのEDMが、生誕イベントを盛り上げるのはとても正しい。和気藹々としたMCを挟みつつ、キラーチューンの「SUSHI PARTY」では会場とのコール&レスポンスもおこなわれた。
50/50
ナマコプリのシャンパンコール
地獄病棟24時
あったらいいな JAPAN
SUSHI PARTY
君とRAVE
mazinger Z - Pro. ☆Taku Takahashi(m-flo, http://block.fm ) -ナマコプリ:セットリスト
バーチャルワダリンのステージに聞き入る
続いて客電が落ち、舞台が照らされる。気づけば舞台後ろの黒幕は白いスクリーンに変わり、バーチャルワダリンさんが映し出された。ワダリンさんの初ライブがついに始まる。スクリーンに映ったワダリンさんは「はじめまして、バーチャル担当のワダリンです! 今日は初めてのライブ、がんばります! よろしくおねがいします!」と一声。
和田さんとは別の、高い、上ずったような声がかわいらしい。少し慌てたような声も、動画配信の時そのままで感動してしまう。 最初に歌うのはBaseBallBear feat.花澤香菜の「恋する感覚」。ボイスチェンジャーを通して歌われるワダリンさんの声には変声期のような幼さと初々しさがある(実際に”変声”しているわけだけれど)。
背景はワダリンさんの自室だろうか。ソファーの前で歌うワダリンさんは心なしか少し緊張しているように見えた。始めは少し「ノリ方」にとまどいを見せたお客さんからのコールも、どんどん大きくなっていく。
歌い終わると間髪入れずに2曲目、ソーシャルゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』(デレステ)に登場するアイドル・双葉杏(CV:五十嵐裕美)の「スローライフ・ファンタジー」を歌う。スローテンポでしっとりと歌われる同曲に観客も聞き入った。 アイドルの多様化が進み、さまざまな姿に先鋭化したアイドルたち。
今や「正統派アイドル」という言葉が何を指すのかもわからなくなってしまったけれど、そんな中で彼女が歌う2曲はいずれも、「かつてあったアイドルへの尊敬を持った踏襲」を感じられる曲であり、それをバーチャルなアイドルが歌う、という構図がとても新しい。
2曲を歌ったワダリンさんは、「バーチャル担当のワダリンでした! ありがとうございました!」と会場を去っていった。ワダリンさんの堂々としたアクトと、これを実現した実現した和田輪さんのプロデュース力に改めて驚いた。
秋葉原に響く音楽の系譜を宿らせる和田輪
続いて現れるのは2組目のゲスト・MOSAIC.WAV。柏森進さんとみ〜こさんによる、秋葉原系ポップソング「AKIBA-POP」を標榜する音楽ユニットである。「A・K・IBA! AKIBA-POP!」のコールと共に現れると、「ガチャガチャきゅ~と・ふぃぎゅ@メイト」「☆(記号)をつければかしこかろう」を披露。ともに現れたダンサーの"箱娘"も、表情豊かな動きで会場を盛り上げる。 MCでは、「和田輪ちゃんお誕生日おめでとうございます! めがねのかわいい娘がMOSAIC.WAVの『めがねでねっ!』を紹介している、というウワサを聞いて、その後私達のライブに挨拶にも来てくれて……」と出会いについて語り、和田さんも大好きな、めがねっ娘の恋慕を歌った楽曲「めがねでねっ!」を披露した。
そして「ラスト1曲はめがねっ娘2人で歌いましょうか!」というみ〜こさんに促され、和田さんが登壇。大きな歓声の中で「最高すぎ〜! 好きな曲しか流れんこの空間〜〜!」と語る和田さんは直後、テンションの乱高下を起こし「緊張する……こんなこと、あるんですね……」と言ったあと、感動から一言も話せなくなってしまった。
心配するMOSAIC.WAVの2人を前に「すみません、最高すぎて無理になってしまいました……最高すぎ……」とつぶやき、ラストの曲紹介をおこなった。
「それでは一緒に、歌わせていただきます。『超級数 Σ Miracleluminal』!」
未来都市のブックストアから視点を広げ、アップテンポなビートに乗せて古代から未来までつながる人々の思いをドラマチックに描き上げる同曲。「想像上の理想像 追いかけたら新次元」と歌われる瞬間は、未来への希望に満ちている。“なんでもかんでもみんな当たり前になって
驚かないけど 本当は凄いこと
デジタルの先端に立った 風景はハイレゾナンス これがリアル これが未来
Go up! Go up! 打ち上げろ! もっともっと自由に飛べるんだ" 「超級数 Σ Miracleluminal」歌詞より
独学でバーチャル「受肉」を果たした和田輪さん。その結実であるバーチャルワダリンさんがライブをおこなったあとで、実存としての和田輪さんが出てきてこの詩を歌うことは、まさに未来を間近で見る体験そのものだった。
最後の登壇者はもちろん、和田輪さん。満を持してのソロステージに、会場も「待ってました!」と盛り上がる。アイドルもVTuberも「媒体」だと語る彼女は、自身のイベントのトリをつとめるとき、何を歌うのか?・ガチャガチャきゅ~と・ふぃぎゅ@メイト
・☆(記号)をつければかしこかろう
・めがねでねっ!
・洗脳・搾取・虎の巻
・超級数ΣMiracleluminal MOSAIC.WAV:セットリスト
1曲目に歌われたのは『デレステ』のアニバーサリーソング「イリュージョニスタ!」。“ーHave: a good night♪”の一節で同曲を締めると、続けて夢眠ねむさんの「魔法少女☆未満」を歌う。この歌は夢眠ねむさんの初めてのオリジナル楽曲であり、作曲はMOSAIC.WAVと同じくSham.studioに所属するCHEEBOWさん。
夢眠ねむを尊敬する和田さんが、MOSAIC.WAVとともに舞台に立ったあとでこの歌を歌うことに、秋葉原に響く音楽の系譜が宿っている。ミントグリーンの照明に照らされた和田さんが客のコールを煽る場面も見られ、自由なアクトに会場も呼応する。 MCに続いて披露されたのはMaison book girl「faithlessness(Tomggg Remix)」。2018年10月に開始した配信限定プロジェクト「Golden Record」の中で発表されたTomggg Remix版を骨子に、歌唱用にアレンジされたオケで歌われた。柔らかい音の重なったアレンジに鮮烈な歌詞が乗り不思議な調和を見せる。
かと思えば一転、次に披露されたのは玉屋2060%とサクライケンタの共作によって生まれた激しいナンバー、クマリデパート「シャダーイクン」。ただでさえテンポの速い同曲の、しかも4人のパートをすべて1人で歌うことになった和田さんは息継ぎをするタイミングが皆無。ときおり声を詰まらせるも、短距離走のように歌いきった。 MCでは「この曲めちゃめちゃしんどいな! クマリデパートはすごいな……でも1人だからね……!」と感想を語る和田さん。ライブパートの終了を告げるがアンコールが鳴り止まず、アカペラで小沢健二「いちょう並木のセレナーデ」を披露し、ライブイベントは終了となった。
客電がつき、退場する人もチラホラと現れる中、ワダリンさんの再来に向けて、舞台上に再び白いスクリーンが現れた。いよいよ「バーチャルワダリンチェキ会」が始まる。
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イベント情報
Maison book girl tour final Solitude Hotel 7F
- 日程
- 2019年4月14日(日)
- 場所
- 昭和女子大学 人見記念講堂
- 時間
- Open/Start: 17:00/18:00
- チケット
- 前売り¥5,000 / 当日¥5,500 (+Drink)※全席指定
- 公式サイト
- http://www.maisonbookgirl.com/SOUP_tour7F/
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